絶版文庫書誌集成

講談社文庫 【む】

棟方 志功 (むなかたしこう)
「板散華」
(はんさんげ)
講談社文芸文庫 現代日本のエッセイ


*デザイン・菊地信義
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*236頁
*発行 1995年

*カバー文
原始美術の力強さを示し、民芸的特質を持ち日本美の原点を探る独特の〈板画〉世界を展いた、棟方志功。強烈なエネルギー漲る初期エッセイ集『板散華』を中心に、『板画の肌』を抄録。「板画の持つ真性は、東洋の美意識に真実を重ねる」とする「板血脈」をはじめ、「河井寛次郎先生」「板画道」「万暦赤絵」「富岡鉄斎」「麻蒸風物」「哀母記」「串もち」のほか「哀父記」を加えた三十五篇。

*解説頁・長部日出雄


村上 重良 (むらかみしげよし)
「日本宗教事典」
 (にほんしゅうきょうじてん)
講談社学術文庫



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*472頁
*発行 1988年
*カバーデザイン・多田進

*カバー文
宗教は、日本文化を構成しているきわめて重要な領域であり、日本文化をその最深部において性格づけているといっても過言ではないが、その全体像を客観的、実証的に通観する仕事の大半は遺されてきた。本書は、日本の主要な宗教、宗教史上の重要な事件と運動、代表的な信仰および宗教観念などを大項目で体系化し、各項目を年代順に配列した。日本宗教についての読む事典であるとともに、日本宗教史上の通史であり宗教論でもある。


村上 信彦 (むらかみのぶひこ)
「服装の歴史〈一〉キモノが生れるまで」
 (ふくそうのれきし)


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*239頁
*発行 昭和54年
*カバーデザイン・栃折久美子

*カバー文
性によって服装がなぜ違うのか。この点が、服装の変遷の意味を正しく理解するカギだった。社会における男と女の関係の歴史と有機的に関連づけることで初めて服装の問題を合理的に捉え得て、服装研究に画期的な転回点を打ち立てた全三巻の労作。本書では服装の諸原理を「キモノが生れるまで」が明らかにされる。

*全三巻


村上 信彦 (むらかみのぶひこ)
「明治女性史〈一〉文明開化」 
(めいじじょせいし)


*カバーデザイン・栃折久美子
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*450頁 / 発行 昭和52年

*カバー文
明治の激動の時代相は女の生き方にも激変をもたらした。そこに生きた女たちの生活の重みの中にまで深く錘をおろし、尨大な資料にもとづきながら彼女たちの埋もれた実像を実証的に明らかにする。この第一巻では、文明開化期が女たちに及ぼしたものをさぐり、生きた女性史の視座からこの波瀾の時期を捉えなおす。

*目次
 まえがき
背景
 士族の没落
  偉大な明治 / 変革の犠牲者 / 過渡期の苦悩 / 転落 / 消される人たち
 士族の娘
  大名華族 / 糸のむずび目 / 未来の妻 / 貞操教育の崩壊 / 天職意識
 地方 ― 女の生活
  ものを創る人たち / 貧しい生活 / 女の労働 / 耐えぬく力 / 地の塩
文明開化
 上からの開化
  開化期の天皇 / 「ふしぎな運命」 ― 女子留学生 / 男も人なり、女も人なり / 文明の生活 / いつわりの解放
 エネルギーの方向
  女丈夫の系譜 / 生成と発展 / 「繰婦勝兵隊」 ― 伝習工女 / 模索と挫折 ― 開化の風俗
 舶来と土着
  異人をみる目 / 開国とプロテスタント宣教 / ミッション・スクールの源流 / 研学する娘たち / キリスト教主義教育の評価

*全四巻


村上 信彦 (むらかみのぶひこ)
「明治女性史〈四〉愛と解放の胎動」
 (めいじじょせいし)


*カバーデザイン・栃折久美子
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*529頁 / 発行 1977年

*カバー文
すでに遠くなろうとしている明治。このかつてない激動の時代を生きた女たちの埋没させてはいけない実像を、入念な検証にもとづきつつ具体的に詳かにする。この第四巻では、廃娼運動の意義を論証し時代の旧い意識が女の生活と感情に及ぼした歪みを探り、最後に新しい時代を模索する女たちの新しい動きにふれる。

*目次
社会運動(1)
 売淫
  伊藤博文の公娼制讃美 / 明治に発展した売淫制度 / 親権と人身売買 / 娼妓の生活 / 売娼輸出

 廃娼運動
  排娼と廃娼 / 在娼論と廃娼論 / 廃娼運動ひろがる / 婦人矯風会の活動 / 自由廃業 / 闘争の白熱化 / 苦悩と共感 ― 木下尚江 / 信仰と愛 ― 山室軍平と益富政助 / 人権自覚の原点

感情生活
 観念と挫折
  文学者の自由願望と家制度 / 石川啄木の暗黒日記 / 恋愛観と男の幻想 ― 透谷・独歩 / 詩人の放縦と妻の生涯 ― 生田花世

 恋愛と生活
  樋口一葉 / 与謝野晶子 / 自立と同化 ― 相馬黒光

社会運動(2)
 陣痛期 ― 潮騒
  労働者意識の労働運動 / 女子労働者の条件 / 争議の性格 / 社会主義と女性解放 / 社会主義者の女性論 / 福田英子の思想と活動

 潮騒のひびき高まる
  『青鞜』と平塚明子 / 声なき声

あとがき

*全四巻


村山 槐多・酒井 忠康編 (むらやまかいた・さかいただやす)
「槐多の歌へる 村山槐多詩文集」
(かいたのうたへる)
講談社文芸文庫


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*330頁 / 発行 2008年
*カバーデザイン・菊地信義

*カバー文
個性主義芸術の時代あるいは生命主義芸術の時代と呼ばれた一九一〇年代に、彗星のごとく画壇にデビューし、二十二歳で早世した天才画家・村山槐多。彼は生得の詩的才能にも恵まれていた。人生と社会の矛盾に打ち拉がれながらも、野性の生命力の回復を希求する詩魂は、鮮烈な色彩感覚と結びつき独自の世界を構築した。放浪、デカダンスのうちに肺患により短い生を駆け抜けた槐多の詩、散文詩、短歌、小説、日記を精選収録。

*目次
遺書 / 詩 / 散文詩 / 短歌 / 小説 / 日記(大正二年‐八年)

解説 酒井忠康 / 年譜 酒井忠康 / 著書目録 酒井忠康


室生 犀星 (むろうさいせい)
「かげろうの日記遺文」
(かげろうのにっきいぶん)
講談社文芸文庫


*デザイン・菊地信義
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*258頁 / 発行 1992年

*カバー文
原典『蜻蛉日記』中に僅か数十行しか記述はされていない町の小路の女〈冴野〉は、学問も名もない下賤の女ながら己れのすべてを男に与えて消え失せた、妖しい女であった。室生犀星は『日記』の書き手紫苑の上以上にこの女を愛し、犀星自身の消息を知らぬ生母ハルの身の上に重ねて物語り、限りない女性思慕の小説とした。川端康成をして、当時、“言語表現の妖魔”と迄言わしめた野間文芸賞受賞の名篇。

*目次
一、花やぐひと
二、山辺の垣ほ
三、真菰草
四、町の小路の女
五、山もしずまる歌
六、うたたねのまに
七、名もなき侍
八、香の風
九、くろ髪
十、あたらしい野の姫
十一、長歌
十二、再会
 あとがき
著者に代わって読者へ 室生朝子
解説 佐々木幹郎
作家案内 星野晃一
著書目録

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