絶版文庫書誌集成

中公文庫 【き】


菊池 徹 (きくちとおる)
「犬たちの南極」
 (いぬたちのなんきょく)


*カバー・白井晟一
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*366頁 / 発行 昭和58年

*カバー文
第一次越冬当時、交通の主な手段は犬ぞりであった。氷原を疾走し、プラトーに憩うタロ、ジロを初めとする、けなげで個性豊かなカラフト犬たちよ ― 。犬ぞり係の見た犬たちの南極。

*目次
 はしがき
一 宗谷収容と犬たち
二 ブリザードと犬ぞり訓練
三 冬ごもり
四 ペンギン探しの犬ぞり行
五 酷寒期の犬ぞり旅行
六 ボツンヌーテン犬ぞり旅行
七 オラフ沿岸犬ぞり旅行
八 さようなら、犬たちよ!
 第一次南極越冬・犬関係記録抄
 文庫版のためのあとがき


菊池 夏樹 (きくちなつき)
「菊池寛急逝の夜」
(きくちかんきゅうせいのよる)


*カバー画・西のぼる
 カバーデザイン・鈴木正道 Suzuki Design
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*220頁 / 発行 2012年

*カバー文
昭和二十三年三月六日、人気作家で文藝春秋を興した稀代の出版人であった菊池寛の自宅では、快気祝いの宴がひらかれていた。身内が集まり、主治医もまじえての歓談の最中、席を立った主役を襲った突然の悲劇。文壇の大物の急逝に、周囲は騒然となった ―― 。孫である著者が、その破天荒な生涯を愛情をこめて描く。

*目次
プロローグ
第一章 鮫の顔
第二章 奇人変人
第三章 急死
第四章 葬儀
エピローグ
 あとがき


岸 香織 (きしかおり)
「虹色の記憶 ― タカラヅカわたしの歩んだ40年」
(にじいろのきおく)


*カバー写真・吉原朱美
(花組公演「ザッツ・レビュー」より)
 カバー・中央公論新社デザイン室

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*278頁 / 発行 2004年

*カバー文
宝塚在団四〇年。子役から老け役、男役から女役まで、幅広く活躍した名バイプレーヤーが、才筆にまかせて描いた“夢の園”の華麗な舞台裏。さまざまな人間模様に彩られて、ときに暖かくときにきびしく、しかもユーモラスな宝塚生活が繰り広げられていく。

*目次
 不思議の人、岸香織さん 真矢みき
第一章 ハミダシタカラジェンヌ誕生
 悲しい門出 / 受験前 / 予科時代 / 本科時代 / 消えた思い出
第二章 クセモノ下級生、縦横無尽に活躍
 すみれ寮 / 初上京 / 雪組生として / 武庫山の住人 / 真帆・加茂コンビ / 天皇たちの宝塚 / 東京の寮 / 書くこと / シャンゴ
第三章 タカラヅカ今昔物語 ― 清く正しく逞しく
 偉大なる先輩たち / タレント制度導入 / 日舞の師匠運(うん) / 地方公演 / 組長 / 定年制導入 / かわいいスターたち
第四章 退団への序曲 ― 震災を乗り越えて
 地震 / トップの引き際 / 愉快な退団劇・西篇 / 愉快な退団劇・東篇
第五章 物語はつづく
 花のゆくえ / 人のゆくえ / 明日に向けて

 あとがき / 文庫版あとがき


木島 俊介 (きじましゅんすけ)
「女たちが変えたピカソ」
(おんなたちがかえたpicasso)


*カバー写真・「ピカソとフランソワーズ・ジロー」
(C)Robert Capa/Magnum Photos Tokyo
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*240頁 / 発行 1998年

*カバー文
二十世紀最大の画家ピカソ。だが彼の作品の多くは、今日まで数々の謎に包まれた「わからない美術」であった。ピカソが生涯描きつづけたものは何だったのか ── 著者は、最新の研究成果を踏まえつつ、大胆な推理を試みる。ピカソの女性関係を軸に、九三点の作品を通して芸術創造の軌跡を辿り、ピカソの実像を解明する、刺激的美術論。

*目次
 プロローグ
第一章 瞑想
第二章 人生(ラ・ヴィ)
第三章 アヴィニョンの娘たち
第四章 私の可愛い人(マ・ジヨリ)
第五章 夜会服と踊り子
第六章 ミノタウロスと女(ミユーズ)
第七章 泣く女
第八章 花の女
第九章 喜劇と瞑想
 エピローグ
 あとがき


北 一輝 (きたいっき)
「支那革命外史 抄」
(しなかくめいがいし しょう)
中公文庫BIBLIO20世紀


*カバー写真・読売新聞社
 カバーデザイン・EOS Co.,Ltd
 Art Direction:吉田悟美一
 Design:山影麻奈
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*180頁 / 発行 2001年

*カバー文
社会主義と国家主義を架橋しようとする試みは、原理的にはたして可能なのか。青年将校らに強烈な影響を与え、二・二六事件の黒幕と目された北一輝が、争乱のただなかで著した日本人の手になる唯一の辛亥革命体験記。

*目次

一 緒言
二 孫逸仙の米国的理想は革命党の理想にあらず
三 革命を啓発せる日本思想
四 革命党の覚醒時代
五 革命運動の概観
六 革命渦中の批評
七 南京政府設立の真相
八 南京政府崩壊の経過
九 投降将軍袁世凱
十 英公使の買べん袁世凱
十一 対日警戒のための北京中心
十二 亡国借款の執達吏
十三 財政革命と中世的代官政治
十四 支那の機器と天人許さざる第二革命
十五 君主制と共和制の本義
十六 東洋的共和制とは何ぞや
十七 武断的統一と日英戦争
十八 露支戦争と日本の領土拡張
十九 日支同盟と日米経済同盟
 編集付記
 解説 宮崎学


北 杜夫辻 邦生 (きたもりお・つじくにお)
「若き日と文学と」 (わかきひとぶんがくと)


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*211頁
*発行 1974年

*カバー文
若き日の出会い、青春の回想、文学創造の秘密、そして機知と笑いにあふれた素顔の人生論まで、永い歳月と深い友情に支えられた対照的な資質のニ作家が、天衣無縫に、延々十数時間、三日にわたって語り合った ― これほど実のある対談は類がない、と評判の異色の対話篇

*解説頁・篠田一士


木下 順二 (きのしたじゅんじ)
「ドラマの世界」
 (どらまのせかい)


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*274頁
*発行 昭和51年
*カバー・吉正光雄

*カバー文
アイルランド、イギリス、フランス、東ドイツ、ソ連、中国、インド、朝鮮などの各国を訪れた著者は、それぞれの地で演劇を見学した体験をふまえて、自身の個性に満ちた演劇論、ドラマの本質論を展開する。 一九五九年毎日出版文化賞受賞

*解説頁・埴谷雄高


木村 毅 (きむらき)
「大衆文学十六講」
(たいしゅうぶんがくじゅうろっこう)


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*468頁 / 発行 1993年

*カバー文
大衆文学はどうして面白いのか。中世のロマンスから近代の探偵小説に至るまでの流れを理論的、歴史的に位置づけながら、『鉄仮面』『倫敦塔』等の傑作の遺跡や名所の見聞にユーゴー、デュマといった文豪のエピソードを交え、大衆文学の魅力を余すところなく伝える、脚で書いた大衆文学研究書。巻末に「木村毅著書目録」掲載。

*目次

第一構 大衆文学と純文学の境界
第二構 大衆文学発達史
第三構 欧州現代の大衆文学
第四構 大衆文学と中世ロマンス
第五構 歴史小説の誕生
第六構 ユトーピア物語と科学小説
第七構 探偵小説の総展望
第八構 『レ・ミゼラブル』の研究
第九構 『モンテ・クリスト』の研究
第十構 『黒チュリップ』の研究
第十一構 『鉄仮面』と『倫敦塔』の考証
第十二構 「ロンドン塔」見聞録
第十三構 「テュッソオ夫人博物館」に関するノート
第十四構 『クォ・ヴァディス』解説
第十五構 ユーモア小説の典型『跳蛙』
第十六構 私の折衝した欧州の大衆作家
 木村毅著書目録 矢沢永一
 解説 向井敏


キュルノンスキー / ガストン ドリース著 / 大木 吉甫訳 (Curnonsky / Gaston Derys / おおきよしすけ)
「美食の歓び」
(びしょくのよろこび)
中公文庫BIBLIO


*カバーデザイン・EOS CO.,Ltd.
 吉田悟美+山影麻奈
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*237頁 / 発行 2003年

*カバー文
じゃがいものスフレ、マレンゴ風若鶏の起源とは? ユゴー、バルザック、ジョルジュ・サンドなどグルメ文学者の素顔とは? ブリヤ・サヴァラン、カレームが料理に賭けたエスプリの秘密とは?
二十世紀初頭、“食通の王”に選ばれ、フランス美食アカデミーを創設した稀代の美食家が、数世紀を経て料理を芸術の権威にまで高めたフランス・ガストロノミー(美食術)の栄光の軌跡を辿り、時空を超えて愛しき“グルマン(食い道楽)”たちに、ある時はオマージュを捧げ、またある時は痛烈な風刺と皮肉を効かせた美食奇談。

*目次
 まえがき
きょう
 今と昔の女性美食家 / 立体派料理 / シャンドルールの祝日の話からテオドール・ド・バンヴィルとドラネンの話まで / コニャック讃歌 / なにごとにもその時期がある / 十三人の食卓 / 隠れた偉人 / パリの食通クラブ / 大衆とスープ / 簡単な料理と四種のフランス料理の擁護と顕揚
きのう
 じゃがいものスフレの奇蹟 / 誇り高きマレンゴ風若鶏 / 牡蛎 / 百年前のレストラン / 辛辣な料理批評家グリモ・ド・ラ・レにエール / ブリヤ・サヴァラン / フォア・グラとトリュフについて / 音楽と美食術 / パルマンティエの伝説 / 精進料理 / 殺人的爆発料理 / ルイ・フィリップとご馳走 / 料理建築家アントナン・カレーム / 演劇と美食術 / 食通の決闘 / 食通バルザック
むかし
 主顕節 / 昔の観光客と美食家 / フォークと皿 / 最初の「食味旅行家」
 訳者あとがき(三修社版) / 文庫版訳者あとがき


清瀬 一郎 (きよせいちろう)
「秘録 東京裁判」 
(ひろくとうきょうさいばん)


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*290頁 / 発行 1986年
*カバー写真・共同通信社提供

*カバー文
弁護団の中心人物であり、また東条被告の主任弁護人でもあった著者が、文明の名のもとに行われた空前の戦争裁判に鋭く迫り、昭和史の、そして二十世紀の何たるかを問いかける。

*目次
終戦時の表情 / 東条自決 / 無条件降伏に非ず / 裁判の開始 / 裁判手続き / 弁護人らの関心事 / 検察側の想定 / 冒頭陳述とその批判 / 立証された事実 / 不可解な事件 / 裁判に現われた三つの日記 / 歴史に残さるべき重大問題 / 東条口供書 / そのころの生活 / A級戦犯以外ではあるが / 判決をどう受け取るべきか / 東条遺言の摘記 / 遺骨と戒名 / 裁判より得たる教訓 / 冒頭陳述 / 後記 / 解説 長尾龍一


桐生 悠々 (きりゅうゆうゆう)
「畜生道の地球」
 (ちくしょうどうのちきゅう)


*カバー・久我治平画「空襲絵巻」より
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*321頁 / 発行 1989年

*カバー文
明治・大正・昭和の三代にわたる気骨のジャーナリスト――桐生悠々。「関東防空大演習を嗤う」の一文で「信濃毎日新聞」の主筆を追われた彼は、個人雑誌「他山の石」に立て篭り、死の直前その廃刊に至るまで、発禁・差押えの弾圧に屈せず、八年間にわたって憂国反軍の文を書きつづけた。
軍閥ファッショと戦った、明治のリベラリスト悠々の烈々たる時局批判集。

*目次
 刊行の辞
関東防空大演習を嗤う
軍部批判と天皇機関説
生活権即遊食権・其他
相沢事件
言論の自由・其他
二・二六事件
不安なる昭和十二年・其他
日支事変勃発
ドイツ批判・其他
戦時外交、内政批判
独ソ開戦
 「他山の石」廃刊の辞
 補遺篇
 蟋蟀は嵐の縁に鳴きやまず 桐生浪男
 桐生悠々年譜
 「中公文庫」収録にあたって 孝橋謙二
 あとがき 桐生浩三