絶版文庫書誌集成

春陽文庫 【し】

城 昌幸 (じょうまさゆき)
「江戸っ子武士道 ― 海舟と南洲」
 (えどっこぶしどう)


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*245頁
*発行 1995年
*カバー装画・小宮山逢邦

*カバー文
 “やっぱり、日本は美しいなあ!”
 万延元年(一八六〇)五月五日、端午の節句の日、浦賀の港で『咸臨丸』の手摺から身を乗り出すようにして四カ月ぶりに故国日本の山河を眺めているのは、あの歴史的壮挙であるいわゆる遣米使節一行の中の軍艦操練教授方頭取・勝麟太郎その人であった!
 が、船中取調べの浦賀奉行所付与力から、この年三月三日上巳の節句の日の雪の朝、登城の途中で大老井伊掃部頭直弼が水戸藩の浪士たちの襲撃により斬殺されたことを初めて知らされることになった! これ以後、大変革の暴風雨が軍艦奉行の勝海舟を襲うことに……!?
 ― 幕末維新、この日本の大難局を勝海舟の“江戸っ子気質”の武士道が救う!


城 昌幸 (じょうまさゆき)
「虚無僧変化―若さま侍捕物手帖」
 (こむそうへんげ−わかさまざむらいとりものてちょう)


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*302頁 上下二段組頁
*発行 1986年(新装版)
*カバー装丁・辻通治(原画・国貞 静喜堂文庫所蔵より)

*カバー文
―大江戸に起きる謎の怪事件にいどむ“捕物名人”若さま侍、颯爽の名裁きは……!?
 日本橋伊勢町の薬種問屋堺屋長兵衛の美人娘、秋には祝言を控えるというおあいが、衆人環視の厳重な警戒の蔵の中から誘拐され、行くえ知れずになるという怪事件が発生した! おあいをさらっていったのは、妖術を駆使するという梵論字(ぼろんじ・虚無僧)であった! そして、その要求するところは長兵衛の持つ南蛮勘定帳との引き替えであった! 南蛮勘定帳とは!?
 また虚無僧は、将軍家お側衆を勤める二千石の旗本原土佐守へも“姫君所望”と通告の上、用心堅固な屋敷へ出現した! 謎はされに広がる? 虚無僧の狙いとその正体は……!?
 ―オランダ抜け荷買いの一件にからむ事件の謎を解く“若さま侍”シリーズ長編大作!


城 昌幸 (じょうまさゆき)
「五月雨ごろし ― 若さま侍捕物手帖」
 (さつきあめごろし・わかさまざむらいとりものてちょう)


*カバー原画・国貞
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*264頁・上下二段組頁
*発行 昭和60年

*カバー文
 ここ江戸柳橋は米沢町、大川沿いの船宿『喜仙』に居候をきめこむ正体不明の若さま侍、よほどの身分の出とも思われる悠揚迫らぬのびのびとした人柄だが、ことのほかに酒好きのたちらしく、いつも昼間っから高脚膳付きの徳利を傾けているという次第だが、そのお酌をしているのがことし十九になるこの船宿の亭主甚兵衛のひとり娘、おきゃんな性質だが利発で愛くるしいおいとだ! が、どうやらこれがまた若さまにぞっこん"ホの字"らしいときている!
 そのおいとの膝枕ででも寝てしまいそうな無邪気な若さまへの恋情も、もとより身分違いときているからややこしい! とにかく、だれからも慕われて屈託のないのが若さまなのだ!
― 剣にも女にも強い若さま侍の名推理が颯爽と難事件の謎を解く"捕物手帖"全10話!


城 昌幸 (じょうまさゆき)
「天を行く女 ― 若さま侍捕物手帖」
 (てんをゆくおんな−わかさまざむらいとりものてちょう)


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*239頁・上下ニ段組頁
*発行 昭和60年(新装版)
*装丁・辻通治(原画・国貞 静喜堂文庫所蔵より)

*カバー文
――南町奉行所よりの依頼をうけて起ち上がった若さま侍、さて今回の難事件は……!?
 千代田城大奥、将軍の寝所に煙のごとく影のごとく夜な夜な怪しの化け物――全身白々と浮かび上がり印を結んだ形姿の老体が出没するという怪事件が発生していた……!? それは、将軍家のお命を縮めんとたくらむ南蛮渡りの手妻か、はたまた生霊ででもあろうか……!?
 その妖怪変化の陰の主謀者は、徳川に怨みをいだく島原の乱の残党森宗意軒の遺鉢を継ぐ、恐るべき念術を駆使する一団であった! そして、本朝念術宗家の印可を争い、家門の名誉を賭けるニ家の念術試合に驚嘆すべき事実が隠されていた! 颯爽若さま侍は……!?
 ――本朝ヨガ念術宗家印可の争いにからむ謎の事件を解く"若さま侍捕物手帖"長編作!


城 昌幸 (じょうまさゆき)
「人化け狸―若さま侍捕物手帖」 
(ひとばけたぬき-わかさまざむらいとりものてちょう)




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*255頁・上下二段組頁
*発行 昭和60年(新装版)

*カバー文
黒羽二重の着流しに長刀をたばさみ、無精たらしい懐手姿ながら、若さまの捕物についての腕前は天才的だ! その的確な観察と妥当な推理、そして直感の鋭さといったことにかけては、正に天下独歩の才のあることをだれよりもよく承知しているのが、南町奉行所付きの御譜代組与力佐々島俊蔵配下のお上御用聞き遠州屋小吉と子分の追い回しの太吉の二人! 佐々島は若さまとは対照的に酒もやらない謹厳居士で、儒者のような重厚な人物なのだが、それがどうやら若さまとは主従の関係にあるらしい! そんなことから、小吉は手に負えぬ難事件にぶつかるとしばしば大川端の船宿『喜仙』に居候をきまこむ若さまを訪ねる! ― 風流閑雅な若さま侍の名推理が颯爽と江戸の難事件の謎を解く"捕物手帖"全14話!

*目次(収録作品)
心中歌さばき / 双面黄楊(つげ)の小櫛(おぐし) / 悪鬼羅刹(らせつ) / 娘八卦沢火革(むすめうらないむねにたくひ) / 埋蔵金お雪物語 / お色屋敷 / 金梨子地空鞘(きんなしじからざや)判断 / 十六剣通し / 舟石夜船詮議 / 面妖殺し / 鳥追い地蔵 / 人化け狸 / お高祖頭巾 / 幽霊泥棒


城 昌幸 (じょうまさゆき)
「双色渦巻―若さま侍捕物手帖」 
(ふたいろうずまき)


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*259頁・上下二段組頁
*発行 1985年(新装版)
*装丁・辻道治(原画・国貞 静嘉堂文庫所蔵より)

*カバー文
 年のころは三十と四五、美男というほどではないかりんとした風貌で、一見したところは浪人者なのだがなぜか“若さま”と呼ばれる!? と呼ばれてるわりには至って行儀が悪く、居候をきめこんだ大川端の船宿『貴仙』の二階座敷の床柱を背に右立膝の左懐手、天下泰平といった顔つきで酒仙よろしく剣菱を楽しんでいる! その大様なところは百万石の大大名とも見うけられるのだが、この若さまには不思議な才能があって、これがまた天才的!
 その才能とは捕物にかけての腕前で、的確な判断と妥当な推理、中でも直感力の鋭さでは天下一品! ……で、御用聞きの遠州屋小吉が手に負えない難事件を持ち込んでくる!
  ― 正体不明の若さま侍の名推理が颯爽と江戸の難事件の謎を解く“捕物手帳”全七話!

*目次
けむり騒動 / 花見茶番 / ふたつ姿 / 藤八拳(とうはちけん)ごろし / 双色渦巻 / 地獄図絵 / 悪心善心


陣出 達朗 (じんでたつろう)
「わんぱく三度笠」
(わんぱくさんどがさ)


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*226頁・上下二段組頁 / 発行 昭和63年
*装画・成瀬数富

*カバー文
 淀城十万二千石稲葉家の次男若殿亀千代は、駿州田中城本多家の鶴姫との縁組みを嫌い、腰元霞の手引きで、自由を求めて城を出た! 真影流刀法の達人亀千代と、女ながらも神道夢想流の杖術を身につけた美女霞の両人の行く手に待っているものは果たしてなにか……!?
 清水港は鬼よりこわい、次郎長一家の威勢のいい兄い桶屋の鬼吉と行をともにすることになった亀千代は名も亀吉と変えて、任侠道を志す! 四国の有名な勤皇派の親分日柳猿赤(くさなぎえんせき)の知遇を得た亀千代は、動乱の京へと上っていく! 新選組を向こうに回し、破邪顕正の剣をふるう祇園天狗とはそも何人か!? そして、美女腰元霞の真の正体は……!?
―― ユーモア味たっぷりの時代小説のたのしさを盛り込んだ明朗痛快長編作!