
*カバー写真・パリ大学留学前の須賀敦子
(一九五三年、大阪のホテルで)
写真提供 北村良子
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*387頁 / 発行 平成三十年
*カバー文
『ミラノ 霧の風景』で彗星のようにあらわれ、知と情熱をたたえた佳品を遺して逝った文筆家須賀敦子。少女をキリスト教の信仰へ、遥かヨーロッパへと誘ったものは何だったのか。今なお多くの読者に愛される作家を追想し、その文学の核心に迫る。カルヴィーノ、タブッキ、サバ、そしてユルスナール。人を愛し、書物を愛し、たぐい稀な作品を紡ぎ出した須賀敦子の歩いた道を丹念に辿り直す書。
*目次
第一章 父譲りの読書好き ―― 二〇一〇年冬・東京谷中、二〇〇九年夏・ローマ
澀江五百 / はじめての印象 / ナタリア・ギンズブルグ
第二章 激しく辛い追悼 ―― 二〇一〇年秋・兵庫県西宮市、小野市、東京東中野
小野 / 霧 / 泣き顔を見つめる女の子
第三章 「ぴったりな靴」を求めて ―― 二〇一一年新春・東京麻布十番
ぴったりな靴 / そーでアール / 高木重子
第四章 「匂いガラス」を嗅ぐ ―― 二〇一一年春・東京麻布、大阪中之島、二〇一〇年秋・東京雑司が谷
変な時代 / 遠い朝
第五章 戦時下に描く「未来」 ―― 二〇一一年夏・川崎市登戸、東京白金
リッカさんの木 / 未来の自分
第六章 「曲りくねった道」の入り口で ―― 二〇一一年晩夏・東京白金
憧れと希望 / 戸惑いと無念 / 弱さと脆さ
第七章 遠い国から来た人間みたいに ―― 二〇一一年冬・東京広尾
思想のある建物 / 混乱と孤独
第八章 だれにも話せないこと ―― 二〇一二年春・東京四谷
マザー・ブリット / 荒野 / ちょっとキザな言葉
第九章 あたらしい生き方に向かって ―― 二〇一二年夏・東京信濃町
卒業論文 / 空白の一年 / カトリック学生連盟
第十章 「思想の坩堝」のなかで ―― 二〇一二年秋・名古屋、東京白金
有吉佐和子 / カトリック左派の思想 / 生涯の師
第十一章 海の彼方へ ―― 二〇一二年冬・東京三田、兵庫県西宮市、神戸市
慶応義塾社会学研究科 / 灯台のような存在 / 海の彼方へ
あとがき ―― また、旅にでるために
須賀敦子書誌
解説 ―― めぐりあう時たち 星野博美
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