絶版文庫書誌集成

春陽文庫 【お】

小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう)
「完全犯罪
他8編」 (かんぜんはんざい)


*カバー装画・伊勢良夫
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*422頁 / 発行 1996年

*カバー文
 日本の探偵小説史上においてエポックメイキングな作品として記憶されるのは、大正十二年四月に『新青年』誌上に掲載された江戸川乱歩の「二銭銅貨」と、昭和九年四月から十二月まで連載された小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」の二件だろう。とくに、後者は前年に、彗星のように突然現れて一躍斯界の注目を集め、人気を決定づけた八〇〇枚の大作である。江戸川乱歩は“恐らく大英博物館でも、その種の猟奇耽異の陳列品を、目まぐらしく〈ママ〉楽しむことは出来ないであろう”と絶賛した。その異才ぶりがしのばれる感想である。
 本書は『完全犯罪』は昭和十一年十月の刊行で、記念すべき表題デビュー作の他八編を収めて、この作家が創作活動を始めた直後の熱気が十二分に感じられる一冊である。

*目次
 前説 山前譲 / 完全犯罪 / W・B会綺憚 / 夢殿殺人事件 / コント(A) / 聖(セント)アレキセイ寺院 / コント(B) / 後光殺人事件 / 寿命帳 / 失楽園殺人事件 / 講説 山前譲

*挿画・伊勢良夫