絶版文庫書誌集成

中公文庫 【つ】

塚本 誠 (つかもとまこと)
「ある情報将校の記録」
(あるじょうほうしょうこうのきろく)


(画像はクリックで拡大します)

*478頁 / 発行 1998年
*カバーデザイン・山田健二 / カバー写真・陸軍中央幼年学校入校当時の著者(後列右)

*カバー文
陸軍士官学校卒業後、情報畑一筋に歩んだ憲兵将校が、抗日戦争下の上海の情況、みずから携わった汪精衛工作の全貌、昭和二十年夏の陸軍の終焉等を回想する。優れた平衡感覚の持ち主が誠実に書き遺した貴重な証言。

*目次
序にかえて 松本重治
市ヶ谷台の青春
宇都宮から満州へ
憲兵将校となって
激動と戦火の上海
台湾で知った人々
汪精衛工作と影佐機関
東条政権下の憲兵特高課長として
宇都宮の十ヶ月
敗色濃いビルマ戦線
台湾で改革したこと
陸軍の終焉を目撃する
 あとがき
 文庫版へのあとがき 塚本芳和
 塚本誠略年譜


辻 邦生 (つじくにお)
「霧の聖(サント)マリ ― ある生涯の七つの場所 1」 
(きりのさんとまり)


(画像はクリックで拡大します)

*421頁 / 発行 平成4年
*カバー画・松本竣介 / デザイン・中島かほる

*カバー文
幼い心に異性への淡い憧れを芽生えさせて逝った美しい女性。異郷で謎の死を遂げる老亡命者 ― 。独立した挿話はいつしか絡みあい、一枚のタピスリを織りあげてゆく。昭和初期から一九七〇年代まで、世界各地を舞台に展開する野心的連作第一集。

*目次
亡命者たち / 雪の前雪のあと / 女たちの館 / 落葉のなか / 霧の聖(サント)マリ / 北海のほとり / ロザリーという女 / 坂の下の家 / 鉄橋 / 帰ってきた人 / 燕のくる町 / 海のむこうからの手紙 / 暮れ方の光景 / 風雪


辻 邦生 (つじくにお)
「夏の海の色 ― ある生涯の七つの場所2」
(なつのうみのいろ)


(画像はクリックで拡大します)

*434頁 / 発行 1992年
*カバー画・松本竣介「街にて」(一九四〇年、下関市立美術館蔵) / デザイン・中島かほる

*カバー文
孤独な少年の日々に垣間見た〈生〉の光と闇。青年の「私「」が目撃する様々な男女の愛と裏切りと死。フランス人女性との甘美な愛の生活 ―― 。独立した挿話が現代史のモザイクを形づくる連作第二集。

*目次
泉 / 河口風景 / 夜の歩み / 夏の海の色 / 凍った日々 / 水の上の顔 / 古い日時計 / 祭の果て / 海峡 / 彩られた雲 / 吹雪 / 月の舞い / ル・アーヴル午後五時三十分 / 雷鳴の聞える午後


辻 邦生 (つじくにお)
「雪崩のくる日 ― ある生涯の七つの場所3」
(なだれのくるひ)


(画像はクリックで拡大します)

*428頁 / 発行 1992年
*カバー画・松本竣介「建物」(一九四八年、東京国立近代美術館蔵) / デザイン・中島かほる

*カバー文
山々に囲まれた都市の旧制高校に入学することになった「私」は、不安と期待に満ちて東京を旅立つ。一方、日本近代史を調べるもう一人の「私」は、ヨーロッパ各地で社会主義者・宮辺音吉の意外な足跡を辿ってゆく。時代の壮大な壁画を目ざす連作第三集。

*目次
ドーヴァの眺め
夜の鐘 / 麦畑を越えて / 高原の町から / 野の道 / 北風のなかの火見櫓 / 黒い石だたみ / 山峡へ / ある壊滅 / 秋の別れ / 夜明け前の庭 / 雪崩のくる日 / 教授たちの夜 / 落日のなかで


辻 邦生 (つじくにお)
「人形(プッペン)クリニック ― ある生涯の七つの場所4」


(画像はクリックで拡大します)

*449頁 / 発行 1992年
*カバー画・松本竣介「青の風景(少年)」(一九四〇年、岩手県立博物館蔵) / デザイン・中島かほる

*カバー文
美貌の姉への病的な嫉妬の悲劇を描く表題作、音楽の世界に閉じこもるパリの三姉妹の一挿話「オルフェウスの娘たち」など、ファシズムへと傾く時代の中で生と死の群像が躍動する。豊麗な物語世界を繰り広げる連作第四集。

*目次
人形(プッペン)クリニック / 聖路加病院まで / 森の歌 / 城の秋 / マイヤーホーフの春秋 / 青い葡萄 / コルヌアーユの恋人たち / 月曜日の記憶 / 海辺の城 / 薄明の時 / オルフェウスの娘たち / 夜の入口 / 地の果て / 春の潮


辻 邦生 (つじくにお)
「国境の白い山 ― ある生涯の七つの場所5」
(こっきょうのしろいやま)


(画像はクリックで拡大します)

*426頁 / 発行 1992年
*カバー画・松本竣介「茶の風景」(一九四〇年、岩手県立博物館蔵) / デザイン・中島かほる

*カバー文
第二次世界大戦の足音が漸く聞えはじめたころ、アメリカの裏町で、スペインの谷間の村で、運命の織りなす男と女の、愛と死のドラマが交錯する。混乱と崩壊の時代を生きる人々の、永遠なるものへの希求を浮彫りにする連作第5集。

*目次
舷灯の下で / 雨季の終り / G号埠頭にて / 勝利の女神の翼の部分 / 湖畔の焚火 / 国境の白い山 / ワシントン街517 / 燕の飛び立つ日 / 巷の底で / 旅人たちの夜の歌 / 夜警の眠り / 野の喪章 / 天国へのぼる梯子 / 鳥たちの横切る空


辻 邦生 (つじくにお)
「椎の木のほとり ― ある生涯の七つの場所6」 (しいのきのほとり)


(画像はクリックで拡大します)

*460頁 / 発行 1992年
*カバー画・松本竣介「構図」(一九四〇年) / デザイン・中島かほる

*カバー文
歴史は人間がつくるのか、愛は宿命が育てるのか ―― 。スペイン内戦の夕映えがパリを、ニューヨークを、東京を、哀愁の色で染めあげる。激動の時代を生きる男女の愛と死を鮮烈に描く連作第六集。

*目次
黒人霊歌 / 聖堂まで / 霙の街から / 雨の逃亡者 / 夜が終る時 / 黄いろい海 / パリの空今日も晴れて / 静かな村外れの十字架の前で / 青葉の時間 / エトルタ七夜 / 椎の木のほとり / 薔薇の睡り / 赤い扇 / 踊るシヴァ


辻 邦生 (つじくにお)
「神々の愛でし海 ― ある生涯の七つの場所7」
(かみがみのめでしうみ)


(画像はクリックで拡大します)

*570頁 / 発行 1993年
*カバー画・松本竣介「横浜風景」(一九四一年) / デザイン・中島かほる

*カバー文
十五年の歳月をかけて、遂に完結した全百篇の短篇による壮麗な現代史のモザイク。昭和初期からの日本、アメリカ、ヨーロッパを舞台に、宿命に導かれた男女の群像が繰り広げる比類なく美しい物語世界。

*目次
新世界から / 雪の道 / 愛の亡霊(ファントーム・ダムール) / 運河の眺め / 二人だけの秋 / 聖女バルバラ祭の夜に / 海の夫人 / 長い旅の終り / ソーヌ河のほとり / 神々の愛でし海 / ジュラの夜明けに / 潮騒を聞いた日々 / アダムとイヴのバラード / 桜の国へそして桜の国から / 解説 清水徹


辻 邦生 (つじくにお)
「言葉の箱 小説を書くということ」
(ことばのはこ)


*カバー画・武田史子
 カバーデザイン・菊地信義
(画像はクリックで拡大します)

*200頁 / 発行 2004年

*カバー文
小説を書く根拠、目的、方法について、様々な例を挙げながら、生き生きした口調でわかりやすく語りかける。自身が担い続けてきた使命や文学の未来について、熱く説く様は次世代への遺言ともいえる稀有な作品。『小説への序章』にはじまり、『情緒論の試み』を経て「小説とは何か」という問いに対する最終的解答ともなっている。

*目次
T 小説の魅力 … In love with / 生命のシンボルに触れる
 小説を書く根拠 / 〈ぼくの世界〉 / 「言葉」と「想像力」 / 生命のシンボル / 上にいく力と下にいく力
U 小説における言葉 … Fact+feeling / 言葉によって世界をつくる
 小説は言葉の箱 / 心のなかを無にする / 夏目漱石の『文学論』 / 物語(ストーリー)の原型 / キャラクターとディテール
V 小説とは何か … evenement / ある出来事をつくる
 出来事をどう伝えるか / 出来事とは何か / フィクションの意識 / 詩と根本観念と言葉 / ピアニストがピアノを弾くように
 あとがきにかえて 辻邦生
 文庫版へのあとがき 辻佐保子
 解説 中条省平


辻 邦生 (つじくにお)
「辻邦生 全短篇〈2〉」
 (つじくにおぜんたんぺん)


(画像はクリックで拡大します)

*450頁
*発行 1986年
*カバー装画・中島かほる

*カバー文
第2巻は一九六八年の「叢林の果て」から最近作までの短篇と、ラジオドラマ脚本、童話、執筆時の日記を収録し、『西欧の光の下』と総称される壮大な作品群を形づくる。

辻 佐保子 (つじさほこ)
「『たえず書く人』辻邦生と暮らして」
(たえずかくひとつじくにおとくらして)


*版画・辻邦生手製木版
 カバーデザイン・中央公論新社デザイン室
(画像はクリックで拡大します)

*242頁 / 発行 2011年

*カバー文
些細な日常の出来事や着想から「霊感」を得、大きな一つの作品世界を構築していく作家・辻邦生の仕事ぶりを、半世紀を共にした夫人が彫琢の文章で綴る作品論的エッセイ集。

*目次
 はじめに
第一章 『廻廊にて』『夏の砦』『安土往還記』
第二章 初期短編のころ
第三章 『天草の雅歌』『嵯峨野明月記』
第四章 『背教者ユリアヌス』
第五章 『ある生涯の七つの場所』1〜3
第六章 『ある生涯の七つの場所』4〜5
第七章 『ある生涯の七つの場所』6〜7
第八章 『眞晝の海への旅』ほか
第九章 『春の戴冠』上
第十章 『春の戴冠』下
第十一章 『フーシェ革命暦』T
第十二章 『フーシェ革命暦』U・V
第十三章 『銀杏散りやまず』『睡蓮の午後』
第十四章 『西行花伝』
第十五章 『小説への序章』ほか評論(リルケ 森有正 トーマス・マン)
第十六章 『のちの思いに』ほか自伝的エッセイ
第十七章 『美しい夏の行方』ほか旅のエッセイ
第十八章 『手紙、栞を添えて』ほか読書エッセイ
第十九章 音楽、美術、映画をめぐるエッセイ
第二十章 アルバム、年譜、書誌など
 あとがき ── 心の闇あるいは水面下の氷山
 過ぎ去る時と留まる記憶


辻 嘉一 (つじかいち)
「味のいろは歌留多」 
(あじのいろはかるた)


(画像はクリックで拡大します)

*257頁
*発行 1983年
*カバー・宮田雅之

*カバー文
 料理は、調味料の分量計算だけで美味が生まれると妄信していられるような世の中となり、本当に情なく腹だたしいかぎりであります。
 ご自分の味覚に自信をもち、材料の良し悪しを見分ける眼を育て、四季折々の寒暖にふさわしいお加減を考えるのでなければ、真の美味は得られません。
 明日のご一家の生命づくりであり、知恵づくりである料理の基本となる心得が一杯つまっております。 (「著者あとがき」より)


津島 佑子 (つしまゆうこ)
「本のなかの少女たち」
(ほんのなかのしょうじょたち)


*カバー・五味太郎
(画像はクリックで拡大します)

*271頁 / 発行 1994年

*カバー文
夢多き少女、攻撃的な小娘、心優しい孤独な少女、わがままな美少女……。「嵐が丘」「ティファニーで朝食を」「春琴抄」など、古今の名作に描かれた魅力溢れる少女たちを、憧れと共感をこめて語る。

*目次
プロローグ ―― 自伝風に
ロッテ、グレートヘン ……『若きウェルテルの悩み』『ファウスト』ゲーテ
ダプネ、ディアナ、アンティゴネ ……『転身物語』オウィディウス / 『アンティゴネ』ソポクレス
かぐや姫、紫の上 ……『竹取物語』 / 『源氏物語』
菅原孝標の女、八百屋お七 ……『更級日記』 / 『好色五人女』西鶴
ネルリ ……『虐げられた人々』ドストエフスキー
ソーニャ ……『罪と罰』ドストエフスキー
キャサリン ……『嵐が丘』エミリー・ブロンテ
キャディー ……『響きと怒り』フォークナー
エリザベート、安寿 ……『恐るべき子供たち』コクトー / 『山椒太夫』説経節
ヴァンカ、美登利 ……『青い麦』コレット / 『たけくらべ』樋口一葉
ローラ ……『ガラスの動物園』T・ウィリアムズ
ミック ……『心は孤独な狩人』マッカラーズ
ムーシェット ……『新ムーシェット物語』ペルナノス
春琴 ……『春琴抄』谷崎潤一郎
ナナ、ホリー ……『居酒屋』ゾラ / 『ティファニーで朝食を』T・カポーティ
ポーシア、ジュリエット ……『ベニスの商人』『ロミオとジュリエット』シェイクスピア
エピローグ
 あとがき
 めざせ、少女婆 荻野アンナ


辻村 ジュサブロー (つじむらじゅさぶろー)
「人形曼陀羅 ― 自伝随想」 
(にんぎょうまんだら)


(画像はクリックで拡大します)

*192頁
*発行 1991年

*カバー文
人形は鏡です。恐ろしいほどに作った人の心の状態を映し出し、それを見る人の心をも映し出す鏡です。当代に異彩を放つ人形作家が幼時を過ごした満州のこと、生別した母への想い、創作のうちに感じた人と美の本然の姿を述懐する味わいふかい自伝風エッセイ。


筒井 清忠 (つついきよただ)
「西條八十」
(さいじょうやそ)


*カバー写真・大正期の西條八十
 カバーデザイン・中央公論新社デザイン室
(画像はクリックで拡大します)

*534頁 / 発行 2008年

*カバー文
戦前戦後のヒット曲に作詞家として名を連ね、ランボー研究をはじめ、詩人・フランス文学者としても大きな足跡を残した西條八十。多大な功績にもかかわらず近代文学の系譜から疎外されてきた、忘れられた巨人の生涯を精緻に描いた初の本格的評伝。第57回読売文学賞、第14回山本七平賞特別賞、第29回日本児童文学学会特別賞受賞。

*目次
第一章 明治後期の少年八十
第二章 青年八十の悲哀?童謡『かなりや』
第三章 詩人八十の誕生
第四章 関東大震災からパリへ
第五章 作詞家八十 ── モダン日本の『東京行進曲』
第六章 新民謡作家八十
第七章 満州事変から『東京音頭』へ
第八章 ベルリン五輪と日中戦争
第九章 『愛染かつら』の時代
第十章 太平洋戦争と八十
第十一章 「民主化日本」と八十
第十二章 復興から高度成長の時代に
第十三章 西條八十の示すもの
 あとがき
 解説 養老孟司


都筑 道夫 (つづきみちお)
「東京夢幻図絵」 (とうきょうむげんずえ)


(画像はクリックで拡大します)

*307頁 / 発行 1978年
*カバー・三井永一画

*カバー文
いまはすでに忘れ去られようとしている太平洋戦争前の東京の庶民風俗を、愛惜の心をこめていきいきとうつしながら、その街々に起こるさまざまな事件をたくみに絵解きする異色・妖艶な犯罪小説ふう連作情話十二篇。

*目次
墓場の丁 / 浪花ぶし大和亭 / 白山下薄暮 / 墨東鬼譚 / 花電車まがいの女 / 矢来下夜景 / 鬼を泣かした女 / 黒豹脱走曲 / ガラスの知恵の輪 / 九段の母 / 道化の餌食 / 東京九月大空襲 / あとがき


都筑 道夫 (つづきみちお)
「魔海風雲録」 (まかいふううんろく)


(画像はクリックで拡大します)

*354頁
*発行 1979年
*カバー・笹木芳瀧「蟇仙人図」より(宗谷真爾氏蔵)

*カバー文
山大名紅面夜叉と卒塔婆弾正、真田の若君大助と家臣の三好清海入道、望月六郎、それに若き忍者猿飛佐助、非情の密偵霧隠才蔵、漂泊の異人穴山岩千代、石田三成の血をひく女海賊、ポルトガルの奴隷商人などが謎を秘めた鏡を追って血を流す――豊臣・徳川の転換期の木曽谷と大海原を舞台に描く奇想天外、まさに異色の伝奇大ロマン。


綱淵 謙錠 (つなぶちけんじょう)
「越後太平記」上下巻 (えちごたいへいき)


(画像はクリックで拡大します)

*上巻335頁 下巻344頁
*発行 1983年
*カバー・蓬田やすひろ

*カバー文
上巻
名門越後松平家を揺るがすのは、家老小栗美作の悪政か、藩主一族の狂気か。幕藩体制確立期の非情な政争に御家騒動の実相を探る。
下巻
将軍綱吉が、酒井忠清の採決を覆し、お家断絶、美作父子切腹という苛烈な裁断を下した背景とは。お家騒動の本質を追う、完結編。〈解説〉澤田ふじ子


綱淵 謙錠 (つなぶちけんじょう)
「怪」 (かい)


(画像はクリックで拡大します)

*280頁
*発行 1982年
*カバー画 山高登

*カバー文
夜の静寂を破り古刹に出没する老狐古狸の妖怪、虚空を飛び荒武者に取り憑く山伏の怨霊、戊辰戦争に斃れ山野にさ迷う会津藩士の鬼哭など、妖鬼の世界に人間の妄執を据え心の奥にひそむ恐怖を掘り起す怪異譚

*解説頁 磯貝勝太郎


綱淵 謙錠 (つなぶちけんじょう)
「狄」 (てき)


(画像はクリックで拡大します)

*280頁
*発行 1979年

*カバー文
維新政府の優柔不断な外交施策の間隙を衝いて、版図の拡張を謀る大国ロシアは〈カラフト〉を思いのままに蹂躙する。その悲憤の中で必死に生きる明治の群像を描いて、北方領土問題の根を探る野心作


綱淵 謙錠 (つなぶちけんじょう)
「ひとり旅 ― 歴史と文学」 (ひとりたび)


(画像はクリックで拡大します)

*341頁 / 発行 昭和62年
*カバー画・川原慶賀『長崎港図』(部分)

*カバー文
飢饉、嗜好、医療思想などによる古代中国やヨーロッパのカニバリズム(食人肉)の風習、〈シーボルト事件〉〈蛮社の獄〉で密告者とされる間宮林蔵と花井一虎の残した業績、故郷樺太での記憶につながる海難事故と信仰や迷信など、卓抜な史眼と鋭い洞察で歴史のなかに人間存在の根源を思索するエッセー十二篇。

*目次
日本のボディー・スナッチャー / 墓はいつわらず / のざらし奇考 / 冷えものの御免 / ある密告者 / 私の顔を見るな / 天下第一の美食 / もう一人の密告者 / べんべんの音がやんだら / 海に消える / 筏と漁船と / 霧笛の果てに / あとがき


角田 喜久雄 (つのだきくお)
「東京埋蔵金考」
(とうきょうまいぞうきんこう)


(画像はクリックで拡大します)

*290頁 / 発行 昭和55年

*カバー文
十七万五千両に及ぶ徳川御用金の埋蔵場所は、根岸の幽霊屋敷と上野の山の戦争との関係は、 ― 江戸東京に伝わる秘宝埋蔵の言い伝えからその発見を夢みてすべてを注ぎ込んだ有名無名の人々の物語。

*目次
徳川御用金
埋められた軍費
湯島の黄金
ねむる大秘宝
小栗の埋宝
大久保の謎
秘宝絵図
筑土八幡の埋宝
 あとがき


角田 房子 (つのだふさこ)
「甘粕大尉」
 (あまかすたいい)


(画像はクリックで拡大します)

*315頁 / 発行 1979年
*カバー写真・完成したばかりの満州国政府庁舎と大同広場(毎日新聞社「一億人の昭和史」より)

*カバー文
大杉栄殺害犯人、“王道楽土”満州国の陰の立役者。悪人の名を冠せられた伝説の男甘粕正彦の波瀾の生涯を、綿密な取材で克明に描き、実像を掘り起した伝記文学の傑作長篇

*目次
一 大杉栄殺害事件 大正十二年九月十六日(一九二三年)
二 軍法会議 大正十二年十〜十二月(一九二三年)
三 獄中 大正十二年十二月〜十五年十月(一九二三〜二六年)
四 出獄 大正十五年十月(一九二六年)
五 フランス時代 昭和二年八月〜四年一月(一九二七〜二九年)
六 満洲へ渡る 昭和四年七月(一九二九年)
七 満洲建国 昭和七年三月(一九三二年)
八 満映理事長となる 昭和十四年十一月(一九三九年)
九 敗戦 昭和二十年八月(一九四五年)
 あとがき