絶版文庫書誌集成

新潮文庫 【な】

永井 荷風 (ながいかふう)
「おかめ笹」
(おかめざさ)


(画像拡大不可)

*164頁
*発行 1952年
*カバー画像・平成6年発行「新潮文庫の復刊」版

*目録文
凡庸拙劣の画工・鵜崎巨石は、名画紛失事件を契機に、降って湧いたような僥倖に恵まれた ―― 。色と金と名誉を貪欲に求める俗物たちを痛烈に風刺した文明批評家・荷風の快作。


永井 荷風 (ながいかふう)
「腕くらべ」
 (うでくらべ)


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*188頁
*発行 昭和27年

*カバー文
花柳界小説を書いて天下一品の著者が、新橋の芸妓駒代を主人公に、彼女をめぐる様々な男性との情痴の諸相を描いた一種の社会小説ともいえる長編。若き日の荷風がかつて江戸芸術の保護者としての夢を託した花柳界が、もはや時流から逸脱したユートピアではあり得ず、秘密な歓楽の場所として次第に単純な売色の巷に転化して行く様子を忌憚なく描いた中期における代表作である。

*解説頁・中村光夫


中島 みゆき (なかじまみゆき)
「泣かないで・女歌(おんなうた)」
(なかないで)


*カバー写真・田村仁
 カバーデザイン・荒井博文
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*225頁
*発行 1990年

*カバー文
デビュー前、山の中のミュージックキャンプで出逢った不思議な女性たっちゃん。年下だけどゲーノーカイでの理想の先輩“猫”。人間嫌いだったけれど、ウィズ・ベイビーの幸福をみつけた学生時代の友人フミちゃん。遠い北の外国に暮らすテレサ。中島みゆきがめぐり逢った、優しく、そして逞しく生きる女たち ── 。彼女たちの奏でる、様々な人生のかたちを描く「女歌」に続く小説第2弾。

*目次
泣かないで
楽園
ウィズアウト・ベイビー
元気です


中島 みゆき・谷川 俊太郎ほか (なかじまみゆき・たにがわしゅんたろう)
「中島みゆき ミラクル・アイランド」
(なかじまみゆき miracle・island)


*カバー写真・田村仁
 デザイン・小久保操
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*269頁 / 発行 1986年

*カバー文
あなたは中島みゆきを知っていますか? 彼女の歌を聴いたことがありますか? 中島みゆきの詩、サウンド、その世界について谷川俊太郎、如月小春、高橋源一郎、坂本龍一、細野晴臣、天沢退二郎、黒井千次ら89人が語りました。魔女? 悪女? それとも可愛い女? 共感、それとも反発? 普通の中学生、高校生、大学生のアンケートを見ながら、あなただけのみゆきを探してみませんか?

*目次
1 素顔の中島みゆき
 あたし以上に、あたしを好きな人 対談 谷川俊太郎・中島みゆき
2 中島みゆき讃
 舞台裏からの歌声 如月小春
 a・m・1:00になると、みゆきの声が 高橋源一郎
 失ったことからの出発 こすぎじゅんいち
 今日のみゆきと明日のジョー 藤井貞和
 憎しみの純化 井坂洋子
 中島みゆきよ もっと驚かしてほしい 阿部岩夫
 ウォークマンで聴いた“MIYUKI” ロバート・ワーゴー
 幻想の果てに 長谷川龍生
 アマンド・ピンクの夢 山口千枝
 小説を読むような魅力 松岡和子
 別れ際に輝く女の姿 鈴木志郎康
3 中島みゆきの宇宙
 諦めと洞察 天沢退二郎
 語る女 黒井千次
 歌のつぶて 小笠原信
 ヴェールに包まれたみゆき 山際淳司
 中島みゆきの“詩”と“詞” ねじめ正一
 ある苛ら立ち 安土多架志
 中島みゆきは中山みきである 呉智英
4 サウンドからみた中島みゆき
 中島みゆきは、この時代のエンターテインメントか? インタヴュー 坂本龍一
 中島みゆきの聞こえない音楽 北中正和
 現代風俗をうたう“みゆき演(艶)歌” 小西良太郎
 「声の技法」について 村山道宣
 心で鳴っているサウンドと共鳴して 伊集院真
 「悪女」を聴いたとき、こんな素敵なことやっていると思った インタヴュー 細野晴臣
5 中島みゆき現象
 中島みゆき論のため序曲 原善
 雪、こわくてやさしくて、このはかないもの 宮木佑子
 「背中のみゆき」 大山良太
 「北の国から」中島みゆき 玉城正行
 「中島みゆき」に関する考察 小菅健一
 中島みゆきの「コトバ」について 馬場重行
6 “中島みゆき”アンケート
 文学者に対するアンケート報告 東京都立足立高等学校二年B組
 学生アンケート
 中島みゆき 替え歌・浪人編・二浪編 塩原克己


中冨 信夫 (なかとみのぶお)
「NASA航空機開発史」
 (なさこうくうきかいはつし)


*カバー写真・NASA提供
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*254頁 / 発行 昭和61年

*カバー文
X‐15などの超音速実験機、垂直離着陸機、ハングライダー、ワシントン・成田を2時間で結ぶ夢の超音速旅客機オリエント・エクスプレス。NASA(米航空宇宙局)というと頭に浮かぶのは、アポロ計画を始めとする宇宙開発の面だが、NASAはその名が示すとおり、航空機の技術開発でも大きな役割を果している。NASAのもう一つの面をビジュアルに紹介するオリジナル文庫。

*目次
はじめに
第1章 Xシリーズ実験機と超音速飛行
 1.先駆的な有人実験機
 2.X-15ロケット機
第2章 NASAの新技術による航空機のスピンオフ
 X翼機 / オーギュメント翼機 / オブリーク翼機 / ハイマット機 / X-29A / XV-5B / XC-142A / 超音速V STOL機 / ティルト・ローター研究機 / ローター・システム研究機 / 人力飛行機 / 太陽電池飛行機 / ソーラーHAPP / AI-500飛行船 / ハンググライダー / YO-3Aモーターグライダー / NASA-B14LFC実験機 / エイソリーズ・S2R-800 / クラッシュ・テスト / 火災防止の研究 / スーパークリティカル翼機 / L-1011液体水素輸送機 / プロップファン輸送機
第3章 宇宙開発のバックアップ航空機
 F-104スターファイター / T-38Aタロン / STA(シャトル訓練機) / SCA(スペースシャトル運搬飛行機) / スーパー・グッピー / KC-135ストラトタンカー / C-5Aギャラクシー / C-141スターリフター / YF-12A実験・観測機 / ER-2地球観測機 / 月着陸訓練機
第4章 アメリカのエアーライン
第5章 HSTの実現に向けて
 1.リフティング・ボディとダイナソア / 2.航空機としてのスペースシャトル / 3.超音速旅客機と極音速旅客機 / オリエント・エクスプレス
参考文献


なかにし 礼 (なかにしれい)
「昭和忘れな歌 自撰詞華集」
(しょうわわすれなうた)


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*452頁 / 発行 2004年
*カバー写真・泉谷玄作 「和火色の椰子の交響詩」

*カバー文
日本レコード大賞受賞曲「天使の誘惑」「今日でお別れ」「北酒場」を初め、「ドリフのズンドコ節」「別れの朝」など、時代を映し出した歌の数々。さらに自らの原風景を謳う「石狩挽歌」、自作自演の「時には娼婦のように」、そして裕次郎のために作った「わが人生に悔いなし」。作詞家・なかにし礼の作品は戦後歌謡曲の歴史そのものだ。初期のシャンソン訳詩、後期の歌曲を加えた昭和の吟遊詩人の詞華集大成。

*目次
シャンソン訳詩 / 歌謡曲 / なかにし礼自作自演の歌 / 歌曲 日本の十二ヶ月 / モーツァルト歌曲集 / ベートーベン交響曲第九番二短調作品一二九「合唱」 / 歓喜の歌 / 組曲『遺言歌』 / オペラ関係データ / 「詩人の魂」 久世光彦


中野 重治 (なかのしげはる)
「歌のわかれ」 
(うたのわかれ)


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*282頁
*発行 昭和25年

*カバー文
革命家としてまた詩人としての中野重治の、プロレタリア文学運動を背景とした昭和10年代の代表作品集。金沢の旧制高校で鬱屈した青春時代の自己解剖を通して、短歌的抒情における自我への哀傷をかなぐりすて、強烈な人間的なものを求めて進み出て行く過程を描いた『歌のわかれ』、執筆禁止の桎梏の下で書かれた感想小説『空想家とシナリオ』、転向小説の名作『村の家』の3編を収録。

*解説頁・窪川鶴次郎


中野 重治 (なかのしげはる)
「むらぎも」


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*361頁
*発行 昭和35年
*カバー・三井永一

*カバー文
プロレタリア運動が異常な興隆を示した昭和初頭、地方の旧制高校を卒業して東大に入学した安吉は、自然のなりゆきとして左翼的な新人会に近づき、交友の範囲をひろげながら学生運動にはいっていく。同じ理想と目標のもとに集ってきた青年たちとの関係を中心に、さまざまな出来事を通じて、安吉が人生と芸術とに開眼していく姿を、回想的な美しい描写をもまじえて記す青春文学。

*解説頁 臼井吉見


中丸 明 (なかまるあきら)
「絵画で読む聖書」 (かいがでよむせいしょ)


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*571頁
*発行 2000年
*カバー装画・ルーカス・クラナハ(父)「楽園のアダムとイヴ」

*カバー文
旧約聖書はいつ、誰が書いたのか? イエスの本当の生年は? イエスの磔に使われた釘は何本? 世界の終末は来るのか? 聖書をめぐるあらゆる謎・疑問が、宗教画を読み解くことで明らかに。旧約聖書の創世記から、新約聖書におけるイエスの誕生と死、ヨハネの黙示録にいたるまで、名古屋弁風の「カナン弁」による会話を織り交ぜながら、平易に解説。世界の美術館めぐりにも役立つ。

*解説頁 ……ならぬお節介説 実相寺昭雄


中村 真一郎 (なかむらしんいちろう)
「王朝文学論」
 (おうちょうぶんがくろん)


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*330頁 / 発行 昭和46年

*カバー文
王朝ロマンの園に、きそって咲き匂う花々、竹取、宇津保、落窪、源氏、狭衣、夜半の寝覚、浜松中納言、堤中納言、お伽草子、無名草子、とりかへばや、その他 ― 。本書は、王朝文学に深い造詣と愛情を抱く著者が、これらの諸編について、ロマンの世界の伝統と魅力を語り、西欧の近代小説との照合をないまぜながら、興味深く論じた『王朝の文学』『王朝文学の世界』の2編を収録する。

*目次
 まえがき
第一部
 一 小説と近代小説 / 二 日本文学と小説 / 三 竹取物語 / 四 宇津保物語 / 五 落窪物語 / 六 源氏物語(その一) / 七 源氏物語(その二) / 八 源氏物語(その三) / 九 源氏物語(その四) / 十 源氏物語(その五) / 十一 狭衣物語 / 十二 夜半の寝覚 / 十三 浜松中納言物語 / 十四 堤中納言物語 / 十五 散逸物語 / 十六 擬古物語 / 十七 お伽草子 / 十八 無名草子 / 十九 源氏研究 / 二十 女流作家

第二部
 一 竹取物語 / 二 宇津保物語 / 三 源氏物語(その一) / 四 源氏物語(その二) / 五 源氏物語(その三) / 六 とりかへばや物語 / 七 花の縁

王朝文学の世界
 王朝文学と現代文学 / 王朝の女流作家 / 平安朝の宮廷女性 / 源氏物語を巡って / 王朝物語を巡って / 源氏亜流物語の現代的意味 / 王朝小説とギリシア小説 / 蜻蛉日記についての雑考 / 大鏡再読 / お伽草子について
  解説 加藤周一


中村 真一郎 (なかむらしんいちろう)
「女体幻想」
(にょたいげんそう)


*カバー装画
 (C)Fundation P.Delvaux-St.Idesbald/Belgium
 (C)SABAM.Bruxelles & SPDA Tokyo.1995
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*207頁 / 発行 1995年

*カバー文
生来の快楽主義者であり、病気のなかにさえ愉しみを見いだすと、友人たちから冷やかされていた作家もいまは70歳。そして、老作家の過去は少しずつ年と共に死んで行き、女体への追憶による彼の魂は、壮年のそれから青年に、少年に幼児にへと時間を遡る。乳房・背中・髪・脣・瞳・茂み・臍・掌・腰・顔……それらは彼に記憶された女体。眩い光と濃い影の性愛の世界へ誘う幻想小説。

*解説 荻野アンナ


中村 真一郎 (なかむらしんいちろう)
「俳句のたのしみ」 (はいくのたのしみ)


*俳画・中村真一郎
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*199頁 / 発行 平成8年

*カバー文
日常の情景や心理のスナップ・ショットを極端な短詩形に表現する俳句の魅力。詩魂を感じる一句、花鳥風詠や人情の機微の一句、エロティックな一句、ブラックユーモアの一句。その一句から、精神と感情の全てをこの形式にとらえる俳人の感受性やその時代を知る。黒柳召波、加舎白雄など江戸中興の俳人や夏目漱石、泉鏡花、芥川龍之介などの作家の俳句と著者のロココ的俳句を楽しむ。

*目次
柴田宵曲のこと
Poetae Minores Rococonis

俳句ロココ風
 1 小序 / 2 炭太祇 / 3 大島蓼太 / 4 建部凉袋 / 5 堀麦水 / 6 高桑闌更 / 7 加藤暁台 / 8 三浦樗良 / 9 黒柳召波 / 10 高井几董 / 12 加舎白雄 / 13 上田無腸 / 14 小林一茶

文士と俳句
 1 夏目漱石 / 2 泉鏡花 / 3 永井荷風 / 4 芥川龍之介 / 5 久保田万太郎 / 6 室生犀星
樹上豚句抄

 解説 金子兜太


中村 光夫 (なかむらみつお)
「小説入門」
 (しょうせつにゅうもん)


*カバー・岸健喜
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*165頁 / 発行 昭和34年

*カバー文
「小説の歴史」、「小説の美学」から成る本書は、“小説とは何か”に始まり、多くの文学作品を引用しながら小説の諸相を体系的に解きあかした本格的文学論であるとともに、世の文学愛好者、および小説を書こうとする人々のために、きわめて懇切に書かれた、権威ある小説の入門書である。著者は、「よい小説の作者になるには、まずよい小説の読者になることが必要」だと説いている。

*目次
小説の歴史
 一 小説とは何か / 二 詩と散文 / 三 小説の発達 / 四 バルザックとスタンダール / 五 フローベェルとゾラ / 六 現代小説の問題 / 七 写実について / 八 昭和の小説 / 九 小説の可能性

小説の美学
 一 小説の芸術性 / 二 小説の本質 / 三 小説の方法 / 四 表現の技術
 あとがき


中村 光夫 (なかむらみつお)
「谷崎潤一郎論」
(たにざきじゅんいちろうろん)


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*267頁
*発行 1956年
*カバー画像・平成6年発行「新潮文庫の復刊」版

*目録文
旺盛な創作欲、新たな手法と趣向を凝らした作品群。大正期の多くの作家のなかで、ひとり芸術的成熟を達成した谷崎文学の独創性を究めることで、大正文学の性格を照射する。


中村 光夫 (なかむらみつお)
「風俗小説論」 
(ふうぞくしょうせつろん)


*カバー・岸健喜
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*平成6年発行「新潮文庫の復刊」版カバー

*138頁 / 発行 昭和33年

*カバー文
日露戦争後、ようやく形をとりはじめたわが国近代リアリズムの発生・展開・変質・崩壊の過程を追うことによって、自然主義が日本の近代文学に及ぼした独特の歪みを明らかにし、その嫡子としての私小説と風俗小説を分析批判した画期的文学論。戦後、ジャーナリズムの発達で文壇の主流となった風俗小説を的確に理論づけるとともに、明快な近代日本文学史ともなっている名著である。

*目次
近代リアリズムの発生 ― 風葉・藤村・花袋
近代リアリズムの展開
近代リアリズムの変質
近代リアリズムの崩壊 ― 横光・武田・丹羽
 あとがき
 解説・河上徹太郎


中山 義秀 (なかやまぎしゅう)
「碑・テニヤンの末日」 (いしぶみ・てにやんのまつじつ)


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*317頁 / 発行 昭和44年
*カバー画像・平成5年刊「新潮文庫の復刊」版カバー

*カバー文
幕末から維新にかけての激動期に剣の道ひとつに賭けた武士の人生の哀歓と誇りを描く「碑」、二人の若き軍医を主人公に、テニヤン島が敵襲を受けて陥落するまでの凄絶な日日を追う「テニヤンの末日」など7編。歳月な流れの中に浮沈する人間の運命を香気豊かに描く中山文学の代表作選。

*目次
厚物咲 / 碑 / 秋風 / テニヤンの末日 / 月魄 / 少年死刑囚 / 高野詣 / 解説 川上徹太郎


中山 義秀 (なかやまぎしゅう)
「新剣豪伝」
 (しんけんごうでん)


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*315頁
*発行 昭和33年
*カバー・村上豊

*目次
諸岡一羽の三人の弟子 / 土子泥之助 / 根岸莵角 / 伊藤一刀斎 / 活人剣 / 寒夜の霜 / 風薫る / 小野治郎右衛門忠明 / 林崎甚助重信 / 富田勢源 / 斎藤節翁 / 山岡鉄舟 / 解説 田宮虎彦


長与 善郎 (ながよよしろう)
「青銅の基督」
 (せいどうのきりすと)


*平成6年「新潮文庫の復刊」版カバー
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*昭和24年版カバー

*129頁
*発行 昭和24年

*カバー文
徳川四代将軍の頃、切支丹でないが故に切支丹の恋人との結婚を許されない若い鋳物師、萩原裕佐 ― 鬱屈した心情を託し、彼女をモデルに聖像を造るが、それがあまりにも神々しかったため、信者と看做され処刑される。その聖像は恋人の踏み絵にも使われ……。殉教者の悲劇を描く中編。

*解説頁・竹山道雄


長與 善郎 (ながよよしろう)
「竹澤先生と云ふ人 前後篇」
 (たけざわせんせいというひと)


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*前篇202頁
*発行 昭和23年

*岩波文庫版カバー文
竹沢先生という地位も財産もなくしかも悠然として美しい生活を送る高雅な人物への回想というスタイルで,作者(一八八八‐一九六一)の人生観,世界観等が率直に語られた思想的エッセイともよぶベき長篇小説.平凡な日常生活の描写の中に常に真実なるものを追求してやまない作者の風貌がよく示された.白樺派文学の代表作.