絶版文庫書誌集成

中公文庫
【み】

三浦 哲郎 (みうらてつろう)
「結婚の貌」 
(けっこんのかお)


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*266頁
*発行 1985年
*カバー・深沢紅子画

*カバー文
若い夫婦のさりげない日常生活のなかにカミソリの刃のように一瞬ひやりとしたものがひらめく。幼い子どもをまじえた家庭団欒がフトとりとめのないものに思えてくる。そして考える。「結婚っていったいなんだろう?」――男女の心理の機微を巧みにとらえた十二の連作短篇集。

*目次
秘密 / 魔笛 / 紫陽花 / 陽炎の踊り / 父親の誕生 / 犬を飼う / 真昼の妻 / 霜の朝 / 山彦 / 出来ごころ / 秋は妻と共に / 虹のみえる風景 / 解説 上田三四二


三浦 雅士 (みうらまさし)
「主体の変容 ― 現代文学ノート」
 (しゅたいのへんよう)


*カバー・菊地信義
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*355頁 / 発行 昭和63年

*カバー文
新しい時代の文学への夢を語ろうか。現代文学の最先端を行く輝かしい作家たち大江健三郎、古井由吉、中上健次、村上春樹、筒井康隆など7人の作品を通して、同時代文学を読むことの戦きと楽しさを発見する。気鋭の評論集。

*目次
主体の変容または文学の現在  *
大江健三郎または死と言葉古井由吉または文体の磁場中上健次または物語の発生村上龍または自閉と破壊村上春樹とこの時代の倫理筒井康隆と個人主義の逆説  *
吉本隆明と三角関係の神話
 あとがき
 解説 青木保


三島 由紀夫 (みしまゆきお)
「作家論」 (さっかろん)


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*224頁
*発行 昭和49年
*カバー・熊谷博人

*カバー文
森鴎外、泉鏡花、谷崎潤一郎、川端康成をはじめとして、著者が敬愛してやまぬ作家十五人をとりあげ、その詩精神と美意識を浮彫して、おのずから文学の本質を解き明かす、作家による作家論。

*目次
森鴎外 / 尾崎紅葉 / 泉鏡花 / 谷崎潤一郎 / 内田百 / 牧野信一 / 稲垣足穂 / 川端康成 / 尾崎一雄 / 外村繁 / 上林暁 / 林房雄 / 武田麟太郎 / 島木健作 / 円地文子 / あとがき / 解説 佐伯彰一


三島 由紀夫 (みしまゆきお)
「太陽と鉄」
(たいようとてつ)


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*216頁 / 発行 昭和62年
*カバー・宮田雅之

*カバー文
最後まで冷徹な自己分析、自己認識の中で、限りなく客観的、論理的世界へ飛翔して、自らの死と対決する三島ミスチシズムの精髄を明かす「太陽と鉄」、詩を書く少年が作家として自立するまでを語る「私の遍歴時代」、ともに自伝的作品二篇を収め、三島文学の本質を解明する。

*目次
太陽と鉄
 エピロオグ ―― F104
私の遍歴時代
 解説 佐伯彰一



曲亭馬琴原作・三島由紀夫作 (きょくていばきん・みしまゆきお)
「椿説弓張月」 
(ちんせつゆみはりづき)


*カバー題字・竹榮蟹助
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*107頁 / 発行1975年

*カバー文
曲亭馬琴の名作「弓張月」に原作を借り、三島由紀夫が歌舞伎への情熱のすべてをかけた近代古典劇の傑作

*目録(目次)
上の巻
 伊豆国大嶋の場
中の巻
 讃岐国白峯の場
 肥後国木原山中の場
 同じく山塞の場
 薩南海上の場
下の巻
 琉球国北谷斎場の場
 北谷夫婦宿の場
 運天海浜宵宮の場

「弓張月」の劇化と演出

「椿説弓張月」の演出
歌舞伎の脚本と現代語
 解説 磯田光一


三島 由紀夫 (みしまゆきお)
「癩王のテラス」
(らいおうのてらす)


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*125頁
*発行 昭和50年
*カバー・司修画

*カバー文
死は月と銀、生は太陽と金。古代カンボジアの若き英雄王が、黒い死の淵からよみがえり、永遠不朽の肉体の化身となる、三島由紀夫のユニークな美意識を舞台に展開した絢爛たるロマン。

*解説頁・宗谷真爾


水上 勉 (みずかみつとむ)
「一休文芸私抄」 
(いっきゅうぶんげいししょう)



*カバー画・水上勉
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*225頁 / 発行 1994年

*カバー文
五山文学においても傑出した文芸と史家の評価を得ている一休和尚。自由なる己が禅をもとめて、反抗と風狂にひた走る八十八年の生涯をみつめ直し、その実像に迫りつつ、『骸骨』『自戒集』『狂雲集』を中心に、一休和尚の文芸の道を探る。

*目次
一 一休の文芸とその時代
ニ 『骸骨』を読む
三 『自戒集』を読む
四 漢詩を読む
 あとがき
 文庫版あとがき


水上 勉 (みずかみつとむ)
「宇野浩二伝」〈上下巻〉 (うのこうじでん)

 
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*上巻462頁・下巻433頁 / 発行 1979年

*カバー文
上巻
“文学の鬼”と称された作家宇野浩二の膝下にあった著者が、師の人間像と文学的生涯を精細に綴って菊池寛賞を受賞した伝記文学の傑作。上巻は、その生誕から震災の直後までの屈折した青春の多彩な人間劇を描きつくす。

下巻
“文学の鬼”宇野浩二の文学と生涯の、その虚実と伝説を仮借なく抉り菊池寛賞に輝く伝記文学の記念碑的労作。下巻は、大患から死へと深い孤独を抱きつつ、文学と恋ひとすじに生きた作家の真実を気迫を込めて描破する。

*解説頁(下巻収録)・中野孝次


水上 勉 (みずかみつとむ)
「馬よ花野に眠るべし」
(うまよはなのにねむるべし)


*カバー・渡辺淳
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*355頁 / 発行 1989年

*カバー文
軍馬を守りする輜重兵善六は、“敷島”との心の絆を断ちがたく、終戦復員のおりに引きとって郷里に帰った。農耕、木材運び、祭事にと常にともにある姿を、人々は馬と夫婦になったかと噂した。そして、外傷を負った愛馬に、寝もやらずの介抱をするのだった。年経て“敷島”が死んだとき、善六は後を追うように自らの命を断った。“心中”と囁かれた。馬を愛してしまった男の哀しくも心温まる物語。『兵卒の(たてがみ)』を併録。

*目次
馬よ花野に眠るべし
兵卒の?(たてがみ)
 文庫版あとがき
 解説 中野孝次

*註 『兵卒の(たてがみ)』 =「長」と「彡」に「宗」


水上 勉 (みずかみつとむ)
「てんぐさお峯」 (てんぐさおみね)


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*214頁 / 発行 昭和59年

*カバー文
辺境に生をうけ、名も知られることなく生きる人々のなりわいは、人に知られず花を咲かせて実を結ぶ野の草々に似ている。頑固に風土に根ざした格別な生きざまをおくる草民の聞き書きを物語化した傑作短篇集。

*目次(収録作品)
とりとり彦吉 / 鯉とり文左 / 穴掘り又助 / てんぐさお峯 / 稗田のおすえ / 美濃のお民 / 祇園のくるみ
 解説 祖田浩一


水上 勉 (みずかみつとむ)
「わが六道の闇夜」
 (わがろくどうのやみよ)


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*140頁
*発行 昭和52年
*カバー・永田力画

*カバー文
私は今日も六趣の世界を手さぐりで、闇夜を生きている。仏さまも神さまもまだ見たことがない ―― 作家の心奥に根雪となって残る赤貧の幼少時、出家、破門、京都五番町遊廓の夜など、生まれながらの心魂を黒々と染めあげた遠くて近い青春の軌跡を赤裸々に綴る。

*解説頁・柳田聖山


水木 しげる (みずきしげる)
「不思議旅行」
 (ふしぎりょこう)



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*206頁
*発行 昭和59年
*カバー装画・水木 しげる

*カバー文
ひっそりと隠れているもの、身近にいるのに見えないもの、見えているのに気づかない人……。お化けはさまざまな場所に、千差万別の影をとって存在している。彼らはこの世とあの世を結び、人の運命を変えてゆく。体験を中心につづる不思議旅、お化け二十二話。

*解説頁・岩川隆


ミッキー 安川 (みっきーやすかわ)
「ふうらい坊留学記 ― 50年代アメリカ、破天荒な青春」
(ふうらいぼうりゅうがくき)


*写真提供・ミッキー安川
 カバーデザイン・渡辺和雄
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*377頁 / 発行 1999年

*カバー文
父親から「アメリカへでも行っちまえ」と引導をわたされた悪童(筆者)は、18歳の時、単身渡米してしまう。英語はまったくできなかった。頼れるものは日本人離れの立派な体格と、すわった肝っ玉のみ。様々なアルバイト、学業、それに言われなき人種差別のなかで孤軍奮闘する日々。10〜20代を、’50年代アメリカで過ごした筆者の、ほろ苦い青春記。

*目次
T ミッキー、地の果ての街へ
U ぶたれたら、ぶちかえせ
V 辺境をさまよう
W ふうらい坊、アメリカを去る
 あとがき
 解説 阿川尚之


水田 九八二郎 (みずたくわじろう)
「原爆文献を読む ― 原爆関係書2176冊」
(げんばくぶんけんをよむ)


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*511頁
*発行 1997年
*カバー写真・世界文化フォト / カバーレイアウト・丸山邦彦(CREATIVE MIND)

*カバー文
原爆の恐ろしさ、悲惨さを目の当たりにし、核兵器廃絶と世界の恒久平和を心より願う著者が、被爆体験記、被災記録、原爆医療、原爆文学、原子力問題など、原爆に関するあらゆる資料をあまねく渉猟・整理して、千二百冊余に及ぶその原爆文献のなかから百冊を選び解題した労作。巻末に原爆関係文献一覧付。


水田 九八二郎 (みずたくわじろう)
「ヒロシマ・ナガサキへの旅原爆の碑と遺跡が語る」 (ひろしまながさきへのたび)


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*299頁
*発行 1993年
*カバー写真・原爆ドーム(水田九八二郎撮影)

*カバー文
原爆体験―、これは過去の出来事ではなく、核時代に生きる私たちの現在・未来の問題である。無惨な死者の声なき碑が、何を語りかけ、何を訴えようとしているのか。広島、長崎を訪れる人々に、命の尊さ、平和の大切さを考える〈平和学習〉の手引・資料に、主要な原爆慰霊碑・遺跡を紹介する。


三谷 一馬 (みたにかずま)
「江戸庶民風俗図絵」
(えどしょみんふうぞくずえ)


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*487頁
*発行 2007年
*カバー画・三谷一馬(草双紙・風俗浅間嶽 万延元年 二世歌川国貞画による) / カバーデザイン・篠原次郎

*カバー文
江戸風俗画の第一人者である著者が、長年の研究の後、江戸中期以後の庶民の生業、泣き笑いを黄表紙、草双紙、人情本、滑稽本などの資料を元に模写復元、独自の世界を展開した庶民風俗絵解き本の決定版。
「女の風俗」「男の風俗」「食」「人事」「商売」「住」「旅」のテーマに分類、三百余点の絵から当時の人々の日常生活が鮮やかに甦る。

*目次
序 / 女の風俗 / 男の風俗 / 食 / 人事 / 商売 / 住 / 旅 / 図絵出典目録 / 索引


三田村 鳶魚編 朝倉 治彦校註 (みたむらえんぎょ・あさくらはるひこ)
「江戸年中行事」 (えどねんじゅうぎょうじ)


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*428頁
*発行 1981年

*目録文
「御城之年中行事」「町中年中行事」を初め、「新吉原年中行事」など代表的年中行事十五篇を収め、江戸文化と生活実態を明らかにする。

*解説頁・朝倉治彦


皆川 博子 (みながわひろこ)
「妖かし蔵殺人事件」 (あやかしぐらさつじんじけん)


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*293頁
*発行 1989年
*カバー画・作田えつ子

*カバー文
若手歌舞伎俳優が、公演中の劇場から忽然と消え、小道具商の蔵の中から死体で発見された。殺人は殺人を呼び、梨園の人間関係の複雑さを窺わせる。舞台のけれんと、トリッキーな雰囲気に満ちた本格ミステリー。

*解説頁 絵描きのひとりごと 岡田嘉夫


皆川 博子 (みながわひろこ)
「花闇」
(はなやみ)


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*356頁 / 発行 1992年
*カバー画・橘小夢『澤村田之助』(加藤眞彦氏蔵)

*カバー文
幕末から明治初期にかけて、短命ながら、一世を風靡した歌舞伎俳優がいた。その名を、三代目澤村田之助という。稀代の名女形として絶大の人気を博しながら、狷介な性格ゆえに人を近づけず、また進行する不治の病に冒されていたため辿らずを得なかった破局への道を、江戸詩情豊かに綴る長篇小説。

*解説頁・今野裕一


宮尾 しげを (みやおしげを)
「旅に拾った話」 (たびにひろったはなし)


*カバー・宮尾しげを画
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*239頁 / 発行 1990年

*カバー文
浦島太郎の生国はどこか、闇夜で尻をつまむ風変わりな祭のいわれ、絵馬に託された願い事…。旅路で出会った人情や珍味。伝説や奇談を求めて北海道から九州、はては中国まで、画帖を片手に名勝や温泉を訪ね歩く絵で読む味な見聞記。

*目次
浦島太郎の生国 / 最上川とビール / 熊本の通潤橋 / 俳聖の遺跡を探る / スキーの思い出 / 中国見聞集 / 深坂越の紅葉 / 旅のそば / ござを着る / 絵馬のことなど / 海の民芸 / わたしは甘党 / 女人国探訪 / 旅に拾った話 / ぼん屋 / おちょろ船 / 湯殿山の神秘 / 道楽地蔵 / 女犯恵比須 / 高崎山の猿 / 芸妓の腰巻 / 尻祭り / 阿波美人 / 気持悪い話 / 絵馬の効能 / こけし談義 / 旅のあんま / 温泉ある記 / 北海道行脚 / 山陰の温泉 / 信濃西内の温泉 / 旅と写真 / 難読地名 / あとがき


宮岡 謙二 (みやおかけんじ)
「異国遍路旅芸人始末書」 (いこくへんろたびげいにんしまつ)


*カバー画・川上澄生
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*257頁 / 発行 昭和53年

*カバー文
維新前から旅芸人たちは渡海して巡業していた。コマ廻しや曲芸師の間に、こんな歴史があったのだ。埋れた足跡を仏京パリにハワイに、各地に探り、異郷に果てた数多の留学生や官民の志を掘り起す。奇書というべきか。

*目次
異国遍路旅芸人始末書
 旅芸人の先駆者たち / 慶応三年のパリ万博 / 柳橋芸者の仏京行状記 / 明治はじめの足跡 / 太神楽海を渡る / 川上音二郎貞奴洋行日誌 / 欧州を流浪する烏森芸妓 / 英京に巣食う芸人群像

異国遍路死面列伝
 パリ客死第一号 / 郷愁の肺癆 / 外交官過去帳 / 仏跡をめぐる僧侶たち / モンパルナスに眠る人びと / 陸海軍競死録 / マドロスの悲しみ / 失われたる艦船 / 無縁塚供養 / 捨て石の拓士 / 雑死切張帳 / 志士間諜行 / 骨寺の地下道
 解説 芳賀徹


宮川 寅雄 (みやがわとらお)
「秋艸道人随聞」 (しゅうそうどうじんずいぶん)


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*238頁
*発行 昭和57年
*カバー画・著者

*カバー文
孤高の詩精神をもって短歌、書道、学問に独自の境地をきずいた秋艸道人会津八一の創造と思索の軌跡と反骨の生涯とを、三十年にわたってその訓育をうけた著者が、追懐をこめてつづる珠玉エッセエ三十一篇。


宮崎 市定 (みやざきいちさだ)
「九品官人法の研究 ― 科擧前史」 (きゅうひんかんじんほうのけんきゅう)


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*634頁
*発行 1997年

*カバー文
一品から九品の等級で人を官に登用する九品官制は隋代に科挙制度が確立してもなお後世まで続いた。本書は、官吏登用制度の実態を究明すべく、門閥家の特権を認めた九品官人法の変遷を広い視野と緻密な実証で跡づけ、中国中世の貴族社会の構造を解明し、わが国が世界に誇る宮崎史学の精髄を結晶させた名著である。

*解説頁・礪波護


宮崎 市定 (みやざきいちさだ)
「謎の七支刀 ― 五世紀の東アジアと日本」
(なぞのしちしとう)


*カバー写真・七支刀(石神神宮蔵)
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*274頁 / 発行 1992年

*カバー文
大和・石神神宮に代々伝わる七支刀には六十一文字の銘文が象嵌されている。
従来その読み方には諸説あったが、著者は考古学的方法に加えて新たに文献学的手法を用い、初めて全文の復原・解説に成功した。この成果をふまえて稲荷山鉄刀、江田船山大刀に刻まれた銘文の解読結果をあわせ考え、さらに遠く南北宋の元嘉刀(げんかとう)に思いを致す時、五世紀東アジアの動的世界が浮かび上がってくる。

*目次
 はしがき
序章 日本古代史のなかの不思議
第一章 七支刀研究の回顧
 一 明治期
 二 大正期
 三 昭和期
第二章 七支刀銘文の研究各論
第三章 七支刀銘文の影響
 一 稲荷山鉄刀
 二 江田船山大刀
第四章 七支刀銘文の源流
  ―― 長文刀銘の流行遍歴の軌跡
第五章 五世紀東亜の形勢
 あとがき
 文庫版あとがき


三好 徹 (みよしとおる)
「私説・沖田総司」 (しせつおきたそうじ)


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*247頁 / 発行 昭和56年
*カバー・三井永一

*カバー文
新選組随一の美丈夫とうたわれながら、非情の人斬りとして生きねばならなかった若者の人間像に迫る表題作など、幕末維新史を揺がせた暗殺事件の真相を推理し歴史の謎に挑む傑作4篇

*目次
私説・沖田総司
人斬り彦斎
暗殺始末
参議暗殺
 あとがき
 解説 武蔵野次郎


三好 徹 (みよしとおる)
「近代ジャーナリスト列伝 天馬の如く〈上下〉」 (きんだいじゃーなりすとれつでん)


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*上巻・391頁 下巻・421頁 / 発行 1986年
*カバー 「各社新聞毎夕評論」明治25年11月16日付創刊号付録より

*カバー文
上巻
最初の社会部記者岸田吟香をはじめ、成島柳北、末広鉄腸、中江兆民、池辺三山ら、時の権力に昂然と対峙し、時代の真の旗手として日本の近代化を担った明治言論人たちの気骨の生涯を描く力作。
下巻
論説の後退と報道の重視という大きな流れ、そして強まる軍部の圧力。幸徳秋水、杉村楚人冠、徳富蘇峰、緒方竹虎、桐生悠々ら、動乱の時代に模索し苦闘する大正・昭和の新聞人の苛烈な生涯。

*目次
上巻
第1章 最初の社会部記者 / 第2章 変幻 / 第3章 鉄の如く / 第4章 気骨 / 第5章 天馬 / 第6章 「報知」の人びと / 第7章 鬼の笑顔 / 第8章 不運な天才 / 第9章 柔弱の業
下巻
第10章 道に幸あり / 第11章 「平民新聞」の人びと / 第12章 冬の時代 / 第13章 一管の筆 / 第14章 白虹事件 / 第15章 特ダネの時代 / 第16章 大正から昭和へ / 第17章 動乱の時代 / 第18章 最後の論説記者


三好 徹 (みよしとおる)
「まむしの周六萬朝報物語」 
(まむしのしゅうろく)



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*426頁・旧仮名旧字体
*発行 1979年
*カバー・三井永一

*カバー文
喰いついたら離れない「まむしの周六」と畏怖され、「萬朝報」を舞台に冨と権力の横暴に立ち向かい、また「巌窟王」や「嗚無情」の名翻訳で天下の人気をさらった明治の偉大なジャーナリスト黒岩涙香の気骨と覇気あふれる波瀾の生涯を活写する。


*解説頁・権田萬治