絶版文庫書誌集成

新潮文庫 【の】

野上 弥生子 (のがみやえこ)
「森」
(もり)


*デザイン・新潮社装幀室
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*593頁
*発行 平成8年

*カバー文
明治33年、15歳の菊地加根は九州から東京の森の学園・日本女学院に入学した。恋愛、友情、嫉妬 ―― 「新しい女性」の理想を掲げた自由な校風の下、加根を取りまく女学生たちの青春の姿が細やかに描きだされ、明治の群像が瑞々しく蘇る。女性たちの自立への歩みであると同時に、幕末から明治30年代に至る文化史でもある豊潤なロマネスク小説。近代日本の百年を生きた著者の畢生の大作。

*解説頁・篠田一志


野原 一夫 (のはらかずお)
「回想 太宰治」 (かいそうだざいおさむ)


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*228頁
*発行 1983年
*カバー・川上澄生

*カバー文
若き旧制高校生の頃に太宰治を知った青年は、戦後一人の編集者として太宰と再会する。時代の脚光を浴び、破滅的な生活の最中で生き急ぐように旺盛な創作活動を続け、そして玉川上水への入水へと収斂してゆく晩年の太宰。その姿を柔らかな愛情と畏敬に満ちた目差しで見つめ続けた著者が、懐かしい人を、懐かしい日々を、数々のエピソードと共に生々しく甦らせる、〈わが青春の太宰治〉

*解説頁・奥野健男


野間 宏 (のまひろし)
「真空地帯」
 (しんくうちたい)


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*487頁
*発行 昭和47年

*カバー文
木谷上等兵は二年の刑を終え原隊に戻ってきた。なぜ自分が無実の罪に問われたか、誰が自分を陸軍刑務所に突き落としたのか? 秘密のカギを握る者は誰だ、そして真の"犯人"は! 巧みな構成の展開にしたがい"秘密"の核心は軍法会議、すなわち天皇制絶対主義のからくりに集約される。戦後はじめて、軍隊機構の末端である兵営の緻密な描写を通して日本軍国主義を批判した問題作。

*解説頁・多田道太郎


ノーマン・メイラー著・山西 英一訳 (Norman Mailer・やまにしえいいち)
「鹿の園」
(しかのその)


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*588頁
*発行 1970年
*カバー画像・平成5年発行「新潮文庫の復刊」版

*目録文
著者自身が一時期を過ごしたハリウッドを舞台に、乱淫、乱交、男色などのスキャンダル極まる性の世界を通して、爛熟した50年代アメリカ文明の腐敗と頽廃を描いた野心作。