絶版文庫書誌集成

未分類絶版文庫 【な】

中 勘助 (なかかんすけ)
「菩提樹の蔭」
 (ぼだいじゅのかげ)
岩波文庫


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*209頁
*発行 1984年

*帯文
亡き恋人の像をきざみ、魂よ還れと必死に祈る若者の願いはついに神にとどくが……。表題作に随筆2篇を併収。《解説=山本健吉》


中 勘助 (なかかんすけ)
「蜜蜂・余生」
 (みつばち・よせい)
岩波文庫



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*219頁
*発行 1985年

*帯文
"家"の重荷を一身に背負い、蜜蜂のように働きつめた亡き兄嫁。孤独でやさしかった兄嫁の晩年をしのぶ随筆2篇。《解説=生島遼一》


那珂 太郎 (なかたろう)
「那珂太郎詩集」 (なかたろうししゅう)
芸林21世紀文庫


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*128頁
*発行 2002年

*表紙装画・新井深

*目次
音楽
はかた
空我山房日乗 其他
幽明過客抄
鎮魂歌
 那珂太郎の詩法 高柳誠


永井 荷風 (ながいかふう)
「夢の女」 (ゆめのおんな)
集英社文庫


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*201頁
*発行 1993年
*写真・松竹株式会社提供 / 撮影・篠山紀信 / AD・岡邦彦

*カバー文
妾奉公の旦那に死なれ、わずかな手切れ金で縁を切られたお浪は、生活に困窮した家族を救うため、生まれたばかりの娘を里子に出し、洲崎の遊廓に身を売ったが…明治末の東京を舞台に、薄幸の美女の懸命に生きる日々を、情緒豊かに描く名編。

*解説頁・富岡幸一郎


中江 兆民著・井田 進也校注 (なかえちょうみん・いだしんや)
「一年有半・続一年有半」
(いちねんゆうはん・ぞくいちねんゆうはん)
岩波文庫


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*335頁 / 発行 1995年(改版)

*カバー文
身辺の記事から同時代の人物,政治,文学,芸能を思うままに論じた卓抜な社会批評『一年有半』と,「余は断じて無仏,無神,無精魂,即ち単純なる物質的学説を主張する」 ―― 諸哲学・宗教への激烈な批判を通して展開する兆民思想の総決算の書『続一年有半』。喉頭癌のため余命一年半の通告を受けた自由民権運動の指導者兆民(1847-1901)の遺著。

*目次
 校注にあたって
一年有半
続一年有半
 注
 解説
 中江兆民略年譜
 兆民著作振り仮名要覧


長尾 宇迦 (ながおうか)
「西行法師 北行抄」 (さうぎょうほうしほっこうしょう)
PHP文庫


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*273頁
*発行 2004年
*装丁・安彦勝博 / 装画・五木玲子(「夜桜U」)

*カバー文
南河内弘川寺境内の草庵にて、愛弟子北弁にかしずかれて覚悟の死を迎える西行は、その入寂の迫ったことを悟り、三度におよんだ奥州衣川への旅の覚え帖をひもとき、静かに昔語りをはじめる。旅の記憶、詠んだ歌への思いから、やがて若き日の恋や出家の真相など、「歌人西行」の内面が浮き彫りになっていく ―― 。師弟の対話によって物語を進めながら、西行の真実の姿に迫った意欲作。


長尾 宇迦 (ながおうか)
「幽霊記 ― 小説『遠野物語』」 (ゆうれいき)
新人物往来社文庫


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*255頁
*発行 2010年
*カバー写真・小友の千本カツラ(遠野市)(撮影・富田文雄) / カバーデザイン・幅雅臣

*カバー文
「此話はすべて遠野の人佐々木鏡石君より聞きたり。昨明治四十二年の二月頃より始めて夜分折々此話をせられしを筆記せしなり」(柳田國男『遠野物語』初版序文より)
 遠野出身で、「佐々木鏡石」の筆名で小説を発表していた喜善の語る民話をもとに、不朽の名著『遠野物語』が生まれた。その名声の陰で小説家として挫折してゆく喜善の、屈折した心のひだと報われぬ生涯を描いた表題作「幽霊記」(直木賞候補作)ほか、千島探検の郡司成忠に冒険の夢をかける反骨の医師(「熱血記」)、平民宰相原敬への無償の奉仕に生きた男(「幇間記」)を描く二篇を収録。

*解説頁・佐々木篁


長岡 慶之助 (ながおかけいのすけ)
「薄明の海峡」
(はくみょうのかいきょう)
大陸文庫



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*543頁
*発行 1988年

*カバー文
シーボルトを慕って相集まる青春の群像。青雲の志を高らかに謳いあげて、幕末の長崎の街に繰りひろげられる若者たちの恋と苦悩と学問への向学心。作者が渾身の筆勢をこの一篇にこめて、敢て世に問う大野心作。


中上 健次 (なかがみけんじ)
「讃歌 ― 中上健次選集 8」 (さんか)
小学館文庫


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*473頁
*発行 1999年
*カバーデザイン・菊地信義

*カバー文
 故郷を離れ、遍歴の果てにたどり着いた東京で、ジゴロとして生きる若者イーブ。
 生来の美貌に、ジムで鍛えあげた肉体を鎧い、女にも男にも快楽を与え続ける日々。
 感情のすべてを断ち切り、過去のいっさいを捨て去って、“性のサイボーグ”になりきろうとするイーブは、空っぽの心で疑似愛を演じ、タブーなき性の饗宴を繰り返す。
 忘れようとする記憶の深淵から立ち昇る夏芙蓉の花の香と、群れ集う金色の小鳥──。
 全編を覆う大胆な性描写の底流に、存在の根源にさまよう若者の不安と孤独、喪失と再生を描き出した異色長編。
 (解説・池澤夏樹)


中上 健次 (なかがみけんじ)
「熊野集・火まつり 中上健次選集 9」 (くまのしゅう・ひまつり)
小学館文庫


*カバーデザイン・菊地信義
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*507頁 / 発行 2000年

*カバー文
 夜叉鬼神が跋扈する霊異の地・熊野 ― 。闇と光、死と生、幻と現、虚と実のはざまを彷徨する者たちは、荒ぶるひと連なりの魂となり、時空を越えて響きあう。
 いにしえの時を映す幽玄無窮の物語世界と、リアリスティックな私小説的世界とが交錯する異色の短篇連作。
 『枯木灘』の文学的達成を遂げ、大作『地の果て 至上の時』へ向かおうとする作家が、“根の国・熊野”を全身全霊で捉え、鮮やかに示現せしめた渾身の十四篇。
 熊野の土地と事件に材をとり、みずから脚本を手がけた同名映画のノベライゼーション「火まつり」を同時収録。

*目次
熊野集
 不死 / 桜川 / 蝶鳥 / 花郎 / 海神 / 石橋 / 妖霊星 / 勝浦 / 鬼の話 / 月と不死 / 偸盗の桜 / 葺き篭もり / 熊の背中に乗って / 鴉
火まつり

 物語の呼び声 中沢けい


中上 健次 (なかがみけんじ)
「地の果て 至上の時 ― 中上健次選集 10」 (ちのはてしじょうのとき)
小学館文庫


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*669頁
*発行 2000年
*カバーデザイン・菊地信義

*カバー文
 異母弟殺しから三年 ── 。大阪での服役を終え、竹原秋幸が紀州・新宮へ帰ってきた。
 土地開発により、すっかり変わり果てた郷里の町で、幾多の噂にまみれながらも一代の分限者として君臨する「蝿の王」たる実父・浜村龍造が、血の宿業で結ばれた秋幸の帰還を待ちうける。
 生まれ育った「路地」の消滅、掘り返された土地に野火のように広がる男たちの熱狂と、女たちの信心……。
 重層的に響き合う物語の呼び声を背景に、父と子の葛藤を根源から照らし出した中上健次、結着の書。「岬」「枯木灘」と 三部作をなす“秋幸サーガ”の最高到達点。

*解説頁・?秀実


中上 健次 (なかがみけんじ)
「岬・化粧他 ― 中上健次選集 12」 (みさき・けしょう)
小学館文庫


*カバーデザイン・菊地信義
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*285頁 / 発行 2000年

*カバー文
 紀州の山と川と海に閉ざされた土地で、逃れがたい血の桎梏にもがく青年“秋幸”の内なる滾りと切なる叫び──。
 血縁地縁の深みを照らし、独自の文学世界を切り拓いた芥川賞受賞作「岬」をはじめ、架空の隠国市を舞台に路地の業火を濃密に描いた文庫初収録作品「臥龍山」「藁の家」。
 故郷・熊野をめぐる荒くれ男の漂白譚に、虚と実の玄妙が鮮やかに映し出される「修験」と「化粧」。
 哀切に充ちた究極のエロティシズムを流麗な文体に結晶させた「重力の都」。
 根の国・熊野を豊かに覆う中上文学の甘美なるエッセンスを凝縮した選集最終巻。
  (解説 金井美恵子)

*目次
岬 / 臥龍山 / 藁の家 / 修験 / 化粧 / 重力の都
「根の国」を「小説」で書く、こと  金井美恵子 / 中上健次年譜


中上 健次 (なかがみけんじ)
「鳩どもの家」 (はとどものいえ)
集英社文庫


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*267頁
*発行 昭和55年
*カバー・菊地信義

*カバー文
ぼくは十八歳の高校生。青春のまっ只中。だが、大人たちが築いた虚構の日常の中に、ぼく達の場所はない。だからセックスに煙草に関心を示し、喫茶店にいりびたり、悪ぶってみせる……。表題作「鳩どもの家」他、「日本語について」「灰色のコカ・コーラ」等、バイタリティに満ちた初期作品を収録。

*解説頁・村上龍


中川 清編 (なかがわきよし)
「明治東京下層生活誌」
(めいじとうきょうかそうせいかつし)
岩波文庫



*カバーカット・「東京の貧民」挿図(『時事新報』明治二九年一〇月一一日)
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*311頁 / 発行 1994年

*カバー文
明治19(1886)年は、維新以降、最悪の不況の年だったといわれる。この年『朝野新聞』に連載された「府下貧民の真況」は、東京の下層社会を記録したルポルタージュの先駆であった。このルポをはじめ、明治年間に書かれた東京の下層社会に関する生活記録の中から、幸徳秋水「東京の木賃宿」、横山源之助「貧民の正月」等14篇を収録した。

*目次
凡例
 T 異質さへの関心
府下貧民の真況 … (著者不詳)
窮民彙聞 … (著者不詳)
貧天地饑寒窟探検記抄 … 大我居士(桜田文吾)
東京府下貧民の状況 … 呉文聡
 U 固有の生活世界
東京の貧民 … (著者不詳)
昨今の貧民窟 ― 芝新網町の探査 … (著者不詳)
 V 社会批判の介在
世田ヶ谷の繿縷市 … 屑屋金太郎談[幸徳]秋水生筆記
下層社会の新現象 共同長屋 … 天涯茫々生[横山源之助]
東京の木賃宿 … 雲水道者談[幸徳]秋水生筆記
下谷区万年町貧民窟の状態 … 斎藤兼次郎
 W 下層社会の変容
貧民の正月 … 樹下石上人[横山源之助]
共同長屋探見記 … 天涯茫々生[横山源之助]
貧街十五年間の移動 … 横山源之助
下級労働社会の一大矛盾 ― 奉公人の供給減少、木賃部落の求業者増加 … 横山源之助

解説 中川清
底本一覧


中川 右介 (なかがわゆうすけ)
「歌舞伎座誕生 團十郎と菊五郎と稀代の大興行師たち」
(かぶきざたんじょう)
朝日文庫


*カバー装幀・師田吉郎
 カバー図版・東都名勝図絵 歌舞伎座
  (国立劇場蔵)
 同・歌舞伎座開場公演辻番付
  (松竹大谷図書館所蔵)
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*424頁 / 発行 2013年

*カバー文
2013年春に新開場する歌舞伎座。百二十余年前、この大劇場の誕生には役者、興行師、政治家などおびただしい人々が関わった。演劇改良の理想と伝統のはざまで苦闘する役者、興行権をめぐる権謀術数、飛び交う大金 ── 文明開化期を舞台とした、芝居より面白い人間実録。

*目次
はじめに
序章
第一章 猿若町の新風
第二章 芝居町の外にいた人々
第三章 それぞれの維新
第四章 新富座と自由民権運動
第五章 演劇改良会と天覧劇
第六章 歌舞伎座開場
第七章 迷走
第八章 世代交代
終章
あとがき
参考文献


長崎 盛輝 (ながさきせいき)
「かさねの色目 ― 平安の配彩美」
 (ささねのいろめ)
京都書院アーツコレクション



*カバー表紙・「橋姫」部分(国宝・源氏物語絵巻三巻の内)徳川美術館蔵
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*327頁 / 発行 平成8年

*カバー文
かさねの色目は、もと一枚の袷仕立ての衣(袿・うちき)の裏表の裂を合わせた色を言いましたが、後にはその衣を幾領も着装して表される衣色の配合色も「かさねの色目」と呼ぶようになりました。本書は、その両者の色彩配合をとりあげたもので、前者には「重」、後者には「襲」の文字を用いて260余種を解説しています。あわせてトーン分類一覧表・参考文献なども多彩に収録。平安人の「季」に対する繊細な美的感覚と、その配色の妙をお楽しみください。

*目次
はじめに
かさねの色目 色票
 『薄様色目』中倍配合の三重がさね六例
 『満佐須計装束抄』
 『女官飾鈔』
 『曇華院殿装束抄』五ッ衣単色目事
 かさねの色目色票に使用の染・織の色、全四十八色
T 総説
 1 重色目と襲色目について
 2 女房装束各部の衣について
 3 衣に表わされる文様・地質
U 各説
 1 色票に掲載の重色目の解説
   春 / 夏 / 秋 / 冬
 2 重色目の別説一覧表
   春 / 夏 / 秋 / 冬 / 四季通用
  附・重色目全説に出現する色彩の四季別頻度
    中倍配合の三重がさね一覧表
 3 襲色目に関する『満佐須計装束抄』・『女官飾鈔』
   『曇華院殿装束抄』の所説と解説一覧表
   『満佐須計装束抄』
   『女官飾鈔』
   『曇華院殿装束抄』五ッ衣単色目事
  附・かさねの色目色譜に使用の染・織色48種と、曇華院殿装束抄に記載の彩色名と色調関連一覧表
 4 重・襲の色目の配色に用いられる染・織色基本色の歴史的解説
    色系統の分類
   〈別表〉日本色研によるトーンの分類表
  附・重・襲の色目に色譜に用いられる染・織色の色調表示一覧表
 5 色票に掲載の重色目一二〇種の表・裏色による配色の色相別・トーン別分類一覧表
 6 参考文献
   索引


中島 道子 (なかじまみちこ)
「柳生石舟斎宗厳 ― 戦国を戦い抜いた柳生新陰流の祖」 (やぎゅうせきしゅうさいむねよし)
PHP文庫


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*354頁
*発行 2003年
*カバー装画・西のぼる

*カバー文
「剣聖」として後世に語り継がれる柳生石舟斎宗厳。しかしその人生は、厳しい苦難の道のりであった。筒井順昭、松永久秀、織田信長ら群雄の狭間で翻弄され、豊臣政権下では「隠田」を密告されて所領没収。柳生家の繁栄は、五男宗矩が徳川家康の下で活躍する「関ヶ原」以後、石舟斎七十過ぎのことであった。戦乱の世に剣の道を一筋に貫き、自らの宿命と戦い続けた男の生涯。文庫書き下ろし。


中城 ふみ子 (なかじょうふみこ)
「歌集 乳房喪失」
 (かしゅうちぶさそうしつ)
短歌新聞社文庫



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*120頁 / 発行 1992年

*カバー文
出版後四十年近くの歳月を経て、未だにその生命力を失わない戦後歌集の傑作。新しい女流の歌の原点ともいうべき作品の息吹きがよみがえる!

*解説頁・山名康郎


永瀬 三吾・日影 丈吉・角田 喜久雄 (ながせさんご・ひかげじょうきち・つのだきくお)
「日本推理作家協会賞受賞作全集8 短篇集 永瀬三吾・日影丈吉・角田喜久雄」
(にほんすいりさっかきょうかいしょうじゅしょうさくぜんしゅう)
双葉文庫



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*238頁 / 発行 1995年
*装幀・菊地信義 / 装画・落田洋子

*カバー文
権謀術数の渦巻く日中戦争末期の中国大陸を舞台にした「売国奴」、農村の風土や住民の描写が独特のムードを醸し出す「狐の鶏」、新聞記者明石が係わった犯罪を通してユニークで複雑な女性心理を描く「笛を吹けば人が死ぬ」。三人の作者それぞれの持ち味が濃厚に漂う個性的な短篇集。

*目次
売国奴 永瀬三吾 / 狐の鶏 日影丈吉 / 笛吹けば人が死ぬ 角田喜久雄 / 解説 山村正夫


永田 耕衣著・坪内 稔典編 (ながたこうい・つぼうちとしのり)
「永田耕衣句集」
(ながたこういくしゅう)
芸林21世紀文庫


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*128頁
*発行 2002年
*装画・池田満寿夫 / 装幀・高林昭太

*目次
加古 / 真風 / 與奪鈔 / 驢鳴集 / 吹毛集 / 惡靈 / 闌位 / 冷位 / 殺佛 / 殺祖 / 物質 / 葱室 / 人生 / 泥ん / 狂機 / 自人 / 陸沈考 / 解説 坪内稔典


中田 耕治 (なかだこうじ)
「異聞霧隠才蔵」
(いぶんきりがくれさいぞう)
大陸文庫



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*333頁
*発行 昭和63年
*カバーイラスト・安芸良 / カバーフォーマット・高久省三 / カバーデザイン・一ノ瀬和彦

*カバー文
関ケ原の戦いから敗走した真田の忍者霧隠才蔵は、主君の妹、布由姫を敵に手に奪われた。阿鼻叫換の地獄図絵から奇跡的に脱出した才蔵は、姫を殺し、恋人を娼婦に堕した服部忍者群に凄絶な復讐を誓う。

*解説頁・松島義一


中田 耕治 (なかだこうじ)
「異聞猿飛佐助」
 (いぶんさるとびさすけ)
大陸文庫



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*318頁
*発行 1988年
*カバーイラスト・中川惠司

*カバー文
関ケ原の戦いから14年、大坂冬の陣を間近に控え、江戸、大阪の緊張が高まってきていたとき、猿飛佐助が信州諏訪の山中にあらわれた…。魅力あふれる忍者たちの生き様を見事に描いた長編時代小説。

*解説頁・澤名恭一郎


中田 耕治 (なかだこうじ)
「忍者アメリカを行く」 (にんじゃあめりかをゆく)
大陸文庫


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*382頁
*発行 1989年
*カバーイラスト・鏡泰裕 / カバーフォーマット・高久省三 / カバーデザイン・一ノ瀬和彦

*カバー文
甲賀流忍法の達人で美男の浪人隼秀人。彼が旅する西部には、剣難、女難の雨がふる。次から次へと登場するは、ビリー・ザ・キッドにドク・ハリディ、カラミティ・ジェーンに,かのジェロニモ。奇想横溢時代小説西部劇。

*解説頁・中山伸子


中田 善明著 (なかたよしあき)・シーグ社出版編
「九谷の紋様【日本文様図集】」
 (くたにのもんよう)
京都書院アーツコレクション


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*255頁
*発行 平成10年
*表紙カバー・菊花図部分


*紹介文
明治から大正末期にかけて焼かれた九谷焼の図案を多数紹介。陶工が下絵まで描いた最後の時代の貴重な図案、豊かで大胆な彩色と図柄をカラー図版に収める。主な陶工の略伝も紹介。

*目次
はじめに / 花 / 花鳥 / 果物 / 人物 / 走獣 / 鳥 / 山水・風景 / 蝶 / 扇面 / 魚 / 道具類 / 「九谷の紋様」について / 近代の九谷焼 / 陶工略伝 / 近代九谷焼年譜 / 印譜


中野 菊夫 (なかのきくお)
「歌集 冬の魚」
 (かしゅうふゆのさかな)
短歌新聞社文庫



*カバー装画・記名無し
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*120頁 / 発行 平成七年

*目次
一九七六年
 願文 / 日かげの檻 / 朝倉屋形跡 / 一束の蘭 / 戦ひの傷 / 岡山にて / 夏の絣 / われの師ら / 北の旅
一九七七年
 風見鳥の下 / 胸の鈴 / 学生街 / 春の翳 / 黄のすみれ / 一茶記念館 / 朴咲く谷 / 白華の墓地 / 翠岑をくだる / ゆり椅子 / 石道寺 / スペインにて / 十一月三日
一九七八年
 樹海 / 微塵 / 三囲神社付近 / 画稿 / 晩春 / 末裔 / 花殻 / 会議 / 首師 / ユーゴー記念館 / 霧 / 秋の虹 / 能登高浜 / なか空 / 夕映
一九七九年
 金沢 / 死にたる猫 / 我執 / 孫ら / 三月終る / 藤咲けば / 神と政治と / 扇 / 食拒ばみ / 那須 / 夏 / 秋近く / 秋のみづうみ / 碑 / 伊良湖 / 冬の魚 / 街角
一九八〇年
 蘭二鉢 / 貝母の前 / 観能 / 坂の途中 / かたくり / 流沙 / 備前の宿 / 紙のバラ / 灯を消す / むらさき草 / ささはみだれて / 出国の印 / 靴 / 陽関まで / 敦煌にて
 後記
 解説 大塚善子


中野 孝次 (なかのこうじ)
「良寛にまなぶ『無い』のゆたかさ」
(りょうかんにまなぶないのゆたかさ)
小学館文庫


*カバーデザイン・須田勝男
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*238頁 / 発行 2000年

*カバー文
 良寛(一七五七〜一八三一)は、一八歳で出家し、全国を行脚したあと、三九歳のとき、故郷の越後(現在の新潟県)に戻ってきた。彼は生涯寺を持たず、無一物の托鉢僧として七四年の生涯を越後で終えた。
 著者の中野孝次は良寛の「無」の生涯とその中から生まれた歌、詩、書に現代人が失ってしまった精神のゆたかさと、日本人としての“たたずまい”を見ている。
 現代人の欲望とは、まさに対極に生きる良寛。その無辺の人生の歩き方は、現代人の閉ざされた心に深い感動と個として生きることの意味を考えさせてくれる。本書は二一世紀を生きるガイドである。

*目次
 良寛に会いにゆく / 良寛足跡図 / 良寛の足跡ガイド
第一章 捨てるとはどういうことか
 1 出家 / 2 孤の自覚 / 3 貧しいとはどういうことか / 4 愚であるということ
第二章 騰々任天真
 1 孤貧是生涯 / 2 無能への徹底 / 3 天真に任す / 4 正法眼蔵
第三章 吾詩はすなわち我なり
 1 自己凝視の人 / 2 瞑想の人 / 3 耳の人 / 4 遊戯の人
第四章 良寛の歌
 1 努力勉強の人 / 2 人なつっこさ / 3 淋しさ、心細さ、苦しさ / 4 心のはしばし
第五章 良寛の漢詩
 1 心中の物を写さずんば / 2 人生についての思考 / 3 おいて孤独な草庵の生の悲哀 / 4 折々の感慨
第六章 愛語と戒語
 1 非説教者、非教育者 / 2 よき人間への好み / 3 よき理解者・貞心尼 / 4 最後を見とどける貞心尼
 解説・良寛略年譜 松本市壽


中野 重治 (なかのしげはる)
「梨の花」
 (なしのはな)
岩波文庫



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*479頁 / 発行 1985年

*帯文
雪の中の生活、おばばの話に耳傾ける日々.良平少年に托して、見、聞き、感じたことを生々と描いた自伝的小説. 《解説=寺田 透》


長野 伸江 (ながののぶえ)
「日本語は悪態・罵倒語が面白い」
(にほんごはあくたい・ばとうごがおもしろい)
光文社知恵の森文庫


*カバーデザイン・株式会社ウエイド(木下春圭)
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*258頁 / 発行 2018年

*カバー文
日本人は、「悪」であるはずの悪口が言い方によっては親しさや愛情表現になる、という共通認識を古くから持っていた。「バカヤロー!・ブス・甲斐性なし・犬畜生・泥棒猫・クソ食らえ」 ―― 、日本語の中の悪態・罵倒語に焦点をあて、その用法の変遷を振り返り、現代を生きる私たちとの関わりを考える。クスリと笑えて奥深い、日本語を味わう一冊。

*目次
まえがき
序章 バカヤロー! ―― あいさつから愛と悲しみまで
第一章 ブスとババアと淫乱と ―― 女をののしる
 ブス / ババア / 大根足 / 淫乱
第二章 弱くてくさいは甲斐性なし ―― 男をののしる
 弱い / ふぐりなし / 甲斐性なし / くさい
第三章 犬は畜生、猫は泥棒 ―― 動物の悪態
 犬畜生 / 泥棒猫 / 豚野郎 / オオカミ少年
第四章 鼻くそほじって、クソ食らえ ―― 排泄物で嗤う
 屁のような / 小便たれ / 鼻くそ / クソ食らえ
あとがき / 主な参考文献



中村 武志 (なかむらたけし)
「内田百閧ニ私」 (うちだひゃっけんとわたし)
同時代ライブラリー(岩波書店)


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*349頁 / 発行 1993年

*カバー文
『百鬼園随筆』『阿房列車』の大文章家内田百閧ヘ、無類の美食家であり、借金に長けた大錬金術師。著書は国鉄職員にして、百鬼園先生の文章にほれこみ、弟子入りし、のちに目白三平シリーズの作家となる。この超俗反骨の師弟のたどっる戦後の軌跡は、ユーモラスで、少し哀しく、しかし古きよき時代の人間関係の典型である。

*目次
鸛(こうのとり)が運んで来たオヤジ / 信州の山猿上京す / 就職早々クビになる / 百鬼園随筆との出会い / 大義名分は五百万読者 / 榜葛刺屋(べんがらや)盛衰記 / 鬼苑方丈記 / 百關謳カ弟子の代筆 / 編集権を奪われる / 百關謳カの序文をいただく / 著者は叱られる / もの書きはつらいよ / 見合いの栗饅頭を食べる / 百關謳カの錬金術 / 阿房列車の留守番と見送り / 二足のワラジをはく / 訓示しても膨張する / ホテルの洗濯 / 沢庵石 / 銀杏探し / 分身を追う / 自由にはき続ける一足 / ボケないうちに「こう死にたい」の記 / 百關謳カ故郷へ帰る / 郷里岡山に文学碑建つ
 われ百閧超えたり ― あとがきにかえて


中村 汀女 (なかむらていじょ)
「花影 ― 中村汀女句集」 (はなかげ)
邑書林句集文庫


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*116頁
*発行 1998年

*カバー文
1948年刊行の汀女第五句集の文庫化

*解説頁・小川濤美子


中村 稔 (なかむらみのる)
「中村稔詩集」 (なかむらみのるししゅう)
芸林21世紀文庫


*装画・池田満寿夫「聖なる手1」
 装幀・高林昭太
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*128頁 / 発行 2003年

*目次
無言歌
 初期詩篇
  海女 / ある潟の日没 / 筑波郡
 無言歌
  1 海 / 4 夜 / 8 海

 海 / 声 / 夜 / 凧 / 樹
鵜原抄
 誕生1 / 挽歌 / 器物(志野) / 愛のかたち / 鵜原抄 1 2 3 4 / 器物(高麗)
羽虫の飛ぶ風景
 日没、岩礁のほとりで / 静物 / 上野駅にて / ゴキブリの這う風景 / 羽虫の飛ぶ風景 / 松が立ち枯れている風景
羽虫の飛ぶ風景以後
 時間の迷路
空の岸辺
 火葬場にて / 空の岸辺 / 陸橋にて / ボロ布の嗚咽する風景 / 小禽たちの舞いあがる風景 / 私の信条告白
浮泛漂蕩
 兵馬俑坑博物館にて / 浮泛漂蕩 / 霏々とふりつむ雪のように / バルセロナ・グエル公園 / しめやかな潮騒
新輯・幻花抄
 未完のフーガ
  晩秋小景 / 私たちの内なる戦場 / 未完のフーガ
 残花抄
  コブシが花ひらくまで / 瞼の裏の緋色のサルスベリに / 花野の涯、ススキ原の彼方に / 満開のサクラに降る雨の中で
 解説 菅野昭正


中村 雄二郎 (なかむらゆうじろう)
「宗教とはなにか ─ とくに日本人にとって」
(しゅうきょうとはなにか)
岩波現代文庫


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*157頁 / 発行 2003年

*カバー文
宗教的な意識の出発点である〈虚無の自覚〉は、人間の生命力が自ら発する光とエネルギーを失い、自己が逆光を浴びるときに生ずる。そして宗教は個人の内面の問題にとどまらず、集団・制度に関わる事柄でもある。日本人の宗教意識を宗教的混淆や独特の倫理観から読み込み、オウム真理教事件に対する独自の解釈やイスラム教国での体験などをも織り込んで展開する注目すべき論考。

*目次
第T章 逆光の存在論 ── 「悪」の問題を再考する
第U章 問い直された日本人の宗教心 ── 仏教・儒教・道教
第V章 「誠」という道徳的価値
第W章 先端技術時代の宗教意識
第X章 イスラム教国でのささやかな体験から
 解説 旅する者の宗教論 土屋恵一郎


中山 義秀 (なかやまぎしゅう)
「斎藤道三 [戦国史記]」 (さいとうどうさん)
光文社時代小説文庫


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*309頁
*発行 昭和63年
*カバーイラスト・中川惠司

*カバー文
 一商人から身を起こして、名家、土岐氏の内紛に乗じ、美濃一国を手中に収めた斎藤道三。その波乱に満ちた生涯を描く傑作『戦国史記』。主家を滅ぼし、反逆者の名を被せられた悲劇の武将を活写した『松永弾正』も併録。

*解説頁・磯貝勝太郎


中山 義秀 (なかやまよしひで)
「山中鹿之介」 (やまなかしかのすけ)
徳間文庫


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*440頁
*発行 1988年
*カバーデザイン・秋山法子

*カバー文
 戦国時代、中国地方に絶大な力を誇っていた尼子一族も安芸の毛利元就の積年の恨みと執念によって永禄九年冬、ついに出雲の本拠月山城を攻め落とされ、若き主君義久らは安芸へ幽閉の身となってしまった。二十二歳の若輩ながら尼子十勇士と誉れ高い山中鹿ノ介幸盛は、父ともたのむ叔父立原久綱とともに上洛し、ひそかに主家再興の機をうかがうのだが。山中鹿ノ介、復讐の城とり戦争を描く長篇時代小説。

*解説頁・磯貝勝太郎


長與 善郎著・四方田 犬彦編 (ながよよしろう・よもたいぬひこ)
「復刻版 少年滿洲讀本」
(ふっこくばんしょうねんまんしゅうどくほん)
徳間文庫カレッジ


*カバーデザイン・水崎真奈美(BOTANICA)
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*317頁 / 発行 2015年

*帯文
白樺派作家が描いた昭和13年のベストセラー「満洲国」の全貌。当時の詳細データ・写真満載。父子で全満洲を旅する物語。

*カバー文
旅してわかった「満洲」の日常
●満洲とはどんな所か、日本とはどういう関係にあるのか
●満洲の歴史、自然、産業、人々の暮らし
●大連〜旅順〜奉天〜新京〜ハルピン〜チチハル〜黒河
●満洲各地を訪れた少年たちの驚きと感動
●詳細に語られる満洲各地の移民村の生活

*目次(原本表記)
『復刻版 少年滿洲讀本』解説 四方田犬彦
『少年滿洲讀本』序 文部大臣侯爵 木戸幸一

與備の知識
 何のための旅行か / 地勢と氣候 / 日本の發展 / 歴史 / 滿洲事變はどうして起つたか / 滿洲が日本の生命線と云はれるわけ
旅程の上で
 滿洲へ行く三つの徑途 / 上陸第一歩 / 大連と旅順(關東州といふ所) / 滿洲はどこから開けたか / 滿洲の恩人 / 自給自足とはどういふことか / 治安から産業へ、文化へ / 滿洲の脊椎骨、東滿 / 移民村の一夜 / 更に北滿の旅を / 北と西との國境 / 蒙古 ── コロンバイル / 熱河へ / 旅の終り
 挿繪 鶴田吾カ氏


長与 善郎 (ながよ よしろう)
「わが心の遍歴」 (わがこころのへんれき)
潮文庫


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*596頁 / 発行 昭和46年

*カバー文
僕はこのあまりにも独自的な小自伝によって、
人間とはこんなものだということを記し得たなどと自惚れるものでは毛頭ない。
ただ、僕という変な男以外には誰も書かず、又書けないであろうと信じうる意味で、
本書の上梓は何かの一資料になりはしないか。
それなら無意味でないと自負するものである。 〈「まえがき」より〉

*解説頁・里見ク


夏堀 正元 (なつぼりまさもと)
「北に燃える」 (きたにもえる)
集英社文庫


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*372頁 / 発行 昭和54年
*カバー・風間完

*カバー文
千島の守りと開拓を目指す“報效義会”から川野辺一馬一等兵は脱走、霧多布に流れ着き、ニシン漁場の親方に拾われた。逃亡者の汚名を恐れ、前身を隠し潜伏中、組合の全売上金を強奪、小樽で海産問屋をかまえた……。明治中期、国民に熱狂的に支持された郡司大尉の探検隊から脱落、開拓途上の北海道を蛮勇を振う男の波瀾万丈の生涯を描く迫力巨編。 解説・巖谷大四


夏堀 正元 (なつぼりまさもと)
「銀座化粧館 ― 小説 資生堂」 (ぎんざけしょうかん)
徳間文庫


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*218頁
*発行 1985年
*カバーイラスト・上原徹 / カバーデザイン・矢島高光

*カバー文
 明治の初め、日本初の西洋薬舗『資生堂薬局』が銀座に誕生した。その後、次第に化粧品販売も手がけ、“高級であること”“時代に先駆けること”を信条とした創始者の精神は脈々と受継がれ、時代の大波にもまれながら今日の華麗な化粧品王国を築き上げた。資生堂の歴史は、激動した近代日本の歴史である。
 銀座百年の盛衰を舞台に化粧品メーカーの成長を描く斬新な経済小説。

*解説頁・小川和佑


夏堀 正元 (なつぼりまさもと)
「日本反骨者列伝」
 (にほんはんこつしゃれつでん)
徳間文庫



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*414頁 / 発行 1987年
*カバーデザイン・秋山法子

*カバー文
日本の近・現代を、時流に阿ることなく反権力を貴いた男たち―獄中18年の後、日本共産党を再建する徳田球一。揺籃の新聞界を痛烈な諷刺精神に生きた宮武外骨。東条英機と対立、自刃した中野正剛。軍部の弾圧下、神道・天皇制に対峙し布教を続けた出口王仁三郎。権力犯罪を執拗に告発する正木ひろし。日本初の新聞を発刊した岸田吟香―凄絶ともいえる6人の男の生涯を、社会派の旗手が活写する力作評伝。

*解説頁・小川和佑


夏目 房之介 (なつめふさのすけ)
「手塚治虫の冒険 戦後マンガの神々」
(てづかおさむのぼうけん)
小学館文庫


*カバーデザイン・海野一雄+Bay Bridge Studio
 イラスト・日暮修一
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*414頁 / 発行 1998年

*カバー文
 手塚治虫の死に触発されて書き始められた、マンガ評論第一人者の著者による戦後マンガ史の徹底的な考察。日本のマンガはなぜ、そしていかに隆盛したか。戦後マンガの「表現」はどのように成立したか。著書『手塚治虫はどこにいる』をテーマに行なわれた計8回の講議録をもとに、「しゃべるようにして書きおろされた手塚論」の集大成。
 手塚治虫作品の解読はもちろん、白土三平、水木しげる、つげ義春、大友克洋など、意欲的に同時代作品との比較研究をすすめ、戦後マンガの表現がどのように展開してきたかを徹底的に解き明かす。手塚ファンはもちろん、マンガとともに育った大人たち必読の、初の本格的「戦後マンガ史」研究書。

*目次
 はじめに
第一講 手塚治虫の線とコマ『メトロポリス(大都会)』
第二講 初期手塚マンガの達成『来るべき世界』
第三講 さまざまな実験『罪と罰』
第四講 手塚マンガのライバルたち『イガグリくん』『忍者武芸帳「影丸伝」』
第五講 '60年代手塚マンガの変容『どろろ』
第六講 手塚マンガの再構築『火の鳥』
第七講 大友克洋と手塚治虫『陽だまりの樹』
第八講 最後の手塚治虫『ネオ・ファウスト』
 注 / あとがき / 文庫版あとがき
 解説 「夏目房之介はどこにいる」 瓜生吉則


奈良本 辰也 (ならもとたつや)
「維新的人間像 《新時代の予告者たち》」
 (いしんてきにんげんぞう)
徳間文庫



*カバーデザイン・秋山法子
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*254頁 / 発行 1986年

*カバー文
 阿片戦争に日本植民地化の危機を見た佐久間象山、松下村塾で明治をになう青年たちを育てた吉田松陰、奇兵隊を組織、討幕の先鋒となる高杉晋作、近代的軍事指導者としてその天才を披瀝する大村益次郎、そして明治新政府の実務官僚たる大久保利通。〈この人脈に、時代を切り拓く生命のようなものを感じている。時が、我々に大きな転換の時代を考えさせる〉(著者)
 変革の現代に贈る維新の人間像。

*目次
第一部
 吉田松陰と佐久間象山
 高杉晋作と久坂玄瑞
 松下村塾の一日
第二部
 大村益次郎
 明治戊辰年
 大久保利通
 華を去る ― 福原又市と長い雅楽
 初刊本あとがき
 解説 楢林忠男


奈良本 辰也 (ならもとたつや)
「維新のふるさとを往く」
 (いしんのふるさとをゆく)
徳間文庫



*カバーイラスト・秋山法子
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*220頁 / 発行 1991年

*カバー文
 高杉、久坂、山県、伊藤など吉田松陰門下から輩出した明治の元勲たちの故郷・萩。勤王、佐幕相乱れて血腥い政争を繰り返した京。早過ぎた義挙・天誅組の十津川。手はずを誤った蜂起の生野。西郷、大久保両雄を生んだ鹿児島。風雲児・竜馬の土佐。大隅を育てた「葉隠」の里・佐賀……明治維新氏の泰斗が、その原動力となった若き獅子たちの故郷を訪ね歩いて綴る、珠玉の歴史紀行。

*目次
第一部 維新のふるさとを往く
 萩 ― 維新発祥の城下町
 京都 ― 血塗られた政争の地
 下田 ― 外交史を彩る古き港町
 十津川 ― 勤王精神脈打つ天険の里
 生野 ― うたかたと消えた義挙の跡
 鹿児島 ― 近代化への情熱が伝わる町
 高知 ― 青年の息吹と黒潮の城下町
 佐賀 ― 老樟に偲ぶ『葉隠』の里
 瀬戸内 ― 潮と港と千石船と
第二部
 幻の町 ― 草戸千軒
 鉄砲伝来の島 ― 種子島
 もう一つの京都 ― 坂本
 不受不施派 二百年の沈黙 ― 岡山
解説 左方郁子


奈良本 辰也 (ならもとたつや)
「評伝 前原一誠 ― あゝ東方に道なきか」 
(ひょうでんまえばらいっせい)
徳間文庫



*カバーデザイン・秋山法子
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*605頁 / 発行 1989年

*カバー文
 吉田松陰門下となった前原一誠は、やがて長崎留学の後、急進的尊皇攘夷派として久坂玄瑞らと共に長州藩倒幕派の旗頭となり、高杉晋作の蜂起で藩権力中枢を占めた。
 だが戊辰戦争の功績による新政府の参議という地位も、実は一誠を東京に幽閉するものであり、彼の説く農民救済策・年貢半減が、新政府と相いれないゆえであった。頑なに己が道を進み、萩の乱に散った一誠の愚直なまでの生涯を描く力作評伝。

*目次
序章 もう一つの明治維新 / 第一章 吉田松陰と佐世八十郎の出会い / 第二章 松下村塾 / 第三章 僧月性と間部要撃策 / 第四章 松陰の再投獄 / 第五章 長崎伝習所の八十郎 / 第六章 松陰亡き後の松下村塾党 / 第七章 尊王攘夷と来原良蔵の死 / 第八章 将軍上洛と攘夷親征 / 第九章 四国連合艦隊の下関来襲 / 第十章 藩政府追討軍との戦闘 / 第十一章 第二次長州征伐 / 第十二章 薩長連合成る / 第十三章 長州軍小倉での戦い / 第十四章 占領地司政官として / 第十五章 大政奉還へ / 第十六章 北越へ / 第十七章 長岡の攻防 / 第十八章 小藩の民に / 第十九章 年貢半減令 / 第二十章 恋と治水策 / 第二十一章 奔走と権謀 / 第二十二章 疑いの眼の間に / 第二十三章 「田舎の人」 / 第二十四章 人心の向うところ / 第二十五章 「局外中立」 / 第二十六章 「征台論」の擡頭 / 第二十七章 再び上京す / 第二十八章 間諜達の暗躍 / 第二十九章 秋月の乱 / 最終章 挫折、そして死 / 解説 古川薫



奈良本 辰也 (ならもとたつや)
「もう一つの維新」 (もうひとつのいしん)
徳間文庫



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*350頁
*発行 1985年

*カバー文
黒船来航から江戸開城までの十五年間、攘夷、開国、勤王、佐幕の思想と運動が激突して、時代は狂瀾怒濤の頂点にあった。 このとき、長州藩に「智弁第一」と称される英傑・長井雅楽〈うた〉が登場してきた。雅楽は、公武一和による雄大な開国論『航海遠略策』を建白、藩論を決定し、朝廷と幕府も長井の意見に賛同して、まさに“もう一つの明治維新”が実現しようとした……。 長井雅楽の無念の生涯を描く。

*解説頁・高野 澄


縄田 一男編 (なわたかずお)
「競作 黒門町伝七捕物帳」
 (きょうさくくろもんちょうでんしちとりものちょう)
光文社時代小説文庫



*カバーイラスト・村上豊
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*299頁
*発行 1992年

*目次
櫛 … 山手樹一郎
酒樽の謎 … 村上元三
十本の指 … 高木彬光
通り魔 … 横溝正史
くちなし懺悔 … 角田喜久雄
殺し場雪明かり … 城昌幸
斬られた幽霊 … 野村胡堂
余燼 … 戸川貞雄
乳を刺す … 邦枝完二
 解説 縄田 一男


南條 範夫 (なんじょうのりお)
「悪女の系譜」 (あくじょのけいふ)
双葉文庫


*カバーイラスト・堂昌一
 カバーデザイン・鈴木邦治

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*295頁 / 発行 1989年

*カバー文
獄卒がお伝を押し倒しておいて、浅右衛門が一刀浴びせたが、仕損じた。二度目の太刀もお伝が暴れたため後頭部に当たり、目かくしがはずれ、血が顔中を真っ赤にする。それでもお伝は市太郎の名を呼びつづけた。(第六話「高橋お伝」より)。 ―― 幸せ薄く生まれ落ちたがゆえに愛と欲とに身を焦がす“毒婦”たちの凄絶な生きざまを活写する悪女列伝!

*目次
第一話 引眉毛(ひきまゆげ)のおたつ
第二話 雷神(かみなり)おしん
第三話 鳥追いお松
第四話 夜嵐おきぬ
第五話 島抜け花鳥
第六話 高橋お伝
第七話 斑猫(はんみょう)おみつ
第八話 倉田屋おみね

【注】「浅右衛門」=山田浅右衛門


南條 範夫 (なんじょうのりお)
「残酷の系譜」
(ざんこくのけいふ)
青樹社文庫



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*375頁 / 発行 1996年
*写真提供◎東映株式会社 今井正監督「武士道残酷物語」より / 装幀◎鈴木邦治


*カバー文
人間が営々として築きあげてきた支配と被支配という社会的制度の陰で流された、膨大な血によって封印されてきた歴史の側面を鋭く描く短編集。12編の多種多様な登場人物の人生に刻み込まれた“残酷”というキー・ワードに、時代小説の息遣いが冴える南條範夫の世界。

*目次
女人と人形 / 霞の太刀 / 石垣の中の二人 / 丹田斬法 / 管領を狙う剣士 / 女城主 / 藩主消失 / 悲恋の系譜 / 梟雄の子 / 二人の人間天皇 / 浪人部隊 / 首に殺された男 / 解説 縄田一男



南條 範夫 (なんじょうのりお)
「駿河城御前試合」
 (するがじょうごぜんじあい)
徳間文庫



*旧版カバー

*新装版カバー
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*旧版・510頁 / 発行 1993年
*新装版・541頁 / 発行 2005年
*旧版カバーイラスト・デザイン 原田維夫
*新装版カバーイラスト・山口貴由 『シグルイ』(秋田書店)より / カバーデザイン・ムシカゴグラフィックス 百足屋ユウコ

*カバー文
旧版
巷説寛永御前試合は虚構である。事実は、秀忠の次子・駿河大納言忠長の御前で行われた十一番の真剣試合が、その下敷きとなっている。その日、駿河城内には腥風悽愴と荒び、戦国生き残りを賭ける武芸者たちは、だが、無骨さゆえの生きざまが宿痾となって、だれもが破滅の淵へと疾走し、血海に斃れていった。日暮れ、人去った城内は寂として声なく、人心の倦厭の気のみ残されていたという。時代巨篇。

新装版
駿河大納言忠長の御前で行われた十一番の真剣試合。城内が腥風悽愴と荒ぶその日、武芸者のだれもが破滅の淵へと疾走し、血の海に斃れていった。日暮れ、人去った城内は寂として声なく、人心の倦厭の気のみ残されていたという……。

河出文庫版(サイト内リンク)

南條 範夫 (なんじょうのりお)
「廃城奇譚」
(はいじょうきたん)
双葉文庫


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*354頁 / 発行 1993年
*カバーイラスト・毛利彰 / カバーデザイン・古澤隆人

*カバー文
城に立篭った二百人もの将兵が一夜のうちに消え失せた怪。黄金の欲に狂って城を自滅に追い込んだ城主兄弟。攻め寄せた軍勢が目にしたのは、見渡すかぎり死者の白骨で埋めつくされた山砦。山崩れにより一瞬のうちに姿を消した城 ── 。戦国時代、権謀術数を弄しての裏切りや凄絶な復讐劇の舞台となった“城”残酷物語『宇都宮城の間道』他10篇を収録。

*目次
宇都宮城の間道 / 亀洞城の廃絶 / 高山城前史 / 横尾城の白骨 / 地獄城 / 霧の城 / 奇怪な城主 / 三度死んだ城主 / 藩主消失 / 帰雲城三代 / 戦国謀殺 / あとがき


難波 利三 (なんばとしぞう)
「雑魚の棲む路地」
 (ざこのすむろじ)
集英社文庫



*カバー・成瀬国晴
(画像はクリックで拡大します)

*298頁 / 発行 昭和59年

*カバー文
淡路島から一番船で、商いに来る魚屋の六さん。黒ずんだ麦わら帽子の上から、タオルを巻きつけ、財布代わりの大袋がついた前掛けを垂らし、地下足袋で、天秤棒を撓わせて ― 、それは四十の歳がら二十年近く続いていた。路地に住むおばはんとの仲も、もう三年も続いている。大阪下町に生きる人々の哀歓を描く表題作「雑魚の棲む路地」ほか五篇を収録。

*目次
地虫
雑魚の棲む路地
口のない群れ
暗がりの仲間
おばはん頑張りなはれ
日の丸湯一代
 解説 川上信定


難波 利三 (なんばとしぞう)
「通天閣夜情」 (つうてんかくよじょう)
徳間文庫


*カバーイラスト・百鬼丸
(画像はクリックで拡大します)

*254頁 / 発行 1989年

*カバー文
 大人の玩具の新製品開発に没頭する初老の男、その実験台になってやる三十過ぎた踊り子、出稼ぎに来てバーの女と失踪した父親、親元に子供を預け、パートで貯めた大金を芝居一座の花形に入れ揚げた母親。
 通天閣を見上げる猥雑の街では、ネオンが溢れ、安アパートがひしめき、騒音と塵芥の渦の底で、人生の長い影を引きずる男と女が、陽だまりに群れている……。
 ほろ苦くも物哀しい男と女の物語七篇。

*目次
通天閣夜情
浪花恋しぐれ
気になる天使
痺れる街
夜の玩具
黄昏の秘戯
通天閣の少女


難波 利三 (なんばとしぞう)
「路地裏の神様たち」
 (ろじうらのかみさまたち)
ケイブンシャ文庫



*カバー・松葉健
(画像はクリックで拡大します)

*293頁 / 発行 1984年

*カバー文
怪しげな占い師たちが軒を連ねる“神様路地”。そこにフラリと現われて、たまたま二度も予言を的中させたすかんぴんの浮浪者。大神様とたてまつられ、いんちき予言の金儲けに利用される気弱な男の悲喜劇を描く表題作。他に大阪の裏町を描いて独壇の世界を構築する六篇を収めた今期(91期)直木賞作家の傑作作品集。

*目次
路地裏の神様たち
望郷のメロディ
街を這う虫
男の街
小説家入門
陽だまり
雪の断章
 解説 高橋呉郎