絶版文庫書誌集成

春陽文庫 【た】

高木 彬光 (たかぎあきみつ)
「あばれ振袖」 (あばれふりそで)


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*282頁 / 発行 昭和58年
*カバー装画・辰已一平

*カバー文
 江戸の名奉行遠山左衛門尉景元(とおやまざえもんじょうかげもと)と瓜二つ、その影武者として活躍するは長州浪人神尾左近(かみおさこん)!
 麻布本村町の古道具屋浜野屋の美しい娘お柳(りゅう)は、不逞浪人輩を軽く手玉にとるくらいに、一刀流の剣技、渋川流の柔術の使い手であった! お柳は実は、柳太郎とよばれる美男若衆であったが、その陰には相馬中村藩六万石のお世継ぎをめぐる騒動が隠されていた……!?
 相馬藩主重胤(しげたね)公は病床にあり、江戸家老外村伝右衛門がひそかに陰謀をめぐらしていた! 女賊稲妻お妙、すばしりのお綱、不動の権次といった悪党を手先に使う外村の策謀とは!?
 奥州路に旅立った柳太郎の後を相馬藩の刺客(せっかく)五人組が追う! 神尾左近も騒乱の渦中へ!
  ― 時代・推理文壇の雄高木彬光が贈る、ご存じ傑作伝奇編“素浪人シリーズ”の大作!


高木 彬光 (たかぎあきみつ)
「刺青の女 ― 千両文七捕物帳」
 (いれずみのおんな・せんりょうぶんしちとりものちょう)


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*272頁
*発行 1983年

*目録文
時代推理、捕物帳の傑作編! 巨匠高木彬光が贈る“千両文七捕物帳シリーズ”江戸八百八町のその名も神田白壁町の長屋にひとり住まいの捕物名人、それは泉屋文七こと、人呼んで“千両文七”!! 従う子分は合点勘八! さて、事件は……


高木 彬光 (たかぎあきみつ)
「江戸悪魔祭 上下巻」 
(えどあくまさい)




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*上224頁・上233頁
*発行 昭和60年
*カバー・辰巳一平

*カバー文
【上】
 初秋、夜深の江戸上野は不忍池のほとりを、鬼面をつけた一人の娘が徘徊していた……!? その娘を襲った二人連れの男は、娘の見事な柔の技前によって、いとも簡単にしりぞけられてしまった! その不思議なさまを、八瀬新八郎はじっと目撃していた! そして、これを発端として、浪人八瀬新八郎は怪奇な事件の渦中へとまき込まれていった!
 八瀬新八郎は池之端の貸元和尚の甚兵衛のもとで用心棒をつとめていた浪人であったが、その腕前を見込んだ江戸南町奉行鳥居甲斐守の秘命を受けて、その下で働くことになった! 稲荷町の常吉の下っ引き米七が、“悪魔祭り”という奇怪な言葉を遺して何者かに殺された!
“江戸悪魔祭り”とはいったい何か……!? ― 巨匠高木彬光が贈る伝奇時代快作巨編!

【下】
“雪の常盤”の大刺青(おおほりもの)を背中いっぱいに背負った不思議な女おわかの出現! 大塩平八郎の遺児お春・お秋姉妹の活躍! そして、浪人八瀬新八郎快刀乱麻の活躍は!?  ― 物語は、伝記時代小説の楽しさを結集して波瀾万丈、抜群のおもしろさをもって後編へ!
 蔵前の札差梅田屋嘉右衛門の根岸の寮は、なぜか“悪魔屋敷”の異名で呼ばれていた! その秘密をさぐるべく八瀬新八郎とお秋の二人が、梅田屋敷へと忍び込んでいった……!?
 江戸を騒がす怪事件に、遠山左衛門尉と鳥居甲斐守の南北両町奉行はお互いに競い合った!
 キリシタンの陰謀は阿片たばこをひそかに使用して、千代田城内を騒動の渦中に陥れんと謀っていた! 大胆不敵な陰謀阻止のために、正義の士八瀬新八郎の剣は躍る ― !


高木 彬光 (たかぎあきみつ)
「隠密愛染帖」 (おんみつあいぞめちょう)


*装画・辰已一平
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*230頁 / 発行 昭和60年

*カバー文
 大江戸を騒がす怪盗・日本左衛門 ―― ! 左衛門こそ以前は浜島庄兵衛と名のり、尾張の名君・徳川万五郎宗春の側近に仕えた人物であった! 第八代将軍吉宗と尾張宗春との間に展開された熾烈な隠密合戦に活躍する日本左衛門の動向をじっと見つめる名奉行は、南町奉行所の大岡越前守忠相であった! また、柳営の隠密全体を支配する旗本・青山播磨守のたくらむ恐るべき陰謀とははたして何であったか……!?〈「美女と怪盗」〉
 不敵な挑戦状を大岡越前守の眼前にはり出した人物は、恐るべき緑林流の使い手・日本左衛門であった! 幕府方の隠密頭・栗田久内を向こうに回しての活躍は!?〈「隠密白浪」〉
 ―― おもしろさ横溢の白熱の物語“日本左衛門”シリーズ作、全五話構成の痛快傑作編!

*目次
美女と怪盗
隠密白浪
隠密若衆
振り袖浪人
怪盗まかり通る


高木 彬光 (たかぎあきみつ)
「隠密月影帖 影の巻・下」
(おんみつつきかげちょう)


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*232頁
*発行 昭和60年
*装画・辰已一平

*カバー文
 南町奉行所奥の間で大岡越前守と与力鈴木清吉郎の主従が語り合っていたが、越前守は謎の浪人三日月新之助の正体を美濃国安藤対馬守の家臣音江新之助であると探知していた! その新之助との剣の対決を待つ隠密隊と竜斉道場の面々を襲撃する怪盗日本左衛門一味!
 怪盗日本左衛門一味の将軍暗殺計画! 将軍隠密隊の万五郎通春抹殺計画! ―― 八代将軍吉宗と尾張万五郎通春との間の隠密合戦の火の手はいよいよ燃え上がっていた ―― !
 ―― 将軍位継承の痼(しこり)を残す八代将軍吉宗と尾張藩主宗春の確執に由井正雪の遺した莫大な軍用金の謎を秘めた“百人一首写本”上下二巻の行くえをめぐる峻厳苛烈な争いをからめ、虚実とりまぜた多彩な人物を登場させて目も綾に織りなす魅力総結集の一大伝奇時代傑作!


高木 彬光 (たかぎあきみつ)
「隠密月影帖 月の巻・下」
(おんみつつきかげちょう)


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*226頁
*発行 昭和60年
*装画・辰已一平

*カバー文
 両国の盛り場で「命売り物」の貼札をして尾沢屋伊兵衛こと怪盗木鼠伊兵衛に千両で買われた謎の浪人三日月新之助は、その依頼を受けて怪盗日本左衛門の命をねらううちに、大川のほとりで瀕死の男から風呂敷包みを預けられたが、それこそ慶安の変の由井正雪が遺した莫大な隠し財宝の謎を秘めた“百人一首写本”上下二巻の上巻一冊であった……!? そして、将軍位継承の痼(しこり)を残す八代将軍吉宗と尾張宗春との確執の渦中にまき込まれいった!
 その写本上巻は六代将軍の愛妾天樹院の手へ! そして、下巻ははたしてだれの手に!?
 ―― 由井正雪が遺した莫大な隠し財宝の謎を秘めた“百人一首写本”上下二巻の行くえをめぐって将軍家と尾張藩、そして怪盗たちと将軍隠密隊との虚々実々の争いが展開する!


高木 彬光 (たかぎあきみつ)
「隠密独眼竜」 (おんみつどくがんりゅう)


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*227頁 / 発行 昭和59年
*カバー装画・辰已一平

*カバー文
 大坂夏の陣により豊臣家が滅亡して二十五年、祖母に淀君、父に秀頼をもって美しく成長した夜叉姫を擁し江戸に出没しはじめた真田残党の面々とは、白髪白髯の疾風道人と名のる霧隠才蔵の息子であり、上野の商家備後屋丹左衛門という真田幸村の遺児幸之助であった!
 六連銭に怨念を込めてお家再興の悲願に燃える真田残党は、「将軍家お命、きたる十八日にちょうだいつかまつり候」という挑戦状を、鉄壁の防備を誇る江戸城中深くつきつけた! 家光の命をねらう不敵な陰謀に対する松平伊豆守と将軍家お手直役柳生但馬守の秘策とは!?
 その千代田城天守閣で、侵入者を追った隻眼の剣豪柳生十兵衛光厳の豪剣がひらめいた!
  ―― 真田十勇子〔ママ〕の忘れ形見の挑戦に颯爽の活躍をみせる“柳生十兵衛”シリーズ長編作!


高木 彬光 (たかぎあきみつ)
「怪傑修羅王」 (かいけつしゅらおう)


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*324頁
*発行 昭和59年
*カバー装画・辰已一平

*カバー文
 安政四年(一八五七)春三月のころ、関白九条家で催された演能の舞台から、金剛宗家の若先生と呼ばれる竜之助が姿を消した!? そして、江戸の片隅で金剛流謡曲指南の看板を出して暮らす浪人小枝(さえだ)竜之助に変身していた! その目的は、はたして何であったか……!?
 大老井伊直弼の懐刀長野主膳の秘命で天人お島、木鼠の総吉の二人が長州藩の大物桂小五郎の命をねらっていた! その小五郎の駕籠を襲撃した黒覆面の一党の前に出現した白頭巾の剣士、“修羅王”と名乗り天下一夢想流の達人である謎の剣客の正体は!? 旗本松平上総介(まつだいらかずさのすけ)により結成された浪士組には、牛込柳町の道場試衛館の近藤勇、土方歳三が参加した!
 ―― 幕末狂乱の終末期を背景に、謎の剣客修羅王と近藤勇の剣豪の対決を描く痛快大作!


高木 彬光 (たかぎあきみつ)
「血どくろ組」
(ちどくろぐみ)


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*249頁
*発行 昭和58年
*カバー装画・辰已一平

*カバー文
 江戸の町を恐怖の底に陥れる謎の一団、女首領お蘭さまに率いられる“どくろ組”とは!?
 ときに江戸南町奉行は、弘化二年(一八四五)三月に返り咲いた天下の名奉行とうわさも高い遠山左衛門尉景元であったが、この不敵なる一団の挑戦を左衛門は受けて起った ― ! 左衛門尉景元の隠密として働くものに、元女賊の十六夜(いざよい)お蓮と女形同心曽根俊之輔がいた!
 加賀候のお雪献上行事でにぎわう本郷の町で、行き倒れになっていたところを目明しの茗荷屋伝吉に救われた侍は、小日向台町の直参桐島伊織であった! が、不思議なことに、伊織は過去三年余の記憶をまったく喪失していた!?  ― 幕閣の上層部までも腐敗に陥れる恐怖の秘密を記す“血どくろ文”の争奪をめぐり善悪まんじと入り乱れる伝奇時代傑作編!


高木 彬光 (たかぎあきみつ)
「どくろ観音 ― 千両文七捕物帳」 (どくろかんのん−せんりょうぶんしちとりものちょう)


*カバー装画(新装版)・堂昌一
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*300頁 / 発行 1998年(新装版)

*カバー文
 捕物帳小説の決定版! 巨匠高木彬光が贈る“千両文七捕物帳”シリーズ作!
 ある雨の夜、神田白壁町の長屋に住む捕物名人千両文七のもとに、一丁の駕籠が着いた! 駕籠の中からもれる女のうめき声に文七がのぞいてみると、妙齢の美女が後ろ手に縛り上げられていた! その髪にくくりつけられていたのは、大江戸を騒がす凶盗どくろ小僧からの挑戦状であった!? さらに、女の玉の肌には無惨にも“どくろ”の彫りものが……!?
 人形小町と評判の美女、日本橋大和屋長兵衛の娘お美和の玉の肌に刻まれた“どくろ”の刺青にまつわる謎に、千両文七は朱房の十手も颯傘と立ち向かった! (「どくろ観音」)
 読んで楽しい時代推理の傑作編「千両文七捕物帳」全十二話収載の豪華版!

*目次
天狗の仇討ち / 妖異雛人形 / 女天一坊 / 火炎太鼓 / 白鬼草紙 / 新牡丹燈籠記 / 怪談一つ家 / 荒寺の鬼 / 離魂病 / 首なし役者 / 娘将棋師 / どくろ観音


高木 彬光 (たかぎあきみつ)
「人斬り魔剣」 (ひときりまけん)


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*228頁
*発行 昭和59年
*カバー装画・辰巳一平

*カバー文
  ― 命売り物、価面談! 物見高いは江戸の常のことばのとおり、“命を売る男”の出現に両国の盛り場は黒山の人だかり! 備州池田藩の浪人で、青貝進之丞と名のるその男の命を千両で買いたいと申し込んだのが、櫛巻き唐棧姿もあだっぽい自雷也お菊であった!
 両肌ぬいだ背中一面に、彩色も豊かな大蝦蟇の上に乗って妖術を使う自雷也の刺青(ほりもの)をもつお菊が、天涯孤独の素浪人青貝進之丞を買い込んでねらう目的ははたして何か……!?
 時に老中水野越前守の緊縮令きびしい世であったが、江戸の巷には怪盗自雷也小僧が跳梁していた! お菊に買われた青貝進之丞は、旗本屋敷へ忍び入った!?(第一話・女自雷也)
  ― 腐敗した世に背を向けた元池田藩浪人青貝進之丞の秘剣が冴える傑作シリーズ全七話!


高木 彬光 (たかぎあきみつ)
「風雲の旗」
(ふううんのはた)


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*246頁
*発行 昭和61年
*装画・辰已一平

*カバー文
 時は戦国 ―― ここ九州阿蘇山をのぞむ山戸城の城主に、平家落ち武者の末裔で、白地に赤い日の丸の旗印をかかがる猛将山戸小平太と息子小太郎がいた! 家老村松兄弟は悪計をめぐらし、ついに城主小平太の命を奪った! そして、小太郎の身にも危機が迫る……!
 安徳天皇の裔を自称して雲取山に砦を構え、帝の座に野望を抱く山賊雲太郎に捕えられ、地下の水牢に押し込められた山戸小太郎の危急を救ってくれたのは美少女千菊であった! 
 怪力僧日念・千菊の後を追って小太郎もまた京へ……! 山賊雲太郎一味の謀計に対し、小太郎方には楠流兵学者楠正則、槍の達人早坂虎之助、剣投げの才蔵らが味方についた!
 ――“日の丸”の旗印の秘密をめぐる動乱のはてしなくつづく血湧き肉躍る戦国冒険物語! 


高木 彬光 (たかぎあきみつ)
「風来浪人(上下)」 (ふうらいろうにん)




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*上250頁・下253頁
*発行 昭和61年
*カバー装画・辰已一平

*カバー文

根岸お行(ぎょう)の松あたりで激しい雷雨に遭った上野黒門町の目明し和泉屋清吉と子分の六助の両人は、薬種問屋の豪商千歳屋の別宅に雨を避けた! 別宅の前の小川を流れる一枚の紙片が清吉の目をひいたが、それには赤い絵の具で、紅蝙蝠の絵が描かれていた……!?
 千歳屋の主人庄右衛門を浅草花川戸の人入れ稼業の元締め相模屋吉兵衛との間に交わされていた話は、老中筆頭の田沼意次と縁続きの五千石の旗本榊原主膳の側妾(そばめ)に、千歳屋の娘お千代をさしだす話であった! お千代の恋人船越三之丞を別宅によびよせたが、別宅の用心棒を務める日野道場の桑原進之助に三之丞はその行く手を阻まれた! やむなく桑原にかすり傷を負わせた三之丞であったが、何者かが桑原の背中から胸を刺し通して桑原を殺した!?


“紅蝙蝠”の謎を追って活躍するは、風来山人こと平賀源内とその愛弟子の船越三之丞であった! 巨匠高木彬光が描く「風来浪人」の波乱万丈の物語は、読者の期待に応えるべく、満を持して後編のハイライト場面へと展開してゆく!
「紅蝙蝠を探索中、千歳屋庄右衛門が監禁されている場所を発見した……」と書かれた手紙を受け取った船越三之丞は榎屋敷へと直行した! その地下牢で千歳屋の死体を見出した!? 「わしは かいぞくのなかまではない……」云々と書き残された千歳屋の遺言であった!
三之丞は座敷に仕組まれていた落とし穴に不覚にも落ちこんでしまった! 危うし三之丞!
 一方、三之丞の恋人お千代も何者かの手でさらわれるという不運に見舞われてしまった!?


高木 彬光 (たかぎあきみつ)
「蛇神様」 (へびがみさま)


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*337頁 / 発行 昭和62年
*カバー装画・辰已一平


*カバー文
 江戸の夜を行く奇怪なきつね駕篭の行列! 蛇神さまがまき起こす動乱とは!? 颯爽と怪事件に立ち向かう北町奉行遠山左衛門尉景元! 巨匠高木彬光、渾身の力作伝奇時代長編!
 掏摸の妙見の清吉が怪しの侍からすりとった紙入れの中の文には“十五日夜、亀戸水神の森のあたりに手配いたすべく候…”と記されたきつね駕籠にまつわる不審な動きであった!
 女賊十六夜(いざよい)お蓮は、易者白雲斎の指示を仰ぐべく長屋に出向くと、隣りに住む若い浪人者五十嵐伊織も共にきつね駕籠の探索に立ち上がることになった!
 オランダ渡りの異国の笛の音色が鳴り響くと、蛇神さまの怪異が起こる!? からくり屋敷に秘められたおそるべき陰謀とは!? そして、動き回る蝋人形がもたらす謎とは……!?


高木 彬光 (たかぎあきみつ)
「魔剣青貝流」
(まけんあおがいりゅう)


*装画・辰已一平
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*223頁 / 発行 昭和59年

*カバー文
 魔剣青貝流の達人、人呼んで“人斬り浪人”こと青貝進之丞の無類の活躍、さて今回は!?
 退屈の虫をもてあまして、あてもなく上野広小路をゆく大江戸無宿人、元備州池田藩浪人青貝進之丞を呼び止めたのは、売卜者(ばいぼくしゃ)天玉堂白蓮と名のるお高祖頭巾(おこぞずきん)の美女であった!
 その白蓮の卦は女難剣難にあらず、一国一藩の浮沈に係わる一大事の渦中にまき込まれるその奇怪な予言のとおり、進之丞は西国肥前小城藩をめぐる騒動にまき込まれていった!?
 すりの手を経て進之丞が入手した紫の袱紗包みの中に入っていた連判状こそ、藩の浮沈を秘めた密書であった!? 江戸家老村井源右衛門一派の凶刃が進之丞に迫る!(血の連判状)
 ―― 腐敗した世に背を向けた素浪人進之丞の魔剣が冴える快作シリーズ、全六話!

*目次
血の連判状 / 蛇面観音 / 緋牡丹くずれ / 帯解け剣法 / 謎のどくろ頭巾 / 謎の虚無僧


鷹羽 狩行 (たかばしゅぎょう)
「鷹羽狩行 自選三百句」
俳句文庫



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*202頁 / 発行 平成五年
*装画・佐藤廣喜「ヒメリンゴ」 / 装幀・相葉和子


*目次
対談 わが俳句を語る 鷹羽狩行 / 村上護
T 誕生 遠岸 平岸
U 月歩抄 五行 六花
V 七草 八景 長城長江抄
W 第九 十友
わが師、わが結社 … 片山由美子
句集・著作一覧
鷹羽狩行略年譜
初句索引


多勢 尚一郎 (たせしょういちろう)
「若獅子一刀流」 
(わかじしいっとうりゅう)


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*255頁
*発行 昭和53年
*カバー装画・成瀬数富

*カバー文
 遠州三保の松原からブラリと江戸の町へやってきた旅侍。さっそうたる若者の名を羽衣舞太郎という! 品川宿の街道筋で花川戸の山甚一家のやくざたちに苦しめられていた子どもを舞太郎は救ってやった。その場をながめていた与七という男と舞太郎は知り合った。
 羽衣舞太郎こと笠晴太郎(りゅうせいたろう)は、伊豆韮山代官江川坦庵(たんあん)の門下生であった。江戸の町に姿を現した晴太郎が、羽衣舞太郎の仮名のもとに探索せんとするものは何であったか!?
 舞太郎を両国米沢町の踊りの師匠西川流扇次(せんじ)の家に案内した与七と、扇次ことおせんは兄妹であった。美女おせん、越後屋のお竜、唐津屋の娘お糸らと知り合った舞太郎は!? 一方、虚無浪人大倉蔵人(くらんど)とともに山甚一家と対立する舞太郎の行くてには!?――時代長編痛快作!


耽綺社同人 (たんきしゃどうじん)
「〈合作探偵小説〉空中紳士」
(がっさくたんていしょうせつ くうちゅうしんし)


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*281頁 / 発行 1994年
*カバー装画・掲載誌挿絵により構成
*執筆者=土師清二・長谷川伸・国枝史郎・小酒井不木・江戸川乱歩・平山蘆江

*カバー文
 R国皇太子ルール殿下は国内紛争のため日本へ逃れ、変名で巽小路侯爵邸に隠れていた!
 女性記者の星野龍子がカフェ『シセリア』で友人平山松太郎とこのことを話題にしていると、同じカフェで不思議な男がマダムの長川伸子に向かって、「今夜限りに、わたしという男はこの世界から消えてしまう」と泣きながら訴え、立ち去っていった……!?
 その翌日にルール殿下の姿が消え、さらに数日後には侯爵が変死を遂げる!? その現場に居合わせた星野龍子は侯爵のポケットに残されたメモを頼りにルール殿下の行方を追う!?
 一方、侯爵の弟が二十年ぶりに帰国して間もなく、侯爵夫人が謎の失踪を遂げた……!?
 ―― R国皇太子と巽小路侯爵家をめぐって続発する怪事件の謎とは!? 怪紳士響晰とは!?

*解説頁・山前譲


耽綺社同人 (たんきしゃどうじん)
「〈合作探偵小説〉南方の秘宝」
(がっさくたんていしょうせつ なんぽうのひほう)


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*217頁 / 発行 1994年
*カバー装画・掲載誌挿絵により構成
*執筆者=土師清二・長谷川伸・国枝史郎・小酒井不木・江戸川乱歩・平山蘆江

*カバー文
 中京の盛都名古屋で代々呉服商を営んできた松丘家だったが、番頭の横領と当主の失踪によって破産状態に陥ってしまった! そして、それから七年 ――
 二十三歳になった長男鍵一だったが、最後の頼みの綱であった“七宝の花瓶”を盗まれ、絶望のあまり恋人中込寿美子と古美の海岸で心中を企てた! その花瓶には松丘家に永年伝わる宝物を隠した場所を示す暗号模様が描かれていたからだった!
 ところが、運よく助けられた二人は、海辺に捨てられていた花瓶を漁師が拾っていたことを知って驚くとともに、その僥倖に力を得て宝探しの謎解きに再度挑むことになったが……!?
 ―― 表題作の他に「意外な告白」、第一回作品「残されたる一人」(脚本)を併収した!

*解説頁・山前譲


耽綺社同人 (たんきしゃどうじん)
「〈合作探偵小説〉 白頭の巨人」
(がっさくたんていしょうせつ はくとうのきょじん)


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*220頁 / 発行 1994年
*カバー装画・掲載誌挿絵により構成(本文さし絵とも青木龍三郎)
*執筆者=土師清二・長谷川伸・国枝史郎・小酒井不木・江戸川乱歩・平山蘆江

*カバー文
 真昼の昼下がり、東京駅頭で一人の老紳士が突然苦しみだし、変死を遂げた! この老紳士は国家的な重大発明に係わる雪岡博士で、その貴重な研究書類も奪われてしまっていた!?
 博士急死の連絡を受けた雪岡家では令嬢美智子が現場へ、助手東章夫が研究室へ書類を確かめに行ったがそこに怪しい男が現れ、彼はいずこへともなく連れ去られてしまった!?
 途方にくれた美智子は、知人の明石不二夫を訪ね、事件の調査を依頼することにした! 明石の行方不明と雪岡博士とはかつてカロリン群島にいたときの知合いであった!
 美智子に対する不審な言動から雁金博士への容疑が濃くなったが、当の博士が忽然として姿を消してしまった!? ―― カロリン群島にまつわる謎とは!? そして、はたして犯人は!?

*解説頁・山前譲


*耽綺社とは(春陽堂チラシより)
 名古屋にいた小酒井不木と国枝史郎の呼びかけで作られた合作小説の組合。合作によって大衆小説に刺激を与えようとしたもので、昭和二年末に結成され、当初は小酒井・国枝・江戸川乱歩・土師清二・長谷川伸の五人であったが、ほどなく平山蘆江が加わって六名となる。月に一、二回の割合で名古屋に集まって創作方法は、メンバーがあれこれ口頭で相談しながら筋立てしたものを筆記者が書きとめ、あとで手を入れるといったものだった。『新青年』に連載された「飛機睥睨(へいげい)」(のちに「空中紳士」と改題)の探偵小説のほか、時代小説や時代劇の脚本などと、個々のメンバーの得意なジャンルに応じた作品があり、総計十編余りが書かれた。しかし、昭和四年四月にまとめ役の小酒井不木が亡くなって、ほどなく自然に解散となった。

*1983年頃の春陽文庫チラシ(画像はクリックで拡大します)