絶版文庫書誌集成

春陽文庫 【よ】

横溝 正史 (よこみぞせいし)
「ほおずき大尽 人形佐七捕物帳全集(一)」 (ほおずきだいじん)


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*432頁 / 発行 1993年(新装版)
*カバー装画(新装版)・「がら」絵札〈写真提供:平凡社「別冊太陽」〉

*カバー文
 江戸三小町と謳われて羽子板にまでなった評判の三人娘は、深川境内の水茶屋の女お蓮、小石川は音羽の小料理屋の娘お蝶、それに神田お玉ガ池は紅屋の娘のお組であったが、暮れにお蓮が土左衛門となり、正月早々にはお蝶が乳の下をえぐられて殺され、さらにはお組も行方知れずとなっていた! しかも、お蓮のときは初七日に、お蝶のときには死体の上に、首を切断された羽子板が置かれていたのだった!? お組の生死は!?(第一話・羽子板娘)
 赤い衣装に身を包む謎の殺人鬼の跳梁! 赤い小袖、赤い頭巾、赤い足袋と、赤ずくめのところから“ほおずき大尽”と陰口されるのは深川随一の材木商海老屋の隠居万助であった! 吉原から引かされて万助の世話をするお国という美女の正体は!?(第七話・ほおずき大尽)

*目次
羽子板娘 / 開かずの間嘆きの遊女 / 音羽の猫 / 蛍屋敷 / 佐七の青春 / ほおずき大尽 / 鳥追い人形 / 稚児地蔵 / 石見銀山 / 双葉将棋 / うかれ坊主


横溝 正史 (よこみぞせいし)
「遠眼鏡の殿様 人形佐七捕物帳全集(二)」 (とうめがねのとのさま)


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*432頁
*発行 1984年
*カバー装画(新装版)・「がら」絵札〈写真提供:平凡社「別冊太陽」〉

*カバー文
 七草粥の縁起を祝った正月八日の昼過ぎ、着ぶくれたように白く盛り上がった大雪の江戸八百八町は本所松坂町の路地奥の如来堂で、妙椿という三十二、三の有髪美貌の比丘尼が殺されていた! しかも、残されていたのは生首だけで、首なし死体は運び出されていた!
 この奇怪な妙椿殺しは膠着したまま十日過ぎ、二十日と過ぎても日陰の雪のように凍りついたまま進展せず、探索の佐七親分もすっかり苦境に……!?(第二話・福笑いの夜)
 浅草待乳山に住まいする楽隠居の竹斎源之丞の道楽は、遠眼鏡ののぞきであった! その待乳山下の稲荷雁木にやってきた一艘の屋形船の中で、花魁此糸のお小夜が死んでいた! それを遠眼鏡でのぞいたのが佐七と子分の辰と豆六であった!(第六話・遠眼鏡の殿様)


横溝 正史 (よこみぞせいし)
「好色いもり酒 人形佐七捕物帳全集 (四)」
 (こうしょくいもりざけ にんぎょうさしちとりものちょうぜんしゅう)


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*421頁 / 発行 昭和59年
*カバー装画(新装版)・「がら」絵札〈写真提供:平凡社「別冊太陽」〉

*カバー文
お玉ガ池の親分人形佐七とその恋女房のお粂、それに江戸っ子のきんちゃく辰五郎と大坂もンはうらなりの豆六の親分子分の四ったりが、念願かなってお江戸の花の名所は飛鳥山の満開の桜の下に赤い毛氈を敷いての水いらず、のんびりと酒をくみかわしていると、あいも変らぬ江戸っ子の無邪気さ、道楽息子どもの茶番の仇討ちが始まった! が、はからずもそこから、こともあろうに殺人事件がもち上がろうとは……!?(第四話・花見の仇討ち) 去年近所に引っ越してきたそろいもそろって美男美女との評判のお茶の師匠夫婦のご新造が、亭主の留守にこれまた三月前に移ってきたばかりの色男の浪人と石見銀山入りの酒を飲んで死んだ! なぜか酒には“いもりの黒焼き”も混じっていた!?(第八話・好色いもり酒)

*目次(収録作品)
日食御殿 / 角兵衛獅子 / 呪いの畳針 / 花見の仇討ち / 競艶遠眼鏡 / 水芸三姉妹 / たぬき女郎 / 好色いもり酒 / 敵討ち走馬灯 / 恋の通し矢 / 万引き娘 / 妙法丸


横溝 正史 (よこみぞせいし)
「春宵とんとんとん 人形佐七捕物帳全集 (五)」
 (はるよいとんとんとん にんぎょうさし地とりものちょうぜんしゅう)


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*429頁
*発行 1984年
*カバー装画(新装版)・「がら」絵札 〈写真提供・平凡社「別冊太陽」〉

*カバー文
 度胸はいいし気前もいい、おまけに捕物にかけては三国一と申し分ない人形といわれる男っぷりの佐七親分の玉の傷が浮気の虫! 親分の浮気の虫がおさまらなければ、女房お粂〈くめ〉の悋気もおさまらない! そんな夫婦げんかのとばっちりを決まってくうのが辰と豆六だ!
 腸〈はらわた〉が腐るような春雨のなか、その風雲が急を告げる……!? そんな折から、投げ込まれた“三枚の錦絵の謎を解け”というまぼろし小町の挑戦状とは!?(第五話・まぼろし小町)
 油町の大店叶屋のひとり娘のもとに忍んできたまむしと異名のある悪御家人丹野丹三郎が何者かに殺された! まむしの丹三は娘の「合図はとんとんとん……と」という誘いの手紙を持ち、しかもその右手には鹿の子の手絡〈てがら〉を握っていた!?(第一話・春宵とんとんとん)


横溝 正史 (よこみぞせいし)
「坊主切り貞宗 人形佐七捕物帳全集 (六)」 (ぼうずぎきさだむね・にんぎょうさしちとりものぜんしゅう)


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*432頁 / 発行 1984年
*カバー装画・「がら」絵札〈写真提供・平凡社「別冊太陽」〉

*カバー文
 表向き医者で通っている寺井久庵という人物、ひと皮むけば高利貸し! それも血も涙もないやりくちで、細民たちの生き血を吸うことから“ひるの久庵”といわれる男だった!
 その久庵の家が焼け落ち、三つの死体が掘り出され、それが久庵夫婦と下男と推定されて、娘のお品がひとり取り残された! 出火の原因は前夜、久庵宅の玄関先で“鬼か蛇か!”と久庵を呪っていた源兵衛という夜鷹そば屋と推測されたが……!?(第四話・夜毎来る男)
 花のつぼみもまだ固い、春まだ浅き甲州路の難所笹子峠にさしかかった身延山参詣帰りの人形佐七と辰と豆六の後ろから、まるで風のような速脚で追い抜いていった怪しの乞食坊主が、斬りつけた旅の武士の前からその姿を消してしまった……!?(第七話・坊主斬り貞宗)

*目次
銀の簪 / 夢の浮橋 / 藁人形 / 夜毎来る男 / 離魂病 / 風流女相撲 / 坊主斬り貞宗 / 風流六歌仙 / 緋鹿の子娘 / 本所七不思議


横溝 正史 (よこみぞせいじ)
「くらやみ婿 人形佐七捕物帳全集 (七)」
 (くらやみむこ にんぎょうさしちとりものぜんしゅう)


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*436頁
*発行 1984年
*カバー(新装版)・「がら」絵札〈写真提供:平凡社「別冊太陽」〉

*カバー文
 三月の雛市とともに五月の武者人形・尚武太刀の市は十軒店のかきいれどきで、道も狭しと仮屋の人形店が並び、大変なにぎわいを呈するのだが、その人形店の中でも老舗の山形屋の店先に加藤清正、五条の弁慶と牛若丸、それに曽我兄弟の夜討ちの五つの人形をぜひにといって立ったのは、どこぞのいわくありげな奥女中だった! その夜、横山町の鱗形屋でも、五郎十郎の曽我人形が盗まれるという奇妙な殺人が起こった!?(第四話・武者人形の首)
 神田錦町に数代つづく暖簾を誇る呉服屋甲州屋の二十歳になる総領娘、“錦町人形”と評判の美女お松が身重になったのだが、その相手はだれかという奇妙な捜索依頼にさすがの佐七も驚いたが、どうやら五月五日の“くらやみ祭り”の夜……!?(第九話・くらやみ婿)


横溝 正史 (よこみぞせいし)
「小倉百人一首 人形佐七捕物帳全集 (十)」
 (おぐらひゃくにんいっしゅ・にんぎょうさしちとりものぜんしゅう)


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*424頁 / 発行 1984年
*カバー装画・「がら」絵札〈写真提供・平凡社「別冊太陽」〉

*カバー文
 黒門町に二軒並んだ生薬屋のふたり後家、その昔に“ふたり小町”といわれたころからの女の戦いがつづいているが、ここへきて嵐梅之丞なる役者からの艶書(ふみ)にからんでの鞘当てが激烈をきわめ、いまにひと騒動起こりそうだという“大江戸女細見”情報が流れてきた!
 と、そのうちのひとり、お幸なる女が出会い茶屋の離れ座敷で、暑い最中というわけではなく、喜悦の形を腰のものひとつに包んで殺されてしまった……!?(第六話・ふたり後家)
 狂言作者の並木一草に昔の女を盗まれてゆすられていた江戸一番の人気女形(おやま)嵐菊之助が、一草の死の折に約束の返却を求めると、娘お琴から小倉百人一首の読み札を一枚渡された! 菊之助が殺されるとまた一枚が……!? その謎とは……!?(第一話・小倉百人一首)

*目次(収録内容)
小倉百人一首 / 紅梅屋敷 / 彫物師の娘 / 括り猿の秘密 / 睡り鈴之助 / ふたり後家 / 三日月おせん / 狸ばやし / お玉が池 / 若衆かつら


横溝 正史 (よこみぞせいし)
「毒の矢 他2編」
(どくのや)


*装画・坂本勝彦
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*306頁 / 発行 1997年

*カバー文
「あなたの奥さんは同性愛のたわむれにふけっています。相手は的場奈津子夫人です……」という“黄金の矢”の署名入りで、新聞などからの切り抜き文字を貼り合わせた密告状が、ピアニストの三芳欣造氏のもとに配達されてきた! しかも、この奇っ怪な手紙の宛名は、一字違いの“三芳新造”となっており、番地も二〇五が三〇七と異なっていた……!?
 この“黄金の矢”の脅迫状が次々とここ緑ガ丘の住民を襲い、人々を震撼させていった!
 そして、ついにそのアメリカ帰りの金持ちの未亡人である奈津子夫人が全裸で殺された! しかも、彼女の背中にほどこされたトランプ十三枚の刺青の謎はいかなるトリックか……!?
 金田一耕助の住む静かな住宅街を襲った怪事件! 他に「蝙蝠と蛞蝓」「黒い翼」を併収!

*解説頁 金田一耕助の徹底解剖 山前譲・浜田知明

*チラシ画僧