絶版文庫書誌集成

ちくま文庫 【は】
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橋本 治 (はしもとおさむ)
「二十世紀 (下)」
(にじゅっせいき)


*カバーデザイン・井上則人
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*上巻337頁・下巻330頁 / 発行 2004年

*カバー文
上巻
20世紀は戦争と革命の時代だったとも言える。しかし、一年ごとに見ていけば、意外にも大事件の起こった年は少ない。そんなふうに私たちは毎日を普通に生きているのだ。しかし、普通が激動に結びつくことは理解されにくい。一体、この百年で、何が変化し、何が変わらなかったのだろう? 生活レベルのことから、芸術、経済、政治まで、橋本治が、歴史の全体像を身近なものへと手繰り寄せる。
下巻
20世紀とは何だったのだろう? 第二次大戦後の世界を長らく覆っていた東西の冷戦構造。イデオロギー対立という仮面をかぶった国家間の利害対立。19世紀的なるものが支配しつづけたのが私たちの生きた時代だった。「これは何かヘンだ」という橋本治の素朴な感覚を出発点に、わかりやすい言葉で、今ここにいる私たちにとって避けて通ることのできない百年間の歴史が語られる。


橋本 治 (はしもとおさむ)
「勉強ができなくても恥ずかしくない」 (べんきょうができなくてもはずかしくない)


*カバーデザイン・多田進
 カバー絵・山本祐司

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*270頁 / 発行 2011年

*カバー文
ケンタくんは、自分の頭で考えて根本がわからないと前へ進めない。だから初めは学校になじめず、クラスでも独りぼっち。そんな彼もあるきっかけで友達ができて「体の中がずっと幸福で、生きてるだけで忙しい」毎日を経験し、自信をつけていく。でも高二になり、クラスが受験一色に染まると、「ひとりでもいいから高校生をやろう」と思うケンタくんは再び孤立してしまい ―― 。学校の勉強の本当の意味は? いちばん大切なことって何? 子供の気持ちで感じ、傷つき、最後にはやさしい気持ちいっぱいで涙する自伝的小説三部作・全収載。

*目次
まえがき
 T どうしよう…の巻
 U やっちまえ! の巻
 V それからの巻
文庫版のあとがき
解説 しあわせの玉、ケンタくん 石川輝吉


蓮實 重彦 (はすみしげひこ)
「表層批評宣言」
(ひょうそうひひょうせんげん)


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*254頁 / 発行 1985年
*カバー図版・薗部澄 写真部分

*カバー文
「批評」とは存在が過剰なる何ものかと荒唐無稽な遭遇を演じる徹底して表層的な体験にほかならない ―― どこまでも不敵な哄笑を秘めて蛇行する言葉の運動と遊戯的な戦略にみちた「知」と「文学」の制度化=反制度化を徹底的にはぐらかすポレミカルな宣言集である。
文庫本あとがき、および、その知られざる華麗な修業・遍歴時代をはじめて明かした自筆年譜を新たに付す。

*目次
表層批評宣言に向けて / 言葉と夢と「批評」 / 表層の回帰と「作品」 / 健康という名の幻想 / 倒錯者の「戦略」 / 風景を超えて
 あとがき / 文庫版あとがき / 自筆年譜


花岡 大学 (はなおかだいがく)
「花岡大学仏典童話(1) 消えない灯」
(はなおかだいがくぶってんどうわ)


*カバー装画・利根山光人
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*356頁 / 発行 1990年

*カバー文
「金剛のきね」「のんきな王さま」「たかぶりの心」「はだかの女」など、おしゃかさまやぼうさん、王さまや勇士、商人やおかみさんなど、さまざまな層の人間が「この世」を舞台にくりひろげるヒューマンな物語。さりげないお話から、いつの間にか人間の本性、人間の生き方を考えさせられる。

*目次
金剛のきね / 小さいたね / 左手をはなせ / 欲ばり魔法 / いなくなったマカカ / 燃え上がるたいまつ / 天女のような女の子 / ハサリンの改心 / にんにくどろぼう / もちがしの約束 / 名医ジーヴァカとふたりの王さま / 四つの歌 / のんきな王さま / そまつな服を着た王さま / 弓の名人 / ホッシャミタラのたくらみ / 勇士ジョウビン / シシリの勇気 / はかない心 / 嫁をもらうまで / たかぶりの心 / ふたつの穴 / 母親さばき / くだけ米のふくろ / 若い隊長と年寄りの隊長 / 子ども理髪師 / はだかの女 / あやしい踊り / 若い隊商長 / 四人のむこ / 隊長シュダソク / 毒のくだもの / ふるぼけたつぼ / 三日間の琴 / ひげをはやした男 / どこにもない火 / 消えない灯 / ひとしずくの水 / 解説 現在とともに“呻く”こころ 岡部伊郁子


花岡 大学 (はなおかだいがく)
「花岡大学仏典童話(2) 金の羽」
(はなおかだいがくぶってんどうわ)


*カバー装画・利根山光人
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*311頁 / 発行 1990年

*カバー文
仏教の教えでは生きとし生けるものみな平等だ。この巻では、象・牛・サル・キツネ・ウサギ・ハト・カラスなど、読者になじみ深い動物たちが主人公になって活躍し、さまざまな人生の知恵を与えてくれる話を集めた。「空飛ぶ金のシカ」「ふたつの頭の鳥」「ごくらく池のカモ」など、仏典にちりばめられた珠玉の説話34編を収める。

*目次
朱色のカニ / サルはやっぱりサル / かしこい子どもウサギ / ハトのうたがい / サルの橋 / 山のハゲタカ / おれの負けだ / 「死」はいつやってくるか、わからない / 空飛ぶ金のシカ / ふたつの頭の鳥 / ライオンとサイの心のむすびつき / 子ウサギの知恵 / みすぼらしいが、かがやくカラス / いやなキツネ / ごくらく池のカモ / あばれ象などこわくない / うえたトラ / 羽の水 / おろかな争い / ヒマラヤのハト / ほとけさまの象 / がまぼとけ〈蟇仏〉 / ネズミの嫁入り / くだものの山 / アリのいのち / 首かざりぬすっと / ヘビとカラスと若い男 / カメのいのち / カニの道づれさん / 金の羽 / かりうどカイデウラ / おばあさんのほくろ / 恩を忘れない / 羊の首 / 解説 いのちの再話 槙佐知子


浜田 義一郎編・訳 (はまだぎいちろう)
「にっぽん小咄大全」 
(にっぽんこばなしたいぜん)


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*458頁 / 発行 1992年
*カバー装画・葛飾北斎

*カバー文
村の金持、こたつを作ると、村の者めずらしがり「隣の与次兵衛どんのところでは、畳を四角に切って四本柱を立てて組み、天井をつけた。あれは何じゃ」といって見に来る。あとから行った者、帰ってから「残念な、遅かった。もう布団をかけて見せなんだ ― (こたつ)。江戸時代、人々に愛され語りつがれた艶咄、こっけいな話を、当時の気分を伝える訳文でおくる。ひとつの「生活史」。今に使える笑いのいろいろ。

*目次
とかく人というものは / 愚か村ケッ作集 / てんやわんや / 過ぎたるは及ばざるがごとし / 愚か村紳士録 / がめついやつ / 小咄論理学 / 見たり聞いたり試したり / ずるいやつほどよく眠る / 女ごころ / この親にしてこの子 / そうは問屋が / しょうばい商売 / 笑話国綺譚 / 狂想曲 / わが胸のそこのここには / 物は言いよう / 口は禍の門 / あとがき / 出典 / 解説 織田正吉


伴田 良輔 (はんだりょうすけ)
「奇妙な本棚」
(きみょうなほんだな)


(画像拡大不可)

*270頁
*発行 2002年

*カバーデザイン・神田昇和 / カバー写真・Martin Munkacsi ”Helena Rubinstein Salon”1937 『STYLE IN MOTION』より

*カバー文
19世紀の尻叩き写真集、死体の記念写真、ボンデージ・コミック、水中で踊るヌード、動物の子供たち、ウォーホルの描いた猫たち、夜を走り抜けるSL、パパラッチのど根性……、愛と性へ独自の視線をたたえたこれらのビザールなビジュアル本を悪趣味と言うなかれ。限りなく怪しく、時にエロティックな白昼夢に私たちを誘い出す夢の本棚が、いま開かれる。