絶版文庫書誌集成

新潮文庫 【み】

三島 瑤子・藤田 三男編 (みしまようこ・ふじたみつお)
「写真集 三島由紀夫 '25〜'70」
(しゃしんしゅうみしまゆきお)


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*ノンブル無し
*発行 2000年

*カバー写真・提谷孝司

*カバー文
「私はそもそも、天に属するのか?」 ―― 仮面と情熱、創作と行動、死と美の臨界をひたむきに駆けぬけた、文字通り「不世出」の文学者、三島由紀夫。彼はまた、つねに世間の注目を浴びたその作家生活と活動を通じて、少なからぬ写真家たちの被写体でありつづけた。華麗にして不可解なるまま「謎」として残された三島の生涯。劇的なほどに真摯な45年を、写真の数々で鮮烈に再検証する。


水上 勉 (みずかみつとむ)
「越後つついし親不知・はなれ瞽女おりん」
(えちごつついしおやしらず・はなれごぜおりん)


*カバー装画・蓬田やすひろ
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*355頁 / 発行 2002年

*カバー文
越後の雪深い村。夫が京都・伏見の酒蔵へ杜氏に出ている冬の間に、妻は卑劣な村人に襲われ、子を身ごもった……。「越後つついし親不知」。幼いい頃に瞽女屋敷にもらわれ、盲目の旅芸人となったおりん。だが、掟を破って男と契り、一座を追放され放浪の身に……。「はなれ瞽女おりん」。水上文学を代表する表題作2編に、男女の哀切、寒村の生死を描いた初期傑作3編を加えた珠玉短編集。

*目次
越後つついし親不知
桑の子
はなれ瞽女おりん
有明物語
三条木屋町通り
 解説 岩波剛


水上 勉 (みずかみつとむ)
「はなれ瞽女おりん」
 (はなれごぜおりん)


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*248頁 / 発行 昭和55年
*カバー装画・斉藤真一

*カバー文
三歳にして全盲となり、六歳で瞽女屋敷にもらわれた盲目の旅芸人おりん。彼女はたった一度男と契りを結んだのがもとで座を追放されるが、日本海辺をさすらううち、脱走兵・岩淵平太郎と出逢って、奇跡の愛が生れる……。悲恋の道行を切々と語る表題作のほか、「阿弥陀の前」「草民記一章」「鐘の音」「銀の杖」など、無名の男女の美しくも哀しい境涯を浮彫りにした短編を収める。

*目次
はなれ瞽女おりん / 阿弥陀の前 / しゃかしゃかその他 / 草民記一章 / 鯉とり文左 / 鐘の音 / 銀の杖 / 解説 木村光一


水原 秋櫻子編 (みずはらしゅうおうし)
「秋櫻子自選句集」 (しゅうおうしじせんくしゅう)


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*193頁・旧仮名旧字体 / 発行 昭和31年

*目次
葛飾抄 (六十七句)
新樹抄 (二十七句)
秋苑抄 (五十七句)
岩礁抄 (三十九句)
蘆刈抄 (六十九句)
古鏡抄 (百六十句)
磐梯抄 (八十五句)
重陽抄 (六十三句)
霜林抄 (二百十七句)
殘鐘抄 (二百五十句)
歸心抄 (三百二十六句)
  計 千三百五十六句
 年譜
 巻末に


皆川 博子 (みながわひろこ)
「恋紅」
(こいべに)


*カバー・安西水丸
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*309頁
*発行 1989年

*カバー文
遊女屋の愛娘ゆうは大勢の花魁や男衆の中で、華やかな郭の裏も表も見て育った。ある日、芝居見物に出かけたゆうは升席にいる男を見て衝撃を受ける。五年前、雑踏で途方にくれていたゆうを救い、優しさで包み込んでくれた旅役者だった。一緒になれるなら滅びでもいい ── そう心に刻んだ幼い日の記憶を頼りに、無名の役者に縋りついていく女の情念の世界を描く直木賞受賞作。

*解説頁・清原康正


皆川 博子 (みながわひろこ)
「みだら英泉」 (みだらえいせん)


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*221頁
*発行 平成3年
*カバー・渓斎英泉筆

*カバー文
寛政の改革による春画・春本の取締りを経て、歌麿の没後、豊国を筆頭とする歌川派は依然隆盛を極めていたが、お咎めを恐れて枕絵にだけは手を出せずにいた。浮世絵のもう一方の雄である北斎も「北斎漫画」でますます人気をとっている……。江戸文化の爛熟期、酒と女に溺れながらも豊国・北斎に猛烈な対抗意識を燃やし、独自の画境で春画を描いた渓斎英泉の凄絶な生涯。

*解説頁・小森収


宮沢 賢治著・天沢 退二郎編 (みやざわけんじ・あまざわたいじろう)
「宮沢賢治万華鏡 IHATOV KALEIDOSCOPE」
(みやざわけんじまんげきょう)


*カバー装画・宮沢賢治
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*477頁
*発行 2001年

*カバー文
賢治の作品は、よく知られた童話や詩のみばかりではない。22の時、自分の命は15年もつまいといった、この稀有な創作者は、それは精力的に、山野を歩き、農民を教え、法華経に心酔し、あらゆる方法で、その内奥の炎を表現しつくそうとした。絵画、短歌、童謡、書簡、劇脚本、小説、花壇設計図からメモまで、その多岐多彩な活動を、万華鏡を覗くような興奮で、味わい知ることのできる、ファン必携の書。

*目次
T 絵画 / U 習字 ── 毛筆短歌、俳句、写経 / V 歌曲・童謡 / W 綴り方 / X 短歌 / Y 散文 / Z 農民芸術概論網要 / [ 書簡 / \ 法華堂建立勧進文 / ] 詩 / ]T 童話 / ]U 小説 / ]V メモ その他 / ]W 劇および劇作メモ
 注解 天沢退二郎 / 賢次の絵 司修 / 収録作品について 天沢退二郎 / 年譜


宮本 百合子 (みやもとゆりこ)
「播州平野・風知草」
 (ばんしゅうへいや・ふうちそう)


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*264頁
*発行 1952年

*カバー文
第二次大戦のさ中に、思想犯として12年間の拘禁生活を強いられた夫重吉を待ち続けるひろ子の心情を通して、獄窓をへだてても、なお美しく育って行く夫婦愛をみずみずしく描いた『播州平野』。その姉妹編として、大戦終結後、解放された重吉の、革命運動の日々を追う『風知草』。戦争に運命を変えられた人々の、閉ざされた青春を哀しく謳いあげた代表的反戦文学。

*解説頁・小田切秀雄


三好 達治 (みよしたつじ)
「諷詠十二月」
 (ふうえいじゅうにかげつ)


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*211頁・旧仮名旧字体
*発行 昭和27年
*平成5年刊「新潮文庫の復刊」版カバー

*カバー文
伝統を新しく受け継いで、その抒情と憂愁に稀有な古典的完成をなしとげた詩人三好達治が、万葉から現代まで古今の日本の詩歌を選りすぐって、一月から十二月まで各月一章ごとに分かち、それぞれの詩歌の美質と心持を精緻に鑑賞する。詩歌入門の最高峰として定評のある画期的名著。