絶版文庫書誌集成

中公文庫 【そ】


宗谷 真爾 (そうやしんじ)
「アンコール史跡考 ― エロスと蛇神」
 (あんこーるしせきこう)


*カバー写真・著者
(画像はクリックで拡大します)


*326頁 / 発行 昭和55年

*カバー文
今や戦火の巷と化してしまったアンコール遺跡 ―― その魅力にとらわれた著者が、廃墟に佇みながら、エロスと文明の視点から考察する異色の歴史紀行。
三島由紀夫氏が戯曲『癩王のテラス』執筆にあたって片時も手ばなさなかったといわれる名著。

*目次
序章 アンコールとの邂逅
第一章 蛇神とシヴァの都、その歴史
第二章 王道とクメール教
第三章 クメール神の微笑
第四章 癩王伝説の周辺
第五章 神王のピラミッド
第六章 魔族と神々の群れ
第七章 エロスと涅槃
第八章 ヒンドゥー的エロスと日本文化
第九章 地上の須弥山
第十章 遥かなる祇園精舎
第十一章 天の舞姫
第十二章 輪廻のほむら
第十三章 野猪に化したバラモンの小宇宙
終章 「絡みあう蛇」と聖剣
 あとがき
 索引


宗谷 真爾 (そうやしんじ)
「インド・東南アジア紀行 ― エロスの神々を訪ねて」
 (いんどとうなんあじあきこう)


(画像はクリックで拡大します)

*290頁 / 発行 1991年
*カバー・昭和二年日本郵船刊『爪哇の旅』表紙意匠に拠る

*カバー文
アンコール遺跡の魅力にとらわれた著者が、源流のインド、ネパールやカンボジア周辺の国々に今なお残る性神たちの故郷をめぐり、女神への熱い想いを語る。旅に憑かれ、時には旅に病み、滅び去った文明の廃墟や、辺境の史跡への旅は涯もなく続く。

*目次
天の章 神々のふるさとインド
 その一 聖牛の楽園
  インドカレー 聖牛ナンディーン
 その二 聖誕祭の夜
  ラーマとクリシュナ オベロイ・グランドホテル カーリーガード寺院
 その三 カーリー女神の生贄
  女神の黒い影 ヴィクトリア記念堂とドクトル・ロスの病院 インド博物館にて
 その四 性崇拝の源流
  シヴァのリンガム プロペラ機恐怖症
 その五 リンガムの王
  翼よ、あれが ―  ナマスティ! リンガムの巨塔
 その六 SSKグループ
  ダンチュウの思い 輪座礼拝 コナラクへ
 その七 太陽の神殿 ― コナラク
  建造にまつわる伝説 スールヤ神の黄金の馬車 ミトゥナ像 ― ジクジクスタイル
 その八 双体神の大楽
  不二の思想 スールヤ神の半長靴 ビンバの実の丸い尻
 その九 蒼茫たるベンガルの海
  性愛学によるインド女性の分析 廃墟の寺の神よ ブリーの山車祭
 その一〇 インド史、神々、そして魔群
  歴史と宗教 二大叙事詩 神々の群像〈天上の神、空中の神、地の神〉
人の章 神の火柱と女神の深い谷
 その一 ハレ・クリシュナ
  神の国、神不在の国 My sweet lord 不滅のジャイナ教
 その二 シヴァ神の臍
  ネパール教 影の神 童女の生仏 多羅菩薩 百獣の王シヴァ 歓喜天抱擁像 大黒天 性のマッサージ師 原色の媾合像
 その三 最果ての風景
  〈死〉からの逆照射 鹿野苑の並木道 降魔成道 色あせる栄光 しかばねと凶鳥 かいま見た生の究極
 その四 神を見る目
  魔神とドゥルガー 不動明王
 その五 須弥山のエロス ― カンダリヤ・マハーデヴァ寺院
  流れる風 天の美女 蓮のなかの宝石 アベラムビタカム
 その六 カジュラーホ・その他の寺院群
  鳥娘たちの神殿 天女のヨニとAnus 天の魔術師 マヤ夫人伝説 世界の母神その他の小寺院
地の章 インド文化圏をめぐる
 その一 マンゴスチンの貞操帯 ― エロティカ イン バンコック
  フルーツの女王 フォーラム・スクール サワディー クラップ 暁の寺
 その二 呪いの構造 ― アンコール遺跡群考
  眠れる森のなかに はじめに神話ありき 神王思想 癩王伝説 女人の砦 須弥山のロゴス クメール神の微笑 退廃と滅亡
 その三 蓮華の造型 ― ボロブドゥールの造型
  シャイレーンドラ王国 丘の上の僧院 立体的な金剛界マンダラ
 参考文献
 あとがき
 解説 村松剛


宗谷 真爾 (そうやしんじ)
「王朝妖狐譚」 
(おうちょうようこたん)


(画像はクリックで拡大します)

* 426頁
* 発行 1981年
*カバー・宮田雅之

*カバー文
大和朝廷に滅ぼされた出雲族末裔たちのとぐろまく怨念と壮絶な死闘。日輪のかげにめまぐるしく転変する凄惨で淫靡な闇の絵巻 ―― 雄大な構想で日本の"影"の歴史を描く長篇伝奇大ロマン。


宗谷 真爾 (そうやしんじ)
「鼠浄土」 
(ねずみじょうど)


(画像はクリックで拡大します)

*228頁 / 発行 1979年
*カバー・小野具定(「不帰者」より)

*カバー文
癌の特効薬を探し求めて研究に専念する明光博士の狂気のなかに科学文明の破局を暗示する「鼠浄土」(第八回中央公論新人賞)と、かたくなな一農婦の明治・大正・昭和三代にわたる激しい気性と旺盛な生命力に貫かれた生涯を描く「なっこぶし」(第七回日本農民文学賞)の力作二篇を収録する。

*解説頁・深沢七郎



袖井 林二郎 (そでい りんじろう)
「マッカーサーの二千日」
 (まっかーさーのにせんにち)


(画像はクリックで拡大します)

*363頁
*発行 昭和51年
*カバー・熊谷博人

*カバー文
日本占領に絶対的支配者として君臨したマッカーサー。その謎に満ちた個性と五年八ヵ月に及ぶ支配の構造を、新資料で解明し戦後史の盲点に新しい光を当てる力作。毎日出版文化賞受賞。

*解説頁・佐藤忠男