絶版文庫書誌集成

新潮文庫 【ひ】

樋口 一葉 (ひぐちいちよう)
「一葉日記 (抄)」
 (いちようにっき)


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*204頁
*発行 1953年

*カバー文
『たけくらべ』『にごりえ』など不朽の名作を遺し、二十五歳で世を去った明治の女流作家樋口一葉が、二十歳から綴りつづけた日記は、天稟の才能と激しい気性を持った彼女の赤裸な姿を伝える。秘められた悲恋、襲い来る貧困のために筆を折ることまで考えた作家的苦悩、痛憤にみちた社会批判――名作の陰にかくされた魂の記録として、王朝女流日記にも匹敵する日記である。

*解説頁・中里恒子


日夏 耿之介 (ひなつこうのすけ)
「日夏耿之介詩集」
(ひなつこうのすけししゅう)


*カバー画像・平成6年発行「新潮文庫の復刊」版
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*195頁 / 発行 1953年

*カバー文
見慣れない文字、特殊な訓、異様な語句、風変わりな表現……。詩の使命を「視覚と聴覚の錯綜美」として、主題を生の形で表現することを頑に否定した孤高の詩人・日夏耿之介。「ゴシック・ロマン体」と称されるその作風は、荘重幽玄な象徴的感覚に満ちた独特の世界をつくりあげている。

*目次

第一卷 咒文
 詩集咒文序  麈 / 蠻賓歌
第二卷 黄眠帖
 意匠  夜のこころ / 月光愁夜 / 山院秋晩圖 / 慾界
 閑情  一枚の黄色い紙の上に / しずかなるこの?昏
 非時代的古詩  民主詩人を咏ず / 東方腐儒の言葉 / 古代盲僧經
第三卷 K衣聖母
 K衣聖母の序
 煉金祕義  道士月夜の旅 / 面美童 / 悲哀
 舊約風の世界  神前に在りて / K色 / しかし笛の音はない夜の事
 K衣聖母  雪の上の聖母像 / K衣聖母
 痛悔の經  灰の巒 / 儂が身の夜半 / 薄暮の旅人 / 儂が病院 / 疾む鳥
 崇物ヘ徒  書齋に於ける詩人 / 古ながらの鶯
 記憶の舌  葬列 / 單音の神の言葉 / 愁夜戲樂第七番
 心のク土  久遠偶像
第四卷 轉身の頌
 轉身の頌序
 再刻本の序
 轉身  宗ヘ / 雙手は神の聖膝の上に / 海の市民
 默祷  默祷 / 魂は音樂の上に / 愛は照る日のごとし
 AB INTRA  AB INTRA
 羞明  悲哀 / 羞明 / 訪問 / うるはしき傀儡なれど
 古風な月  古風な月 / 聖痕 / 悲劇役者の春の夜 / 痴情小曲 / 神學ヘ授
 哀憐  春宵祕義
第五卷 拾遺篇
 悲しき歌 / Kき夜半の月 / たそがれの寢室 / 落ちゆく人々 / ある夜の戀人等 / 戀人等の散歩 / 癡人
 解説 佐藤正彰


火野 葦平 (ひのあしへい)
「土と兵隊・麦と兵隊」 
(つちとへいたい・むぎとへいたい)


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*平成12年46刷カバー / 装画・香月泰男

*224頁 / 発行 昭和28年

*カバー文
杭州湾敵前上陸記――『土と兵隊』 徐州会戦従軍記――『麦と兵隊』。日中戦争当初の大陸を舞台に、兵隊としてまた報道班員として生死の境を彷徨した体験を、深い同胞愛と庶民的精神に貫かれた曇りない眼で凝視する――。深い泥田やはてしない麦畑の中に展開される凄惨な戦闘、人間の凡庸な思想を乗り越え死と直面する兵隊達、戦火の中で逞しく生き抜く農民達を描く戦争文学の傑作。

*解説頁・河盛好蔵


火野 葦平 (ひのあしへい)
「花と兵隊」
 (はなとへいたい)


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*196頁・旧仮名旧字体
*発行 昭和28年

*解説頁(河盛好蔵)よりの引用
 この小説は昭和十三年から十四年にかけて新聞に連載されたものである。「土と兵隊」「麥と兵隊」の二作によつて輝かしい名聲をえた作者が、謂わば支那大陸で困難な戰爭に從つている兵隊の代表として、彼らの陣中に於ける喜怒哀樂を銃後の人々に親しく傳えようとして筆を執つたのがこの小説であると云える。したがつて前の二作にくらべてこの小説には落ち着きと餘裕があり、また百戰練磨とはゆかないにしても、戰爭に慣れ、大陸の風土に慣れた作者の不敵な面構えが感じられる。


兵本 達吉 (ひょうもとたつきち)
「日本共産党の戦後秘史」
(にほんきょうさんとうのせんごひし)


*カバー写真・毎日新聞社提供
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*485頁 / 発行 平成20年

*カバー文
冷戦期1950年代初頭、共産党は朝鮮戦争下のソ連・中国を支援する役目を負って日本国内を混乱させようと試みた? 外で中ソに媚び、内で絶え間ない権力抗争 ―― 。結党以来、実はこの醜悪な原理のみに従ってきたと見る立場から、著者は党の“国民そっちのけ"の実像を告発する。警官殺傷事件などが頻発した「極左冒険主義」時代の活動ほか、元有力党員だからこそ書けた衝撃の記録!

*目次
 はじめに
第一章 日本共産党戦前史
第二章 「唯我独尊」の原点
第三章 武装蜂起の時代
第四章 山村工作隊とひょっとこ踊り
第五章 敵は、どこだ?
第六章 暴力革命の遺伝子
第七章 幻想から幻滅へ
 ロシアにおける「社会主義の実験」とその結末
【人物評伝】
 @徳田球一 A志賀義雄 B野坂参三 C伊藤律 D志田重男 E不破哲三 F袴田里美
 解説 花田紀凱