絶版文庫書誌集成

新潮文庫 【と】

徳永 直 (とくながすなお)
「太陽のない街」 
(たいようのないまち)


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*283頁
*発行 昭和28年
*カバー・城所昌夫

*カバー文
大正15年、谷底街の住民数万の生死をかけて頑強な資本と権力に血みどろの抗争を続け、多くの犠牲者を出して敗れた共同印刷の大ストライキ。本書は、一印刷工として争議団の幹部であった作者の実体験にもとづいて描きあげたプロレタリア文学の記念碑的作品である。敗北した労働者の憤りや鬱屈した反抗の心情が生ま生ましく捉えられており、わが国における代表的民衆文学とされている。

*解説頁・岩上順一


外村 繁 (とのむらしげる)
「筏」 (いかだ)


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*263頁
*発行 昭和36年
*カバー画像・平成6年刊「新潮文庫の復刊」版カバー

*カバー文
江戸末期、時の老中水野忠邦の厳しい天保の改革を背景に、自らの曽祖父とその兄弟をモデルとして、奔放大胆な活躍により近江の大商人に成長していく様を描く。作者自身の血肉の源を克明に探求する徹底した視線と斬新な構成で昭和文学に大きな足跡を残した渾身の力作。野間文芸賞受賞。

*解説頁・吉川英治


トマス・ウルフ著 / 大沢 衛訳 (Thomas Wolfe / おおさわまもる)
「天使よ故郷を見よ(上下)」
(てんしよふるさとをみよ)


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*上470頁・下484頁
*発行 1955年
*カバー画像・平成5年刊「新潮文庫の復刊」版カバー

*目録文
“アメリカの夢”を抱く青年の成長と挫折。自伝的長編小説。

*下巻カバー文
次第に自我に目覚め、未知への憧憬と自意識の相克に悩むユウジーン。政治家を志し、州立大学に進むが、ドイツとの戦争によって荒廃していく周囲の精神状況のなかで、彼は夢多き若者特有の孤独と辛酸を舐め、精神の飢えと格闘していく。アメリカ青年の精神的放浪を描く一大叙事詩。

トマス・ハーディ著 (Thomas Hardy) / 大沢 衛訳 (おおさわまもる)
「帰郷 (上下巻)」 (ききょう・THE RETURN OF THE NATIVE)


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*上巻328頁・下巻342頁
*発行 昭和29年

*カバー画像・平成6年刊「新潮文庫の復刊」版カバー

*カバー文
ヒースやハリエニシダの繁る広大なエグドン荒野を舞台に、そこに生を受けた激情の女ユウステーシアと、虚栄の都パリでの生活に倦み故郷に身を捧げようと帰郷した青年の悲劇的恋愛を描く。詩情溢れる自然描写と鋭角的な性格描写があいまってギリシャ悲劇を思わせるハーディ中期の傑作。

*解説頁・大沢衛


トーマス・マン著・佐藤 晃一訳 (Thomas Mann・さとうこういち)
「詐欺師フェーリクス・クルルの告白」
(さぎしふぇーりくすくるるのこくはく)


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*262頁 / 発行 昭和26年
*カバー画像・平成6年刊「新潮文庫の復刊」版カバー

*カバー文
19世紀末のヨーロッパを舞台に展開する表題作は「この世にいささかなりと高級な笑いをもたらす」ことを念願したノーベル賞作家マンの最後の長編だが、本書では、魅力的な芸術家気質の主人公クルル青年の世界観と兵役回避までが訳出されている。他にモーゼの十戒の物語「掟」を収録。

*解説頁・佐藤晃一


富田 常雄 (とみたつねお)
「姿三四郎 上中下巻」 
(すがたさんしろう)

  
*カバー装画・村上豊 (画像はクリックで拡大します)


*昭和61年テレビアニメ化カバー
 ”青春アニメ全集”原作シリーズ (C)日本アニメーション / NTV (画像はクリックで拡大します)


*上巻506頁・中巻548頁・下巻482頁 / 発行 昭和48年

*カバー文
上巻
明治開花期の浮薄な欧化主義に抗して、伝統的民族主義に根ざす人間の道としての“柔道”を興した矢野正五郎。その紘道館道場に入門した姿三四郎は、やがて四天王の一人として、壮絶な“山嵐”をもって旧来の柔術諸流の挑戦を退け、師の理想の体現に励む。試練に耐え死闘を切り抜け、柔道一途に生きる青春の夢と苦悩、反逆と自省を描きつつ、明治のロマンティシズムを謳いあげた不朽の名作。
中巻
心明活殺流の門馬三郎、良移心当流の村井半助ら柔術諸流の強豪を“山嵐”の一閃にくだした三四郎は、当代一の実力者檜垣源之助の果し状を受け、死闘を展開する。さらに紘道館の掟を破って、米人拳闘家と戦い、唐手の挑戦を雪深き峰の薬師に受けた彼は自ら紘道館を去った。敗北を知らない三四郎は、しかし、飽かざる闘争心と血に渇した征服欲・功名心の的になる自分が悲しかった……。
下巻
許されて紘道館に帰った三四郎を待ち受けていたのは、西日本を代表する柔術の天才児津久井譲介との東西争覇戦であった。優るとも劣らぬ相手の技術と修業の深さを知ったとき、三四郎に勝利の自信はなかった……。
軽薄な欧化主義と過激な国粋主義の渦巻く、鹿鳴館時代から日清戦争に及ぶ明治の風雲を背景に、一つの青春の理想像を造形し、時代の枠をこえた感動を呼ぶ傑作の完結編。

*解説頁(下巻収録) 尾崎秀樹