絶版文庫書誌集成

中公文庫 【こ】


神坂 次郎 (こうさかじろう)
「草書本 猿飛佐助 熊野篇」
(そうしょぼんさるとびさすけくまのへん)


(画像はクリックで拡大します)

*235頁
*発行 昭和61年
*カバー・井出文蔵

*カバー文
幽閉された九度山をのがれ、家康に一矢を報いようとする真田幸村、四角兵衛、覚鈴主従は、峨々たる山脈の連なる熊野の修験道の奥深くに分け入った。その主従を風の如く襲う追手の前に立ちはだかる自然児猿飛佐助の忍びの術の数々を描く、『元禄御畳奉行の日記』の著者会心の奇想天外な長篇伝奇ロマン。


河野 多恵子 (こうのたえこ)
「谷崎文学と肯定の欲望」 (たにざきぶんがくとこうていのよくぼう)


(画像はクリックで拡大します)

*311頁 / 発行 昭和55年
*カバー・昭和六年改造社刊『卍』(中川修造装)の表紙(部分)

*カバー文
谷崎文学と関西との関係を追求し創作衝動の源に作家の眼から峻厳な考察を加えた「『卍』について」「心理的マゾヒズムと関西」「恋愛欠落の文学」など、活気みなぎる創見的作家論。

*目次
「卍(まんじ)」について
心理的マゾヒズムと関西
恋愛欠落の文学
片面だけの反俗
悪魔と墓
 解説 磯田光一


小杉 健治 (こすぎけんじ)
「向島物語」 
(むこうじまものがたり)


*カバー画・蓬田やすひろ
(画像はクリックで拡大します)

*321頁 / 発行 1992年

*カバー文
新橋の売れっ子芸妓お良は、政商の村岡喜平にひかされ向島に移るが、強引な村岡は人の恨みを買って暗殺されてしまう――。明治半ば、時代の奔流のなかで、江戸前の意地と芸による花街を向島に作ろうとするお良の心意気と哀しみを、下町の四季折々の風物を織り込みながら清冽に描く連作4篇。

*目次
第一話 竹屋の渡しの別れ
第二話 すみだ川あと追い心中
第三話 花街非情
第四話 柳橋挽歌
 あとがき
 解説 縄田一男


小菅 桂子 (こすげけいこ)
「グルマン福沢諭吉の食卓」
 (ぐるまんふくざわゆきちのしょくたく)


(画像はクリックで拡大します)

*276頁 / 発行 1998年
*カバーデザイン・丸山邦彦(CREATIVE MIND)

*カバー文
慶応義塾の創立者であり、明治を代表する啓蒙思想家であった福沢は、“食と健康の思想”の普及にも熱心な食通だった。ハヤシライス、牛乳、ビールなどにまつわる様々な逸話を交えながら「隠れグルマン」諭吉の知られざる側面に迫った異色の評伝。

*目次
生い立ち / 諭吉、長崎へ / 諭吉、大坂へ / 青春時代 / 上京、そして外国へ / 物騒な世の中と英学塾 / 文明開化と日本 / 「横浜」「早矢仕」「丸善」 / 諭吉と交詢社と西洋食 / 諭吉と食卓 / 諭吉と牛肉 / 牛乳の話 / 諭吉と酒 / 諭吉とビール / 「何にしようね」 / グルマン諭吉 / あとがきにかえて / 文庫版によせて / 主な参考文献


児玉 幸多 (こだまこうた)
「中山道を歩く」 (なかせんどうをあるく)



(画像はクリックで拡大します)

*427頁 / 発行 1988年
*カバー・『木曽街道六十九次』「板橋之駅」(部分)

*カバー文
日本橋から京都へ、東海道と並ぶ幹線道路の中山道は、昔日の面影をはるかに多く残している。近世史の泰斗が、六十九次の宿場宿場を踏破し、史実と自らの足で新旧両時代にわたる街道のたたずまいを再現した「歴史の道」を歩く楽しい紀行エッセイ。

*目次
日本橋 / 板橋宿 / 蕨宿 / 浦和宿 / 大宮宿 / 上尾宿 / 桶川宿 / 鴻巣宿 / 熊谷宿 / 本庄宿 / 新町宿 / 倉賀野宿 / 高崎宿 / 板鼻宿 / 安中宿 / 松井田宿 / 坂本宿 / 軽井沢宿 / 沓掛宿 / 小田井宿 / 岩村田宿 / 塩名田宿 / 八幡宿 / 望月宿 / 芦田宿 / 長窪宿 / 和田宿 / 下諏訪宿 / 塩尻宿 / 洗馬宿 / 本山宿 / 贄川宿 / 奈良井宿 / 藪原宿 / 宮越宿 / 福島宿 / 上松宿 / 須原宿 / 野尻宿 / 三留野宿 / 妻籠宿 / 落合宿 / 中津川宿 / 大井宿 / 大久手宿 / 細久手宿 / 御嶽宿 / 伏見宿 / 太田宿 / 鵜沼宿 / 加納宿 / 河渡宿 / 美江寺宿 / 赤坂宿 / 垂井宿 / 関ケ原宿 / 今須宿 / 柏原宿 / 醒井宿 / 番場宿 / 鳥居本宿 / 高宮宿 / 愛知川宿 / 武佐宿 / 守山宿 / 草津宿 / 大津 あとがき



小島 直記 (こじまなおき)
「洋上の点 ― 情報戦略家森恪の半生」
 (ようじょうのてん・じょうほうせんりゃくかもりつとむのはんせい)


(画像はクリックで拡大します)

*396頁
*発行 昭和57年
*カバー・辰已四郎

*カバー文
バルチック艦隊の動静を求めて単身激浪の東シナ海をさまよい、辛亥革命に揺れ動く中国で、中国問題の若手エキスパートとして東奔西走する三井物産社員森恪(もりつとむ)の鬱勃たる野心と冒険の半生を描く長篇

*解説頁・神崎倫一


児島 襄 (こじまのぼる)
「東京裁判(上下)」
 (とうきょうさいばん)




(画像はクリックで拡大します)

*上285頁・下251頁 / 発行 昭和57年

*カバー文
上巻
昭和二十一年五月三日、二年余、三七〇回に及ぶ極東国際軍事裁判は開廷した。裁判の傍聴が戦史家としての出発点となった著者が、厖大な資料と、関係諸国・関係者への取材で、劇的全容を解明する。

下巻
昭和二十一年五月三日、二年半余、三百七十回に及ぶ極東国際軍事裁判は開廷した。歴史上前例のない戦争犯罪人を裁く裁判は、戦争に敗れた日本人に何を問うたか―裁判の傍聴が戦史家としての出発点となった著者が、厖大な資料と、関係諸国・関係者への取材で、全容を解明する。

*目次
上巻
まえがき / 第一章 東条の自決 / 第二章 戦争犯罪の定義 / 第三章 起訴状の伝達 / 第四章 一九四六年五月三日 / 第五章 広田弘毅夫人の死 / 第六章 皇帝溥儀証言台へ / 第七章 ウェッブとキーナンの対立

下巻
第八章 弁護団の反撃 / 第九章 南京虐殺事件 / 第十章 天皇の戦争責任 / 第十一章 判決 / 第十二章 DEATH BY HANGING
 付記 / あとがき / 主要参考文献 / 解説(佐伯彰一)


衛藤 利夫 (ごとうとしお)
「韃靼」
(だったん)


*カバー・満鉄社員会版『韃靼』表紙意匠に依る
(画像はクリックで拡大します)

*318頁 / 発行 1992年

*カバー文
奉天在住時代、戦後日本の図書館界での活躍等、生涯を図書館事業に尽力した著者が熱情こめて語る。康煕帝・南懐仁のこと、そして実利主義の横行とは裏腹に純粋な教化伝道のため、または学術調査を志して満州、蒙古、シベリアの僻地に入った宣教師やアジア文化史上の先人の足跡を探求し、満州文化史の一面を紹介する名著。

*目次
 序 加藤新吉
墓と本
蒙古漂流記
黒竜江を下った二人のフランス、ローマ・カトリック僧の話
 一 序説 / 二 宝神父の手紙 / 三 中間事情 / 四 袁神父の手紙 / 五 結び
辺疆異聞抄
 まえがき / 一 タイガア倶楽部 / 二 血染の白鳥 / 三 人蔘鬼 / 四 ウォッカとオロチョン人 / 五 黒衣の僧
三百年前満洲に来た日本人の話
康煕帝と南懐仁
 一 稀書『東北韃靼』談義 / 二 南懐仁という人 / 三 露使人京 / 四 国書捧呈 / 五 ゼスイット僧の見た康煕帝 / 六 露使の見た康煕帝と南懐仁
南懐仁の満洲旅行記
南懐仁の満洲旅行記後記
 文庫版あとがき 衛藤利夫 / 衛藤利夫と『韃靼』 中見立夫


後藤 正治 (ごとうまさはる)
「清冽 詩人茨木のり子の肖像」
(せいれつ しじんいばらぎのりこのしょうぞう)


*カバーデザイン・間村俊一
 カバー写真・石川周子(宮崎治氏提供)
(画像はクリックで拡大します)

*270頁 / 発行 2014年

*カバー文
「倚りかからず」に生きた、詩人・茨木のり子。日常的な言葉を使いながら、烈しさを内包する詩はどのように生まれたのか。親族や詩の仲間など、茨木を身近に知る人物を訪ね、その足跡を辿る。幼い日の母との別れ、戦時中の青春時代、結婚生活と夫の死、ひとりで迎えた最期まで ―― 七十九年の生涯を静かに描く。

*目次
第一章 倚りかからず
第二章 花の名
第三章 母の家
第四章 根府川の海
第五章 汲む
第六章 櫂
第七章 Y
第八章 六月
第九章 一億二心
第十章 歳月
第十一章 ハングルへの旅
第十二章 品格
第十三章 行方不明の時間
 あとがき
 解説 梯久美子


後藤 明生 (ごとうめいせい)
「嘘のような日常」 (うそのようなにちじょう)


(画像はクリックで拡大します)

*210頁 / 三部作
*発行 1982年

*帯文
平穏な現在と敗戦時の記憶の間に現前する〈日常〉の二面性


後藤 明生 (ごとうめいせい)
「行き帰り」
(ゆきかえり)


(画像はクリックで拡大します)

*239頁
*三部作
*発行 1980年

*目録文
過去に対する沈黙と饒舌の間を揺れ動く〈わたし〉とは何か


後藤 明生 (ごとうめいせい)
「夢かたり」
(ゆめかたり)


(画像はクリックで拡大します)

*379頁 / 三部作
*発行 1978年

*目録文
過去に向い現在に流れる二色刷りの時間の中に探索する自己

*収録内容
夢かたり / 鼻 / 虹 / 南山 / 煙 / 高崎行 / 君と僕 / ナオナラ / 従姉 / 二十万分の一 / 片恋 / 鞍馬天狗


後藤 明生 (ごとうめいせい)
「吉野大夫」 (よしのだゆう)


(画像はクリックで拡大します)

*229頁
*発行 昭和58年
*カバー・前川直

*カバー文
信濃追分宿の遊女吉野太夫は隠れキリシタンで処刑されたという。二百年前の〈伝説〉を探索して発見した小さな墓は浅間の焼石だった。定かならぬ伝承のラビリンスを自在に往き来しながら、小説は次々と増殖を重ねつつ円環を完結する。谷崎潤一郎賞(56年度)受賞作。

*解説頁・三浦雅士


近衞 文麿 (このえふみまろ)
「戦後欧米見聞録」 
(せんごおうべいけんぶんろく)


(画像はクリックで拡大します)

*166頁 / 発行 1981年

*カバー文
大正八年、西園寺講和特使に随行し、第一次世界大戦の硝煙消えやらぬ荒廃のヨーロッパを訪れて無限の感慨を抱き、平和への歓喜、「力の支配」の存在、外交と宣伝、労働問題、米国問題など、卓越した識見と率直な心情を吐露した、近衞文麿若き日の記録。

*目次
一 講和会議総会を見る
二 ランスの戦跡を訪ふ
三 白都における万国議員商事会議の記
四 講和会議所感
五 講和条約調印式を見る
六 巴里見聞
七 ラインの旅
八 ライン共和国建設の趣旨
九 英国議会傍聴記
十 倫敦雑記
十一 米国の印象
十二 米国の排日
十三 米国における種々なる解放運動
 解説 細川護貞
 我、危険を認識せり、されど実行あたらず 鹿島茂


小松 左京 (こまつさきょう)
「わたしの大阪」
 (わたしのおおさか)


*カバー画・中一弥
(画像はクリックで拡大します)

*308頁 / 発行 1993年

*カバー文
常にエネルギッシュな経済力で、独自の文化・思想・哲学を生み出した都市、大阪。その地理的特性や歴史・人物など多様なプリズムを通して、従来のステレオ・タイプではない立体的な大阪像を構築する。生粋の関西人の深い愛着がこめられた一冊。 文庫オリジナル版

*目次
 T
古代のなにわ
大阪の「地盤沈下」とその闘い
日本埋立論
関西のライフスタイル
大阪の未来のために
大阪における文化開発の重要性
コスモポリタン・シティ 大阪 ― 古代、現代、そして未来へ
 U
山片蟠桃 ― 「SFの先駆者」をにおわせる商人学者
上田秋成
 V
灘・再訪
洲本
大阪
続大阪
歌舞伎との出会い
食い気と歌舞伎
「一幕立ち見」のころ
 あとがき
 初出一覧


小松 茂美 (こまつしげみ)
「平家納経の世界」
(へいけのうきょうのせかい)


(画像はクリックで拡大します)

*379頁 / 発行 1995年
*カバー・「平家納経」如来神力品第二十一見返し(厳島神社蔵)

*カバー文
平清盛以下、一門三十二人が結縁して厳島神社に奉納した豪華絢爛たる装飾経「平家納経」成立のドラマ。若き日、その美に魅せられた鉄道員が、刻苦勉励して学問の道に進み、その謎を解明、さらに古筆学という独自の体系をうちたてるにいたる感動の半生記。

*目次
 はじめに
一 平家納経の成立ドラマ
  謎にみちた女神 / 法華信仰と「平家物語」 / 平家勃興の波に乗って / 清盛登場 / 長寛二年における清盛の心情 / 厳島繁昌記 / 厳島内侍発願説の虚構
二 高く、広く、大きく ―― 平家納経と歩んだ三十年
  死神と美神の出会い / 手習い草紙 / 死の淵に立って / その名を恋人のごとく / 一冊の古本 / 「平家納経」を見る / 無知の蛮勇 / 生涯のことば / 「伊都岐嶋千僧供養日記」 / 厳島文書を読む / 『いつくしま』を刊行 / 上京、池田亀鑑先生 / 念願の博物館勤務
三 不思議な本 ―― 『後撰和歌集校本と研究』
  『後撰和歌集』に取り組む / 筆者をつきとめる / 不思議な本
四 王朝の女性の夢を追って ―― 『校本浜松中納言物語』
五 王朝の教養と和様書道の源を探る ―― 『平安朝伝来の白氏文集と三蹟の研究』
六 栄華と末法におののく美の殿堂 ―― 『平等院鳳凰色紙形の研究』
  末法の生んだ極楽浄土 / 鳳凰堂色紙形の筆者と古筆学
七 古筆学の成立へ
  古筆とは / 古筆の鑑定 / 筆者を導き出す方法 / 見いだした筆者名 / 名をのこす平安朝の能書家たち / 古筆学への歩み / 古筆学の認知 / 古筆学からの絵巻 / 古筆学の定着 / 『古筆学大成』の完成 / 『古筆学大成』後の国文学界
後記


小林 照幸 (こばやしてるゆき)
「神を描いた男・田中一村」
(かみをえがいたおとこ・たなかいっそん)


(画像はクリックで拡大します)

*252頁 / 発行 1999年
*カバー画・「奄美の森(6)」 (『田中一村作品集』NHK出版刊 より)

*カバー文
奄美 ―― それは果てしなく美しい島。自らの生とひきかえに、日本画家・田中一村はその豊潤な世界を描いた。驚嘆の色彩、鮮烈な構図……彼の作品は人々を圧倒し、新鮮な感動を与えてやまない。五十歳の一村が全てをなげうって奄美に移り住んだのはなぜか。貧窮の中、彼を画業に駆りたて続けたものは何だったのか。いま新たな一村の姿が浮かび上がる。

*目次
八時間の凝視 / すべてが美しい島“奄美” / 青いイセエビ / トウトガナシ / 神の位置 / トネヤの前の家 / 早朝の祭祀 / 完成“生涯最後の絵” / 会心作を焼く / 曲がらぬ指 / ささやかな個展 / 若者の罵倒 / “生涯最後の絵”との別れ / 黒潮の中の小宇宙 / 鳳凰、空に舞う…… / あとがき / 文庫版あとがき / 一村に惚れた者同士 高樹のぶ子


小村 雪岱 (こむらせったい)
「日本橋檜物町」
 (にほんばしひものちょう)


*カバー・「おせん」小村雪岱画
(画像はクリックで拡大します)


*178頁 / 発行 1990年

*カバー文
“最後の浮世絵師”或はまた“昭和の春信”とも評された雪岱が、明治の下町風情、泉鏡花、挿絵、舞台装置、等々について書き遺した、珠玉の随筆集。

*目次
入谷・龍泉寺 / 木場 / 日本橋檜物町 / 大音寺前 / 観音堂 / 「長谷雄草紙」礼讃
 

阿修羅王に似た女 / 古寺巡り
 
挿絵のモデル / 春の女
 
新聞小説の挿絵 / 夢の中の美登利 / 女を乗せた船
 
泉鏡花先生のこと / 泉鏡花先生と唐李長吉 / 「山海評判記」のこと / 『参宮日記』と『日本橋』のこと / 『註文帳画譜』 / 教養のある金沢の樹木 / 水上瀧太郎氏の思い出 / 九九九会のこと
 
舞台装置の話 / 羽子のかぶろの暖簾 / 舞台装置家の立場から / 歌右衛門氏のこと
 
大阪の商家 / 「春琴抄」のセット / 民謡と映画 / 映画片々語 / 初夏の女性美
 初出一覧
 雪岱礼賛 星川清司

*口絵に92点収録


小山 修三 (こやましゅうぞう)
「縄文探検 ― 民族考古学の試み」
(じょうもんたんけん)


*カバー写真 三内丸山遺跡(毎日新聞社提供)
 カバーデザイン 藤田ツトム
(画像はクリックで拡大します)


*381頁 / 発行 1998年

*カバー文
縄文人は、お洒落で派手好きだった……? 顔へのイレズミや抜歯に見られる意外なまでの美へのこだわり、栄養バランスのとれた食生活、村々を結ぶ祭りの様子などを、イラストをまじえて鮮やかに描く。衝撃あふれる青森・三内丸山遺跡の検証を加えてよみがえらせた、縄文ワンダーワールド。

*目次
はじめに ―― 考古学にエスノグラフィーをどう利用するか
第1章 縄文人のファッション
第2章 縄文人の食生活
第3章 縄文人のライフスタイル
第4章 縄文人の精神世界
第5章 縄文人はどこへ消えたのか
第6章 縄文遺跡を考える
あとがき
初出誌一覧
参考文献
解説 岡村道雄


コリン・ウィルソン (Colin Wilson) 飛田 茂雄訳 (とびたしげお)
「発端への旅 ― コリン・ウィルソン自伝」
(ほったんへのたび)


*カバーデザイン・鈴木正道
(画像拡大不可)

*493頁 / 発行 2005年

*カバー文
イギリスの評論家・小説家コリン・ウィルソンが、自らの思想形成の過程を描いた自叙伝。労働者階級の家に生まれ、アカデミックな教育を受けなかったその生い立ち、読書体験、交友、軍隊生活、生活の糧を得るための苦闘、そして自らの性体験など、包み隠さずさらけ出した、真摯な告白の書である。

*目次
 感謝のことば
第一章 ねらいと主題
第二章 ディオゲネスの樽
第三章 刺戟
第四章 ニヒリズム
第五章 空軍時代とその後
第六章 パリ、ストラスプール、ロンドン(一九五〇〜五一年)
第七章 結婚とロンドン生活
第八章 パリ、レスター、ロンドン再訪
第九章 ロンドン生活と『アウトサイダー』
第十章 成功の問題
第十一章 嵐が過ぎて
第十二章 再出発
第十三章 セックス
第十四章 アメリカ
第十五章 洞察
 訳者あとがき


今 東光 (こんとうこう)
「東光金蘭帖」 (とうこうきんらんちょう)


*カバー・吉田克朗
(画像はクリックで拡大します)

*222頁 / 発行 昭和53年

*カバー文
 秀潤深愛の人物論 川端康成
今東光の天馬の快筆毒舌は、今や当代の爽爽事だが、この「金蘭帖」ほど、今君の豊美の本来と、今日の大をなした成長とを、おのづから明発した書はあるまいと思ふ。ここには今君の若い日の師友十六氏が生彩縦横に、今君現在の第二の青春の光圓のうちに描かれて、今君自身のかつての青春とともにその人たちもよみがへる。無類の面白い交友記にとどまらず、稀有に秀潤深愛の人物論であつて、それが今君自己の人物論ともなつてゐる。

*目次
菊池寛 / 横光利一 / 片岡鉄兵 / 直木三十五 / 佐々木味津三 / 藤沢清造 / 尾崎士郎 / 谷崎潤一郎 / 宇野千代 / 東郷青児 / 鳥海青児 / 山田耕作 / 郡虎彦 / 鳴海うらはる / 田村松魚 / 金蘭帖の末に / 解説 今日出海


今 日出海 (こんひでみ)
「山中放浪 ― 私は比島戦線の浮浪人だった」 (さんちゅうほうろう)


(画像はクリックで拡大します)

*270頁 / 発行 昭和53年

*カバー文
昭和十九年十二月末、報道班員として派遣されて来たマニラは、東京では想像もつかない戦場と化していた。ルソン島を敗走北上する日本軍にまじって、飢餓と弾雨にさらされながら死の山岳州に入る。記録文学の雄篇。

*目次
 フィリピン・ルソン島要図(扉裏)
マニラ退却
 マニラ最後の日
 螢の国
 対空監視異常ナシ
山中挿話
 ブシラク村の日々
 里村君のことなど
山中放浪
 蝙蝠荘
 道遠し
 断たれた望み
 つぎはぎ飛行機
 住民村
 御来迎
台湾脱出
 あとがき


今 日出海 (こんひでみ)
「吉田 茂」 
(よしだしげる)


*カバー絵・清水崑
(画像はクリックで拡大します)

*249頁 / 発行 1983年

*カバー文
戦後混乱の時代に首相となって、新しい日本を作りあげたワンマン宰相吉田茂のすがすがしくまた愛すべき人間像のすべてを、心ゆるしたつき合いと作家の眼を通してあざやかに描く。

*目次
逮捕を招いた国際感覚
連戦連敗の中の終戦工作
息づまるマックとの対決
デモと混乱の中の組閣工作
命を賭けた講和条約
世間の非難を一身に浴びて
知られざるワンマンの内側
 文庫版あとがき


近藤 啓太郎 (こんどうけいたろう)
「大観伝」 (たいかんでん)


(画像はクリックで拡大します)

*329頁
*発行 1976年
*カバー・熊谷博人

*カバー文
明治・大正・昭和三代を炎のごとく生きた日本画の巨人横山大観の生涯を、数多の資料を駆使して縦横に描き、著者の新生面を拓いたと世評高い伝記文学の傑作。

*解説頁・進藤純孝


近藤 富枝 (こんどうとみえ)
「信濃追分文学譜」
(しなのおいわけぶんがくふ)


*カバー画・風間完
(画像はクリックで拡大します)

*276頁 / 発行 1995年

*カバー文
芥川龍之介・室生犀星を根とし、堀辰雄を幹として成長した、津村信夫・立原道造・野村英夫らの若き日の軌跡。信州追分を舞台に数々の名作を生んだ作家・詩人たちの濃密な交流を、自らも追分の山荘に住む著者の綿密な取材を通して浮き彫りにする。

*目次
華鬘の章
分去れの章
ゆふすげびとのの章
夢のあとの章
「菜穂子」の章
黄菊散るの章
 あとがき
 主要参考文献
 解説 大河内昭爾

 本文写真・増山武久


近藤 富枝 (こんどうとみえ)
「田端文士村」 (たばたぶんしむら)


*カバー装画・風間完
(画像はクリックで拡大します)

*281頁 / 発行 昭和58年

*カバー文
大正三年、田端に居を定めた巨星・芥川龍之介を慕い集う室生犀星、萩原朔太郎、堀辰雄、中野重治ら多くの俊秀たち。美術村田端をたちまち文士村に変貌させた人間芥川の魔術師的魅力に迫り、芸術家たちの濃密な交流を活写する。膨大な資料と証言でまとめあげた澄江堂サロン物語。

*目次
 はじめに
第一章 夫婦窯
 飛鳥山焼 吉田三郎 老いらくの恋
第二章 未醒蛮民
 ポプラ倶楽部 反戦画家 老荘会 異形の天才
第三章 「羅生門」の作者
 天然自笑軒 一枚の絵 文壇登場
第四章 詩のみやこ
 感情詩社  詩から小説へ 山羊少年
第五章 作家たち
 「無限抱擁」 芥川と室生 暮鳥忌
第六章 隣の先生
 しこの鬼妻 籐のステッキ 東台クラブ
第七章 道閑会
 鹿島龍蔵 会員たち 北原大輔
第八章 王さまの憂鬱
 空谷山人 『井月句集』 縞絽の羽織 燈の会 白衣
第九章 関東大震災
 午前十一時五十八分 自警団 しの竹の家 辰っちゃんこ
第十章 藍染川畔
 大正十四年 メルヘン
第十一章 「驢馬」の人たち
 犀星をとりまく美青年群 パイプの会 フェー紅緑
第十二章 巨星墜つ
 暑い日 我鬼 蝉の声
 付・田端の女性たち
 おわりに
 解説 植田康夫
  年譜 / 主要参考資料 / 田端付近略図