絶版文庫書誌集成

中公文庫 【す】


杉田 博明 (すぎたひろあき)
「祇園の女 文芸芸妓磯田多佳」
(ぎおんのおんな ぶんげいげいぎいそだたか)


*カバーデザイン・山田健二
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*279頁 / 発行 2001年

*カバー文
一八七九(明治12)年、お茶屋「大友(だいとも)」に生を受けた多佳は21歳で落籍されるも、2年後、相手に先立たれ、再び芸妓に。和歌や絵を嗜む“文芸芸妓”として名を馳せた多佳は多くの文人・画家たちと交流、祇園を文化サロンにまで高める。華やかな祇園を舞台に愛と孤独に揺れた生粋京女の一生を、雅豊かに映し出す。

*目次
第一章 雨の追善会 / 第二章 黒い眼 / 第三章 舞と音曲 / 第四章 歌才の芽生え / 第五章 芸妓多佳 / 第六章 中村楼の出会い / 第七章 「九雲堂」の女主人 / 第八章 風流ぬす人 / 第九章 文人たちと多佳 / 第十章 伽羅の香り / 第十一章 雪の京都 / 第十二章 鴨川を隔てて / 第十三章 祇園の誇り / 第十四章 漂白の日々 / 第十五章 滅びの支度 / 第十六章 あぢさいの花
 文庫版のためのあとがき / 参考文献


杉本 光作 (すぎもとこうさく)
「私の山 谷川岳」
 (わたしのやまたにがわだけ)


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*365頁
*発行 昭和58年
*カバー写真・撮影 中西俊明

*カバー文
近藤等氏
 青春時代の私に強い影響をおよぼした杉本光作氏の新著『私の山 谷川岳』は、あらゆる世代の登山者に深い感銘を与えることだろう。
小西政継氏
本書は社会人登山の原点を綴っていて、山岳史の重要な空白をうめる貴重な記録である。

*解説頁・渡辺兵力


杉山 茂丸 (すぎやましげまる)
「児玉大将伝」 
(こだまたいしょうでん)


*カバー・博文館版『児玉大将伝』の函意匠に拠る
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*428頁 / 発行 1989年

*カバー文
義兄の暗殺、神風連の変、西南の役、台湾総督時代など、日露戦争を勝利に導き、海軍の東郷と並び称された満洲軍総参謀長の五十五年の生涯を、政界の黒幕といわれた親友が思いをこめて記す。

*目次
 序 / 一 鳳児出産の報、詩会の莚を賑わす / 二 百合若と命名してその前途を祝す / 三 誕生の祝宴に志士国事を激論す / 四 佐幕党、半九郎を陥れんと謀る / 五 意見書を提出して累その身に臻る / 六 浅見氏を養うて一家の断絶を免かる / 七 二青年相謀りて富山を刺さんとす / 八 富士源二郎わずかに身をもって免かる / 九 親類寄合に托して巌之丞を暗殺す / 一〇 瑞巌の故事を説いて蕃根、鍵を励ます / 一一 新知を排領して名を源太郎と改む / 一二 奥州征伐を了えて仏式練習生となる / 一三 脱隊鎮蕉を兼ねて郷里に母を省る / 一四 佐賀の乱に奮闘してついに重傷を負う / 一五 熊本に転職して神風連の変に遭う / 一六 暴徒官邸を襲うてついに種田少将を斬る / 一七 髪を刺り装を変じて討伐のことに従う / 一八 仁尾大属と謀りて善後の策を講ず / 一九 西郷謀反の報到り熊本篭城に決す / 二〇 猛火を冒して危く弾薬函を搬出せしむ / 二一 宇宿県属、西郷の書を齎らして来る / 二二 三太郎峠に賊の諸将軍議を凝らす / 二三 樺山参謀長傷つき与倉聯隊長戦没す / 二四 賊軍大挙城に迫り篠原国幹これに傷つく / 二五 城中議を凝して旅団と連絡を謀る / 二六 谷村計介重囲を脱して官軍に投ず / 二七 奥少佐突出隊を率いて川尻に向う / 二八 熊本の囲いついに解け賊魁城山に亡ぶ / 二九 メッケル少佐と世界の大勢を論ず / 三〇 陸軍制度取調のため欧州派遣を命ぜらる / 三一 露都の夜会に名歌妓の歓待を受く / 三二 巧みにイタリア名妓の追跡を免かる / 三三 御用商人の手先代議士へこまさる / 三四 俊髦を挙げて検疫の事実を大成す / 三五 台湾統治のためさらに後藤を重用す / 三六 処士蕃界に入りて柯頭目を招降す / 三七 敗残の勇将総督の仁慈に感泣す / 三八 台湾神社を奉祀し明治橋を架設す / 三九 台湾名物禿八百屋の命名親となる / 四〇 古亭庄に野裁の耕作を奨励する / 四一 刀剣を贈りて新村の富豪を彰表す / 四二 涙を呑んで図南の鵬翼を収めしむ / 四三 福住の行灯部屋に桂首相と会合す / 四四 長官を譴責して総督の実権を示す / 四五 宣戦前に徒歩出衙して寛裕を示す / 四六 総参謀長となりたちまちにして遼陽を占む / 四七 二〇三高地陥って開城の時機迫る / 四八 旅順口陥落の祝宴に苹果水の乾杯 / 四九 奉天を破りバルチック艦隊を殲滅す / 五〇 凱旋して新たに参謀総長の職を襲う / 五一 絶代の偉人溘焉白玉楼中の人となる / 明治ナショナリストの明暗 佐伯彰一


鈴木 治雄 (すずきはるお)
「昭和という時代 鈴木治雄対談集」〈上下〉 
(しょうわというじだい)


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*上309頁 下279頁 / 発行 1997年

*カバー文

各界を代表する対談者を迎え、経済界屈指の文化人、昭和電工名誉会長・鈴木治雄のあたたかな人柄が引き出す昭和の舞台裏。


魯山人を撲った話、深夜の交番で落語を一席、スーパードライ秘話などなど、昭和電工名誉会長・鈴木治雄が聞き出す昭和人対談。

*目次

ウナギ、スッポンの効果“明治は三十八歳”(福田赳夫)
お見合いの席でペロリ、大食漢といわれて(吉永小百合)
志賀先生に叱られたり意地悪されたり、一緒に麻雀したり(阿川弘之)
患者に“牢獄”でなく“有終の医療”を(日野原重明)
百歳真近、女性解放運動闘士の快気炎(加藤シヅエ)
東京生まれ、東京育ちの愉快な関西礼讃(伊部恭之助)
友人が届けた芋で“フジヤマのトビウオ”に(古橋広之進)
谷崎、荷風―若くして大文豪に鍛えられた(嶋中鵬二)
相撲ファン、陶器が好きなシラク大統領(磯村尚徳)
六十一年間、日本で伝道、広島で被爆して(チースリク神父)
歴戦の勇士は妖艶な女形に(中村雀右衛門)


シャクにさわって魯山人を撲った(白洲正子)
怪しまれ新宿の交番で落語を一席(桂小金治)
日本のエリートと大新聞(宮沢喜一)
一村一品、食は大分にあり(平松守彦)
ウナギを食べて百二十歳まで(斎藤茂太)
おてんば女房カズノコを茹でる(田中澄江)
いい陶器は手でさわり使い込んで(辻清明)
知事になって三百曲カラオケを覚えた(長洲一二)〔ほか〕


住本 利男 (すみもととしお)
「占領秘録」 
(せんりょうひろく)


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*629頁 / 発行 1988年
*カバー写真・皇居前広場の米軍閲兵式。

*カバー文
日本史上空前の被占領体験、現場の責任者たちはどう対処したか。進駐、天皇制、復員、東京裁判、アジア諸国からの亡命者たち、農地改革、新憲法制定など、激動の日々を語る当事者たちのなまなましい体験秘話、興味津津の30話。

*目次
 新版まえがき / 軍使、マニラへ飛ぶ / 厚木基地の混乱 / 連合軍の進駐 / ミズーリ号上の調印 / 軍政をくいとめる / 東京への進駐 / 海外からの復員 / 戦犯の指定と逮捕 / 日本刀の問題 / DDTと女 / 憲法の改正に着手 / 総司令部の憲法草案 / 新憲法でき上がる / 近衛公と政局 / 天皇制をめぐって / バー・モウ亡命事件 / 財閥の解体 / シナ派遣軍の降伏 / 陳公博主席の亡命 / 中国北部の日本人たち / 米軍の調達命令(PD) / 追放と総司令部 / 松本治一郎氏の追放 / 鳩山追放と吉田登場 / 追放さらにひろがる / 石橋湛山氏の場合 / 平野力三氏の追放 / 南方軍の終末 / 農地改革 / 占領政策への批判起こる / 東京裁判