絶版文庫書誌集成

中公文庫
【ゆ】


結城 昌治 (ゆうきしょうじ)
「軍旗はためく下に」
 (ぐんきはためくもとに)


(画像はクリックで拡大します)

*256頁
*発行 1973年
*カバー・安部真知画
*第63回(昭和45年度上半期) 直木賞受賞

*カバー文
陸軍刑法の裁きのもと、故国を遠く離れた戦場で、弁護人もないままに一方的に軍律違反者として処刑されていった兵士があった。理不尽な裁きによって、再び妻とも恋人とも会うことなく死んだ兵士の心情を、憤りをもって再現し、知られざる戦場の非情を戦後世代に訴える。直木賞受賞の著者代表作。

*解説頁・五味川純平


結城 昌治 (ゆうきしょうじ)
「志ん生一代」(上下)
 (しんしょういちだい)




(画像はクリックで拡大します)

*上巻412頁・下巻488頁
*発行 1995年
*カバー装画・灘本唯人

*カバー文
上巻
十歳になるやならずで酒と博奕を覚えた孝蔵(後の志ん生)が、唯一夢中になれたものが落語だった。二十歳で弟子入り、芸を磨くに余念はないが、飲む打つ買うの三拍子にずぼらな性分が加わり、周囲に迷惑のかけ通し。師匠の羽織を飲みつぶし、酔いつぶれて寄席の高座をすっぽかし……。芸の方はいっこうに芽が出なかったが、いつかは立派な芸人になってやる、という思いは本物だった。
下巻
酒のしくじりで寄席に出られなくなった孝蔵は、落語以外に自分の生きる道はないと痛感。高座復帰後は少しずつ人気も上昇し、昭和十四年、念願の五代目古今亭志ん生を襲名。戦後は名人・文楽と並び称される存在になり、飲む打つ買うは相変らずながら生活も安定していくが、逆に下積み時代の仲間が次々とこの世を去っていき、脳出血で倒れた志ん生も次第に高座から遠ざかってゆく……。

*解説頁・矢野誠一


結城 禮一郎 (ゆうきれいいちろう)
「旧幕新撰組の結城無二三」 (きゅうばくしんせんぐみのゆうきむにぞう)


(画像はクリックで拡大します)

*174頁 / 発行 昭和51年

*カバー文
京都見廻組に属して上京、のち新撰組に加わって動乱の世相にその青春を捧げ、維新後は一転、敬虔なキリスト教徒として貧窮の中に伝道活動を続けた志士結城無二三の波瀾の生涯を、嫡男禮一郎が敬愛を以て描く。

*目次
 お前たちのおじい様
家の系図
お若い時
京都時代
戊辰の際
明治初年
神の召命
その晩年
 この本のこと父のこと 結城慎太郎
 解説 森銃三
  口絵 結城無二三(明治八年十月)


ユゴー著 杉山正樹  (すぎやままさき)
「エルナニ」



(画像はクリックで拡大します)

*190頁 / 発行 1978年

*カバー文
愛に悩んだユゴー自身の青春像を映す若者の悲恋を軸に、陰謀渦まく十六世紀スペイン宮廷に舞台をかりて、頑迷なフランス古典主義文壇に叛旗をひるがえしロマン主義を打ちたてた画期的戯曲。

*解説頁 杉山正樹