絶版文庫書誌集成

ちくま文庫 【ひ】

樋口 一葉 / 宮本 順子・絵 (ひぐちいちよう・みやもとじゅんこ)
「絵本 たけくらべ」
(えほんたけくらべ)


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*127頁
*発行 1996年

*カバー文
樋口一葉没後100年に贈る、カラーさしえ入り「たけくらべ」。大黒屋の美登利、龍華寺の信如、田中屋の正太郎を中心に、吉原裏の下谷龍泉寺町に住む少年少女たちのいきいきとした暮らしぶり、淡い恋ごころを描く名作を、布絵作家宮本順子が情趣ゆたかに甦らせる。


樋口 忠彦 (ひぐちただひこ)
「日本の景観 ふるさとの原型」
(にほんのけいかん)
ちくま学芸文庫


*カバー装画・高橋美則
 「明日香雪景」 1990年作
 カバーデザイン・吉永聖児
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*291頁 / 発行 1993年

*カバー文
どの人にも共通して好ましいと感じられる日本の風景を「水の辺」と「山の辺」、さらに「八葉蓮華」型景観、「隠国」型景観、「蔵風得水」型景観などいくつかの典型にさかのぼり、風景が包含する精神的また空間的な特性を、文学作品や絵画を引用しつつ細かく考察する。さらに日本の景観とヨーロッパの景観を比較検討するとともに、日々変化し続ける現代の都市に生き生きとした棲息地景観を作っていくための道を探る、景観工学の代表作。 解説 芦原義信

*目次
序章 風景の成長と代償風景の創造 
参考文献
第1章 日本人の自然観と風景観
第2章 日本の景観
 はじめに / 1 盆地の景観 / 2 谷の景観 / 3 山の辺の景観 / 4 平地の景観 / 5 日本の景観の原型
第3章 生きられる景観
 1 美しい景観と生きられる景観 / 2 自然の景観と生きられる景観 / 3 都市の自然と生きられる景観 / 4 都市の景観と生きられる景観 / 5 最後に 
参考文献
 あとがき / 文庫版あとがき / 樋口君のユニークな研究 ―― 解説にかえて
  
図の撮影者および提供先一覧表


平野 威馬雄 (ひらのいまお)
「くまぐす外伝」
 (くまぐすがいでん)


*カバー装画・和田誠
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*472頁 / 発行 1991年

*カバー文
博物学の巨人、南方熊楠。その生涯は研究につぐ研究、博識にははかり知れぬものがあった。その勉強ぶりと、ときに奇矯とも見える日常、大きなテーマであった菌類研究の業績を、熊楠の反権威の姿勢に強く共感した著者が力強く描く。熊楠の全貌を伝えるのに最も適した人を得て成った、決定版。

*目次
一 慶応三年
二 幼年 ― 中学時代
三 粘菌研究の動機
四 二十歳の秋
五 シカゴ住いからハバナへ
六 英京ロンドンの熊楠
七 帰国した熊楠
八 田辺の町に来て
九 結婚した熊楠
一〇 南方研究所運動
一一 東京に来た熊楠
一二 人情紙風船のこと
一三 天皇と熊楠
一四 熊楠が残した仕事
一五 おうちの花が咲いていた
一六 万華鏡を通して見た熊楠の像
一七 回想の南方熊楠
 《附》年譜
    履歴書
 あとがき
 解説 「霊的存在」を見た熊楠 水木しげる


平野 威馬雄 (ひらのいまお)
「平賀源内の生涯 ― 甦る江戸のレオナルド・ダ・ビンチ」
 (ひらがげんないのしょうがい)


*カバー装画・和田誠
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*238頁 / 発行 1989年

*カバー文
平賀源内は、きわめて多才な人であった。本草学(博物学)、窮理学(物理学)の大家でありながら学問にとじこもることなく応用の才を大いに発揮した。電気をつくり出す「エレキテル」の発明は有名だが、顕微鏡、寒暖計の製作から、興味は油絵にまで及んだ。これほどの人物でありながらその最期は人を殺傷し獄死するという唐突なものである。―風来山人・源内の驚くべきいろどりにみちた全体像を明らかにする。

*目次
1部 風来山人と呼ばれた天才の秘密について―平賀源内の活躍
2部 奇才源内の華麗な業績について―なぜ、江戸のレオナルド・ダ・ビンチか
おわりに 亡き人源内を追って―現代学者は、どうみるか
 あとがきにかえて/年譜
 解説 紙と言葉で遊んだ人 田中優子