絶版文庫書誌集成

中公文庫 【え】


江戸 英雄 (えどひでお)
「すしやの証文」 (すしやのしょうもん)


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*267頁
*発行 1990年

*カバー文
激務のかたわら、土いじりや野鳥観察に心を慰める折り折りに綴った「きのうきょう」「とつおいつ」、得がたい知友との交流とその人となりを偲ぶ「人さまざま」、渦中にあって一部始終を見届けた財閥の戦中戦後の苦闘を回想する「往時茫々」等。余人には語りえない貴重な証言と、直截な感慨の記録。

*目次
きのうきょう / とつおいつ / 人さまざま / 往時茫々 ― 三井財閥について


江藤 淳 (えとうじゅん) 蓮實 重彦 (はすみしげひこ)
「オールド・ファッション 普通の会話 東京スーテションホテルにて」



*カバー・田渕裕一 / 写真・渡辺兼人
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*277頁 / 発行 1988年

*カバー文
食堂、グリル、ブランデーを飲みながらの部屋の中……ホテルの内外に触覚を働かせつつ、多哉な話題を呼び合う尖鋭的な批評家二人。
文学・都市・映画と、時に人生を偲ばせ、時にスリリングに語るその姿は、時間の持つ意味・会話の豊饒を満喫させる ― 。

*目次
食堂にて
食後のコーヒー(グリルで)
ブランデーを飲みながら(二〇五号室)
チョコレートの時間(二〇五号室)
朝の食堂
朝の対話(二〇五号室)
 対話による解説 ?秀実・渡辺直己


江馬 務 (えまつとむ)
「日本妖怪変化史」 
(にほんようかいへんげし)


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*143頁 / 発行 昭和51年
*カバー絵・大正十二年中外出版版『日本妖怪変化史』表紙より

*カバー文
幽冥界には妖しい力があって絶えず人間界に災厄を加えんと恐ろしい糸を操っている……そう信じて、鬼に食われ、狐狸に訛かされ、幽霊に悩まされた、、こわくて、あわれで、おかしな昔話を豊富に採集して、枯尾花ならね化けものの正体を多面的に明らかにし、日本古来の風俗に人間の妄執の移り変わりを見る。

*目次
第一章 序説
第二章 妖怪変化の沿革
第三章 妖怪変化の生成ならびに出現の原因
第四章 妖怪変化の出現の時期・場所と景物
第五章 陰火と音響
第六章 妖怪変化の容姿と言語
第七章 妖怪変化の性、年齢、職業
第八章 妖怪変化の能力と弱点
第九章 結語
文芸上に表われたる鬼
火の玉
 解説 上田正昭


圓仁著・深谷憲一訳 (えんにん・ふかやけんいち)
「入唐求法巡礼行記」
(にっとうぐほうじゅんれいこうき)


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*731頁
*発行 1990年

*カバー文
日蓮の「立正安国論」にも記され平安・鎌倉時代にはかなり著名だったこの本が歴史に再登場するのは明治16年に東寺観智院で写本が発見されてからである。本書は慈覚大師円仁が五台山から長安に至り唐武宗の廃仏に遇って帰国するまでの苦心10年の日記4巻を現代口語体で全訳、写本原文も併載。


遠藤 一夫 (えんどうかずお)
「おやじの昭和」
(おやじのしょうわ)


*カバー・川上澄生画「浅草、カジノ・フォーリー」
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*238頁 / 発行 1989年

*カバー文
昭和時代の重み、それは何によるのだろうか。平和とあふれる豊かさのなかで、戦争と貧困の昭和は急速に忘れられつつある。失われゆく印刷物を掘り起こし体験を通して激動の時代を再構築する。

*目次
震災と復興
 関東大震災 / 文化生活 / 家庭電化 / 文化的アパート / 家庭電化 / 安い電気 / 賃家と下宿屋 / 文化的アパート
大衆と文化
 円本ブーム / マスコミ・マスセール / 前衛の映画 / 明治の舶来・昭和の国産 / 愛酒興国
旧市内と新市街
 自転車とリヤカー / 三輪トラック / 郊外電車 / 名機C51 / 東京の市電 / 安いガソリンと円タク / 国産車の誕生 / 馬と戦車 / 機械化旅団
内地と外地
 日ソ漁業交渉 / カムチャッカの漁区 / 朝鮮の米 / 日本人村 / 沖縄と移民
産業報国と職工
 二・二六事件の頃 / 在学徴集延期願 / 職工と住込、日給 / 戦時下の就職 / 紀元二六〇〇年 / 熟練工と徴用 / 多能工・単能工
配給と暮らし
 白米と玄米 / 米二合三勺 / 米穀配給通帳 / 三〇匁の牛肉 / 育児用粉ミルク / 興亜建国パン / 輸入塩 / スフの地下足袋 / 綿と羊毛 / 絹とぼろ
外地と戦力
 南方と経済新体制 / 屑鉄と高度国防国家 / 二宮金次郎の行方 / 国内炭と撫順炭 / 薪炭自動車 / 戦力と石油
 文庫あとがき


遠藤 周作 (えんどうしゅうさく)
「銃と十字架」
(じゅうとじゅうじか)


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*236頁
*発行 1982年
*カバー・エルサレム古絵図

*カバー文
「何のために苦しい旅をつづけるのか。いつかは掴まり、殺されることも確実なのだ。しかし、いかに苦渋にみちても肩から人生の十字架を棄ててはならぬ」
船をのりつぎ砂漠をよぎってローマに学び、キリシタン弾圧の荒れ狂う地獄の日本に立ち戻って使命に生きた一日本人の劇的生涯を描く記念碑的大作。

*解説頁・遠山一行
*註 「一日本人」=ペドロ岐部


遠藤 周作 (えんどうしゅうさく)
「鉄の首枷 ― 小西行長伝」 (てつのくびかせ)


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*286頁
*発行 1979年

*カバー文
戦国の過酷な権力者太閤秀吉の下で、世俗的栄達の野望と信仰に引き裂かれ、無謀な朝鮮への侵略戦争では密かな和平工作を重ねたキリシタン武将小西行長の面従腹背の人生を克明に描く著者会心の傑作。


遠藤 周作 (えんどうしゅうさく)
「人間のなかのX」 (にんげんのなかのえっくす)


*カバー・川上澄生
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*214頁 / 発行 昭和56年

*カバー文
人間の一生を決定する内面深く秘められたXとは何か ―― 日本で最初に西洋を知った歴史的人物たちの内面の鍵を探り、その実像を解明する。遠藤文学の内奥の魅力を鮮かに刻印するエッセイ集。

*目次
人間のなかのX
 人間のなかのX
 信長と西洋
 フロイス『日本史』第一巻
 切支丹大名蒲生氏郷の生涯
 石仏の里 国東
 五日間の韓国旅行
  *
 〈対談〉小西行長をめぐって 豊田武 / 遠藤周作
彼等と西洋
 彼等と西洋
 西洋人
 米国で私のわからなかったこと
救いと文学と
 基督教文学について
 次々と友人が受洗するのを見て
  *
 〈対談〉埋もれ火のような信仰 ― 正宗白鳥論 山本健吉 / 遠藤周作
 〈対談〉救いと文学と 高橋たか子 / 遠藤周作
鏡をみると
 鏡をみると
 新たな決意
 本のこと
 日記から
 娘思いの父親
 山本さんのこと
 対談について
  あとがき
  解説 高橋英夫