絶版文庫書誌集成

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新美 南吉 (にいみなんきち)
「ごんぎつね」
小学館文庫・新撰クラシックス



*カバーデザイン・村上光延
 カバーイラスト・いとうゆりこ
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*213頁 / 発行 1999年

*カバー文
 児童文学への夢を抱きつづけた新美南吉は、命と時間が欲しいと切望しつつ二十九歳の若さでこの世を去った。しかし、日本のふるさとの風景を舞台に〈人の心の優しさ〉と〈生きることの悲しみ〉を描いた彼の作品は、時代を超えて愛され読みつがれている。
 小ぎつね“ごん”と兵十との交流を通じて人と人との心が通い合うことのむずかしさを描いた表題作「ごんぎつね」をはじめ、童話・五篇、詩・十三篇を収録。
 名作と共に、詳しい著者紹介、文学アルバムなどを一冊にまとめ、文学の世界へいざなう〈小学館文庫 新撰 クラシックス〉シリーズ第一作。

*目次
おじいさんのランプ
うた時計
おしどり
花のき村と盗人たち
ごんぎつね
十三の詩
 文学と生涯 新美南吉  大石源三
 文学探訪 ―― 新美南吉を訪ねて
 新美南吉文学散歩地図
 解説  谷悦子


新美 南吉 (にいみなんきち)
「手袋を買いに」
(てぶくろをかいに)
小学館文庫・新撰クラシックス


*カバーイラスト・いとうゆりこ
 カバーデザイン・村上光延
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*250頁 / 発行 2003年

*カバー文
国民的童話作家として人気の高い新美南吉。日本のふるさとの風景を舞台にした数多くの名作を遺した彼の好んだテーマに、人間と動物、都会と田舎、大人と子供、など「立場を異にするものの魂の交流」がある。
本書では、そういった作品群のなかから、雪の積もる冬の夜、寒さに震える子狐のために、人間の街まで手糸の手袋を買いに出かけた狐の親子の物語「手袋を買いに」をはじめ、珠玉の民話的メルヘン「百姓の足、坊さんの足」、南吉自身の思い入れも強かったといわれる「久助君の話」など、十一編を収録した。

*目次
手袋を買いに / ごんごろ鐘 / 狐 / 久助君の話 / 嘘 / 屁 / 耳 / 疣 / 小さい太郎の悲しみ / 百姓の足、坊さんの足 / 和太郎さんと牛 / 新美南吉 その生涯と作品 遠山光嗣 / 新美南吉文学散歩地図


西尾 幹二 (にしおかんじ)
「GHQ焚書図書開封4 『国体』論と現代」
(ぎーえっちきゅーふんしょとしょかいふう)
徳間文庫カレッジ


*カバーフォト・濱口太
 カバーデザイン・渡邊民人(タイプフェイス)
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*521頁 / 発行 2015年

*カバー文
戦前の日本を覆った「国体」論は何だったのか。
“日本人らしさ”の根源にある「国体」
文部省「國體の本義」を批判、考察する。
昭和天皇の歴史教師・白鳥庫吉の見識
多くの国民を心酔させた杉本五郎中佐の「大義」
敗戦によるパラダイム転換と城山三郎「大義の末」

*目次
第一章 『皇室と日本精神』(辻善之助)の現代性 / 第二章 『國體の本義』(山田孝雄)の哲学性 / 第三章 部数一七三万部『國體の本義』(文部省編)の光と影 / 第四章 国家主義者・田中智学の空想的一面 / 第五章 『國體眞義』(白鳥庫吉)の見識の高さ / 第六章 一三〇万部のベストセラー『大義』(杉本五郎中佐)にみる真摯な人間像 / 第七章 戦後『大義の末』を書いた城山三郎は、夕暮れのキャンパスで「国体」を見た / 第八章 太宰治が戦後にあえて書いた「天皇陛下万歳」を、GHQは検閲であらためて消した ── 溝口郁夫 / あとがき / 解説 伊藤悠司


西岡 常一 (にしおかつねかず)
「木に学べ ― 法隆寺・薬師寺の美」
 (きにまなべ)
小学館ライブラリー



*装丁・玉井ヒロテル
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*251頁 / 文庫本 / 発行 1991年

*カバー文
法隆寺、薬師寺の宮大工棟梁・西岡常一氏が、木について、道具について、そして人間について語った入魂のエッセイ。「堂塔の木組は寸法で組まず、木の癖で組め」など、今日の人間関係にもあてはまる口伝が紹介される。

*目次
第一章 千三百年のヒノキ
第二章 道具を遣う心
第三章 法隆寺の木
第四章 薬師寺再建
第五章 宮大工の生活
第六章 棟梁の言い分
第七章 宮大工の心構えと口伝
あとがき
解説
西岡常一氏略年譜


西木 正明 (にしきまさあき)
「其の逝く処を知らず 阿片王・里見甫の生涯 」
(そのゆくところをしらず)
集英社文庫


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*520頁 / 発行 2004年
*カバー画像 イラスト・サトウユウスケ / デザイン・SONICBANG CO.,

*カバー文
昭和二十年八月二十日、中国大陸から福岡を経て東京に戻った里見甫(さとみはじめ)はGHQによって拘束された。巣鴨プリズンに収監されると、厳しい尋問を受けることになった。里美は戦中、上海を中心に新聞記者として活躍しながら、一方陸軍の膨大な軍費をアヘンの売買によって捻出し、〈阿片王〉と呼ばれた男だった。彼はなぜ、闇の部分に手を染めたのか。里美甫のその数奇な生き方に迫るノンフィクション・ノベル。

*解説頁・杉江松恋)

*関連書(サイト内リンク)
 佐野 眞一 「阿片王 満州の夜と霧」 新潮文庫


西村 我尼吾 (にしむらがにあ)
「西村我尼吾句集」 (にしむらがにあくしゅう)
芸林21世紀文庫(芸林書房)


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*128頁
*発行 2002年
*装画・池田満寿夫「スフィンクス・森のなか」 / 装幀・高林昭太

*目次
官僚
 官僚 / ミャンマー / タイ・ラオス / フィリピン / マレーシア / シンガポール / 中国 / インドネシア / ブルネイ / カナダ / アジアを駆ける
官僚以後
 別子残像 / 別子銅山越え / 大志 / 伊予逍遥 / 伊予三祭 / 同行二人 / 帰京 / 中華序曲
解説 金子兜太


西村 繁男 (にしむらしげお)
「さらば、わが青春の『少年ジャンプ』」
(さらばわがせいしゅんのしょうねんじゃんぷ)
幻冬舎文庫



*カバーデザイン・鈴木成一デザイン室
 カバー写真撮影・高橋和海
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*381頁 / 発行 1997年

*カバー文
最高発行部数六百五十三万部。『少年ジャンプ』神話はいかにつくられ、崩れていったか。一九六八年、先行誌に九年遅れて十万五千部で創刊。誕生の経緯、苦肉の新人起用、漫画家との熱中時代、部数を伸ばし続けた快進撃と栄光の日々そして失速。三十年の歴史と人間模様を最も「ジャンプ」を愛した元編集長が描いた第一級の同時代ノンフィクション。

*目次
プロローグにかえて
第一章 苦戦の月刊誌時代
第二章 苦肉の新人起用策
第三章 ハレンチ学園&男一匹ガキ大将
第四章 漫画家専属制度
第五章 臨時労働者組合
第六章 新人漫画家パワー発進
第七章 発行記録への挑戦
第八章 宴のあと
第九章 神話の終焉
あとがき / 文庫版のためのあとがき
解説 藤脇邦夫


西村 望監修・井下 正三著 (にしむらぼう・いのしたしょうぞう)
「こんぴら歌舞伎」
(こんぴらかぶき)
カラーブックス(保育社)



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*168頁 / 発行 平成8年

*帯文
日本最古の劇場“金丸座” / 毎年人気を呼ぶ金比羅大芝居 / 琴平町のまちおこしを情緒豊かに紹介

*目次
第一章 こんぴら歌舞伎大芝居
 一、江戸へのタイムスリップ
 二、お練り
 三、こんぴら歌舞伎の復活
 四、こんぴら歌舞伎の歩み
第二章 江戸の芝居小屋
 一、金丸座の魅力
 二、小屋の概要
 三、芝居小屋の歴史
第三章 こんぴらさんと大芝居
 一、こんぴら参り
 二、門前町こんぴらの賑わい
 三、富くじと大芝居
 四、江戸から明治へ
第四章 よみがえれ江戸の芝居小屋
 一、金丸座の荒廃と保存
 二、復元で変更したもの
 三、浦島
 四、そして、明治六十年
第五章 信仰と観光と歌舞伎の町
 一、ことひら
〈エッセイ〉櫓太鼓に魅かれて
付録 こんぴら歌舞伎の歩み一覧 / ことひら案内図 / こんぴら歌舞伎の歴史


西村 陽一 (にしむらよういち)
「プロメテウスの墓場 ロシア軍と核のゆくえ」
(Prometheusのはかば)
小学館文庫


*カバーデザイン・海野一雄+Bay Bridge Studio
 写真提供 朝日新聞社
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*270頁 / 発行 1998年

*カバー文
地球経度の六分の一を占め、十一の標準時を持つ大ロシア。この新しい国家の誕生は国際社会に新たな緊張を現出させるにいたった。急速に、しかし確実に老朽化している兵器と装備。対西側陣営を想定して膨張してきた陸軍国・旧ソ連の冷戦時代の遺産であり、それは国土のいたるところに現存している。そこにはいまなお、巨大化した軍事国家の「意志」と恐るべき現実があった。広範な領土をもち、ソ連邦崩壊後も絶大なランドパワーを維持するロシア軍と核の不可避な現実に、現役ジャーナリストが渾身の取材で肉迫した書き下ろしノンフィクション。

*目次
はじめに
第一章 極北の原潜基地で
第二章 艦隊の憂鬱
第三章 核をねらう犯罪者たち
第四章 地図にない町で
第五章 草原と森の核ミサイル基地で
第六章 病めるロシア軍
解説


日本ペンクラブ編・阿刀田 高選 (にほんぺんくらぶ/あとうだたかし)
「恐怖特急」 (きょうふとっきゅう)
集英社文庫


*カバー・ナカムラテルオ
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*358頁 / 発行 昭和60年

*カバー文
ここに選んだ作品は楽しく、恐ろしく、小説を読む醍醐味を充分に賞味していただけるものと思っている。 ― 阿刀田高

*目次(収録内容・アンソロジー)
昆虫図=久生十蘭
文字禍=中島敦
怖い贈り物=結城昌治
大望ある乗客=中井英夫
二廃人=江戸川乱歩
人の顔=夢野久作
死の倒影=大下宇陀児
箱の中のあなた=山川方夫
探偵電子計算機=谷川俊太郎
乗越駅の刑罰=筒井康隆
エナメルの靴=佐野洋
庭=森内俊雄
はだか川心中=都筑道夫
波の音=城昌幸
死んだ兵隊さん=吉行淳之介
磨く男=黒井千次
影=内田百
顔=半村良
蜘蛛の巣=生島治郎
無邪気な女=阿刀田高
さようなら=山田風太郎
 解説 阿刀田高


日本ペンクラブ編・石川 喬司選 (いしかわたかし)
「一攫千金の夢 日本名作シリーズ」 
(いっかくせんきんのゆめ)
集英社文庫



*カバー・長尾みのる
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*394頁 / 発行 昭和58年

*カバー文
ギャンブルが生む人生の悲喜劇。麻雀、花札、カード、賭碁、競馬、競艇など、さまざま勝負道に挑む男女の色と欲。ギャンブル小説集。
ギャンブル狂夫人=阿刀田高
五千万円すった男=夏樹静子
懸賞打ち=三好徹
東一局五十二本場=阿佐田哲也
パチンコ必勝原理=筒井康隆
湖底の賭=梶山季之
鬼殺し=山村正夫
一生に一度の月=小松左京
女流選手=富島健夫
日本版黄金の腕=青山光二
三四郎池の少女=石川喬司
黒い手帳=久生十蘭
 解説・石川喬司


日本ペンクラブ編・五木 寛之選 (にほんぺんくらぶ・いつきひりょゆき)
「音楽小説名作選 日本名作シリーズ」
 
(おんがくしょうせつめいさくせん)
集英社文庫



*カバー・ルソー「眠るジプシー女」(部分)
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*422頁 / 発行 昭和54年

*カバー文(アンソロジー)
《収録内容》
ピアノ=芥川龍之介
ファンキー・ジャンプ=石原慎太郎
GIブルース=五木寛之
津軽じょんがら節=長部日出雄
生きながらブルースに葬られ=河野典生
星の下のクヮルテット=今官一
足踏みオルガン=阪田寛夫
今も時だ=立松和平
熊の木本線=筒井康隆
月=三島由紀夫
指=宮原昭夫
ジングル・ベル=安岡章太郎
〈対談解説〉巌谷大四・五木寛之


日本ペンクラブ編・井上 ひさし選 (にほんぺんくらぶ/いのうえひさし)
「スポーツ小説名作選 日本名作シリーズ〈5〉」 (すぽーつしょうせつめいさくせん)
集英社文庫


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*446頁 / 発行 昭和54年
*カバー・ルソー「フットボールする人々」(部分) / AD・後藤市三

*目次
若い獣 … 石原慎太郎
突撃する女 … 井上ひさし
草野球の球審 … 井伏鱒二
夜の光 … 瓜生卓造
深淵 … 大西赤人
フィッシュ・オン … 開高健
ベイル・アウト … 片岡義男
熱いトライ … 川上健一
一刀斎は背番号6 … 五味康祐
春富士遭難 … 新田次郎
ペケレットの夏 … 虫明亜呂無
鉄橋 … 吉村昭
 対談解説 … 虫明亜呂無・井上ひさし


日本ペンクラブ編・井上 靖選 (にほんぺんくらぶ/いのうえやすし)
「十字路の残照」 (じゅうじろのざんしょう)
集英社文庫


*カバー・平山郁夫
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*357頁 / 発行 昭和57年

*目録文
徳田秋声・吉行淳之介・川端康成らが人生の旅を綴る珠玉集。

*目次(アンソロジー)
町の踊り場 … 徳田秋声 / 鷺江の月明 … 佐藤春夫 / ひょっとこ … 芥川龍之介 / 正月三ヶ日 … 川端康成 / へんろう宿 … 井伏鱒二 / 佐渡 … 太宰治 / 〈詩〉富士山 … 草野心平 / 〈詩〉冬の長門峡 … 中原中也 / 〈詩〉冬の日 … 三好達治 / 白い屋形船 … 上林暁 / 時に佇つ … 佐多稲子 / それは木枯しか … 宇野千代 / 出石城崎 … 木山捷平 / 姥捨 … 井上靖 / 〈詩〉庭の蝉 夏の終り … 伊東静雄 / 〈詩〉残照 … 井上靖 / 島へ行く … 吉行淳之介 / 六日間の旅行 … 遠藤周作 / 南部の旅 … 庄野潤三 / 青い雉 … 島村利正 / ソフィアの秋 … 五木寛之 / 青梅 … 高井有一 / 八月の午後 … 立原正秋 / 解説 井上靖


日本ペンクラブ編 大江 健三郎選 (おおえけんざぶろう)
「何とも知れない未来に 日本名作シリーズ」
 (なんともしれないみらいに)
集英社文庫



*カバー装画・記名無し
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*397頁 / 発行 1983年

*目次〈アンソロジー〉
心願の国/夏の花 … 原 民喜
かきつばた … 井伏 鱒二
或るとむらい … 山代 巴
ほたる … 大田 洋子
雲の記憶 … 石田 耕治
手の家 … 井上 光晴
色のない画 … 佐多 稲子
儀式 … 竹西 寛子
氷牡丹 … 桂 芳久
人間の灰 … 小田 勝造
死の影 … 中山 士朗
空缶罐 … 林 京子
 対談解説 … 長岡 弘芳 / 大江 健三郎


日本ペンクラブ編 / 大岡 信・選 (おおおかしん)
「愛の詩集 ことばよ花咲け 日本名作シリーズ」
 (あいのししゅう ことばよはなひらけ)
集英社文庫



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*388頁 / 発行 昭和59年
*カバー・宇佐美爽子

*カバー文
森鴎外、島崎藤村から昭和20年代に生れた詩人まで、明治・大正・昭和と、およそ100年の詩の成果。それぞれの時代に親しまれ、人びとに愛唱された111名の代表的な詩をまとめた文庫初のアンソロジー。 解説・大岡信


日本ペンクラブ編 長部 日出雄選 (おさべひでお)
「映画が好きな君は素敵だ 日本名作シリーズ」
 (えいががすきなきみはすてきだ)
集英社文庫



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*408頁
*発行 昭和59年
*カバー・和田誠

*カバー文
映画はかぎりない喜びと楽しみを喚起し、想像力を果てしなくかきたてる。思い出の映画、はたまた映画人への想い、映画日記等々、遠藤周作、五木寛之、筒井康隆ほか24人の作家による映画に関する小説、エッセイのアンソロジー。素晴らしい映画の世界への旅に、あなたを誘う楽しい、嬉しい案内書。解説・長部日出雄


*目次〈アンソロジー〉
私を落第させた映画界 … 遠藤周作
映画への慕情 / 最近の映画と小説 … 五木寛之
不良少年の映画史「ノンティ・バンクス」 … 筒井康隆
映画館は不良の巣・興奮の場 / 映画の感情教育 … 安岡章太郎
青い映画の話 … 吉行淳之介
映画ベスト・テン … 丸谷才一
楽しきかなベスト・テン / カメラよ走れ! … 赤川次郎
極私的ドタバタイズムであるけれどぼくはいつも映画監督だった / 風に飛んでく野外映画のサヨナラミュージック … 椎名誠
僕も今やmarried peopleの一員になった … 村上春樹
「さすらい」 … 小林信彦
弱者の糧 … 太宰治
旅順入城式 … 内田百
外地で見た日本映画 … 石坂洋次郎
アメリカ映画に餓えた頃 / ヴェデオ狂い … 阿佐田哲也
昼間は映画夜は酒ほかになにかすることがあるの / ぼくのB級映画館地図 … 田中小実昌
映画 / 映画日記 … 池波正太郎
花便り ― 「地獄の黙示録」について … 大岡昇平
生きいそぎの記 … 藤本義一
想像力ありて … 虫明亜呂無
肉体的知性 ― マレーネ・ディートリッヒ / マレーネの微笑あるいはロマンの身振り … 金井美恵子
怪奇映画の季節 ― ドラキュラの夢よ、いまいずこ / 『エクソシスト』あるいは映画憑きと映画祓い … 澁澤龍彦
ミュージカルス … 安部公房
長と猛獣映画 … 山本周五郎
天才に体を張れ … 長部日出雄

 解説 … 長部日出雄


日本ペンクラブ編・川本 三郎選 (にほんぺんくらぶ/かわもとさぶろう)
「少年の眼 ― 大人になる前の物語」
 (しょうねんのめ)
光文社文庫



*カバー・唐仁原教久
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*447頁 / 発行 1997年

*カバー文
「子どもは不思議な存在で、解説を書けば書くほど遠くに行ってしまう気がする。〈中略〉どんなに作家が子どもをうまく描こうとしても、子どもはするりとその手から向こうに行ってしまう。その“追いかけごっこ”が実は、少年の小説を読む面白さなのかもしれない」〈「選者解説」より〉
 藤沢周平、灰谷健次郎、村上春樹、ビートたけしらが描く「失われた時」の様々なかたち……。

*目次〈アンソロジー〉
めくらやなぎと眠る女 … 村上春樹
星の巣 … ビートたけし
日曜日の反逆 … 灰谷健次郎
小さな橋で … 藤沢周平
子供の領分 … 吉行淳之介
雨のなかの噴水 … 三島由紀夫
公園にて … 中井英夫
驟雨 … 井上靖
トカチン、カラチン … 稲見一良
原っぱのリーダー … 眉村卓
星と葬礼 … 吉村昭
感謝祭のお客 … トルーマン・カポーティ
笑い虫のサム … ウィリアム・サローヤン
天使が見たもの … 阿部昭
夏の葬列 … 山川方夫
黒い御飯 … 永井龍男
 選者解説 川本三郎


日本ペンクラブ編 栗本 薫・選 (くりもとかおる)
「いま、危険な愛に目覚めて」
 (いまきけんなあいにめざめて)
集英社文庫



*カバー装画・村上昂
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*397頁 / 発行 昭和60年

*カバー文
異次元の夢、異形の悪夢、そして美しすぎる「もう一つの国」への扉とありうべき真世界への魔法の呪文をあなたに ― 。究極の愛と美の綾なす妖しくも華麗なる耽美小説の数々。

*目次〈アンソロジー〉
片腕 … 川端康成
踊る一寸法師 … 江戸川乱歩
侏儒 … 栗本薫
獣林寺妖変 … 赤江瀑
前髪の惣三郎 … 司馬遼太郎
会いたい … 筒井康隆
カイン … 連城三紀彦
公衆便所の聖者 … 宇能鴻一郎
星殺し … 小松左京
日曜日には僕は行かない … 森茉莉
 解説 栗本薫


日本ペンクラブ編 つか こうへい選
「書くに値する毎日 ― 日記名作選 日本名作シリーズ」 
(かくにあたいするまいにち)
集英社文庫


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*351頁 / 発行 昭和59年
*カバー・和田誠

*目次(アンソロジー・抄録)
独逸日記 … 森鴎外 / 病牀日記 … 正岡子規 / 二十歳の日記 … 正宗白鳥 / ローマ字日記 … 石川啄木 / 気まぐれ日記 … 内田魯庵 / 田端日記・他 … 芥川龍之介 / 百鬼園日記帖 … 内田 百 / 折々帳 … 小林多喜二 / 其中日記 … 種田山頭火 / 私の日記 … 岡本かの子 / 横寺日記 … 稲垣足穂 / 疎開日記 … 井伏鱒二 / 終戦日記 … 平林たい子 / 日記 … 宮本百合子 / 敗戦日記 … 高見順 / 太平洋戦争日記 … 伊藤整 / 植草甚一日記 … 植草甚一 / 春 ― 日記から … 遠藤周作 / 裸体と衣裳 … 三島由紀夫 / 日記一束・他 … 金子光晴 / ベトナム戦記 … 開高健 / 夢日記 … 島尾敏雄 / 私の夢日記 … 横尾忠則 / 腹立半分日記 … 筒井康隆 / 或る日記 … 宇野千代 / 一週間の記録 … 吉行淳之介 / つかへい腹黒日記 … つかこうへい / 成城だより … 大岡昇平 / 解説 … つかこうへい


日本ペンクラブ編 / 都筑道夫・選 (にほんぺんくらぶ/つづきみちお)
「名探偵が八人」 (めいたんていがはちにん)
集英社文庫


*カバー・百鬼丸
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*376頁 / 発行 昭和59年

*カバー文
名探偵ものは、あまり短かいと、おもしろくないから、こくのある長さの現代ものに限定して、選んでみた。(「解説」より)

*目次(アンソロジー)
兇悪の友 … 生島治郎
ネコかぶりのネコ … 海渡英祐
折鶴の毒 … 佐野洋
天使の棄児 … 三好徹
銀座の児雷也 … 都筑道夫
失踪事件 … 福永武彦
百日紅の下にて … 横溝正史
D坂の殺人事件 … 江戸川乱歩
 解説 都筑道夫


日本ペンクラブ編・中村 光夫選 (なかむらみつお)
「私小説名作選 日本名作シリーズ〈10〉」
 (ししょうせつめいさくせん)
集英社文庫



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*448頁 / 発行 1980年
*カバー装画・原田維夫

*目次〈アンソロジー〉
少女病 … 田山花袋 / 風呂桶 … 徳田秋声 / 黒髪 … 近松秋江 / 戦災者の悲しみ … 正宗白鳥 / 城の崎にて … 志賀直哉 / 崖の下 … 嘉村礒多 / 檸檬 … 梶井基次郎 / 富獄百景 … 太宰治 / 突堤にて … 梅崎春生 / 鯉 … 井伏鱒二 / 虫のいろいろ … 尾崎一雄 / ブロンズの首 … 上林暁 / 耳学問 … 木山捷平 / 接木の台 … 和田芳恵 / セキセイインコ … 井上靖 / 私々小説 … 藤枝静男 / 歩哨の眼について … 大岡昇平 / 家の中 … 島尾敏雄 / 寺泊 … 水上勉 / 陰気な愉しみ … 安岡章太郎 / 小えびの群れ … 庄野潤三 / 男と九官鳥 … 遠藤周作 / 食卓の光景 … 吉行淳之介 / 魚撃ち … 田中小実昌 / 拳銃 … 三浦哲郎 / 仙石原 … 高井有一
 対談解説 水上 勉・中村光夫


日本ペンクラブ編・半村 良選 (はんむらりょう)
「幻想小説名作選 日本名作シリーズ」
 (げんそうしょうせつめいさくせん)
集英社文庫


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*434頁
*発行 1979年
*カバー・ルドン「アポロの二輪車と竜」(部分)

*目次〈アンソロジー〉
「夢十夜」 夏目漱石 / 「眉かくしの霊」 泉鏡花 / 「柳湯の事件」 谷崎潤一郎 / 「西班牙犬の家」 佐藤春夫 / 「片腕」 川端康成 / 「魚服記」 太宰治 / 「おとしばなし 李白」 石川淳 / 「恐怖屋敷」 柴田錬三郎 / 「黒いゴルフボール」 源氏鶏太 / 「百メートルの樹木」 吉行淳之介 / 「蜘蛛」 遠藤周作 / 「待つ女」 小松左京 / 「骨餓身峠死人葛」 野坂昭如 / 「暗い海暗い声」 生島治郎 / 「母子像」 筒井康隆 / 「牧神の春」 中井英夫 / 「風見鶏」 都筑道夫 / 「ボール箱」 半村良 / 〈対談解説〉小松左京・半村良


藤本 義一選・日本ペンクラブ編 (ふじもとぎいち・にほんぺんくらぶ)
「心中小説名作選」
(しんじゅうしょうせつめいさくせん)
集英社文庫


*カバー / ミルキィ・イソベ
 (ステェディオ・パロボリカ)
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*280頁 / 発行 2008年

*カバー文
家族の残酷な死を、詩の如く昇華した、川端康成「心中」。戦争に翻弄された三人の男女、田宮虎彦「銀心中」。現実から逃避し愛欲に溺れる二人、大岡昇平「来宮心中」。江戸時代の庶民の心中を俯瞰的に物語る、司馬遼太郎「村の心中」。少女と孤独な魂を通わせた男の虚無、笹沢左保「六本木心中」。男女の業と欲の凄まじさを描ききった、梶山季之「那覇心中」。昭和の文豪たちが巧みに描く情念の世界。全6編。

*巻末頁
 対談解説 富岡多恵子 / 藤本義一
 解説 藤本義一


日本ペンクラブ編・丸谷才一選 (にほんぺんくらぶ・まるやさいいち)
「花柳小説名作選 日本名作シリーズ〈7〉」
 (かりゅうしょうせつめいさくせん)
集英社文庫


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*429頁 / 発行 1980年
*カバー・小村雪岱

*目次(アンソロジー)
あぢさゐ=永井荷風 / その魚=吉行淳之介 / いろをとこ=里見とん☆ / 童謡=川端康成 / 継三味線=泉鏡花 / 黒髪=大岡昇平 / 戦時風景=徳田秋声 / 梅龍の話=小山内薫 / 四つの袖=岡鬼太郎 / 雪解=永井荷風 / 堀江まきの破壊=舟橋聖一 / そめちがへ=森鴎外 / なぎの葉考=野口富士男 / 橋づくし=三島由紀夫 / 海面=丹羽文雄 / 名妓=中山義秀 / 老妓抄=岡本かの子 / 牡丹の客=永井荷風
〈対談解説〉野口富士男・丸谷才一

  ☆=「とん」は「ゆみへん」に「享」ですが、環境依存文字の為、表記出来ませんでした。


日本ペンクラブ編・宮脇俊三選 (みやわきしゅんぞう)
「鉄道が好き 日本名作シリーズ」 
(てつどうがすき)
集英社文庫


*カバー・柳原良平
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*409頁 / 発行 1985年

*カバー文
鉄道が登場する文学作品は数々ある。しかし、内田百閧ニ阿川弘之を除けば、「鉄道好き」の作家は、まずいない。私が欲したのは、「文学にあらわれた鉄道」ではなく「鉄道に惚れた人たち」を一堂に会させてみたい、ということであった(選者後記より)。鉄道が好きで好きで、愛して愛してきた人たち40人が、思いのたけを熱気で綴るアンソロジー!

*目次〈アンソロジー〉
通過列車・初乗り・乗り遅れ……内田百
御殿場線への郷愁……堀内敬三
レールとともに七十年……高松吉太郎
鉄道記者……沢寿次
掛け紙集めて二一年……瓜生忠夫
アルパカのいる風景……斎藤茂太
ベートーベンとSL……伊藤東作
「阿房列車」雑記……平山三郎
一人弥次喜多的火車旅行……関沢新一
元北日本鉄道社長東北新幹線に乗る……西尾源太郎
欧州畸人特急……阿川弘之
時刻表……大久保邦彦
私の機関車の絵……黒岩保美
鈍行・途中下車人生……林淳人
乗車券の日本語……築島裕
フルムーンパスはフルに使え……長谷川卓也
鎮魂歌……竹島紀元
心わくわくヨーロッパ汽車の旅……吉村光夫
消えた鉄道……堀淳一
左沢線・長井線・赤谷線・魚沼線……宮脇俊三
駅弁の歴史と駅弁考……林順信
軽便汽車乗てぃまーかいが……石田穣一
第3ヨーロッパすかたん列車……吉谷和典
みちのくローカル線の春……檀上完爾
上越新幹線取材記……萩原良彦
規格化・標準化への道……原田勝正
鉄道旅行の魅力……窪田太郎
校庭におかれた旧鉄橋……中川浩一
『英国鉄道物語』あとがき……小池滋
バンコックで見た鉄道……青木栄一
鉄道ファン交友録……吉川文夫
私の鉄道ライブラリー……和久田康雄
峠で……広田尚敬
なぜ完乗をめざしたのか……種村直樹
鉄道旅行バンザイ!……原口隆行
国鉄あちこち体験記……ヒサクニヒコ
私は新幹線が大好きなのだ、が……南正時
旅のつれづれ……池田光雅
ボクは日本の鉄道全線走破チャンピオン……石野哲
燃えよD51 たたえよ山陰……松尾定行
編集後記……
著者略歴……宮脇俊三


日本ペンクラブ編・吉行淳之介選 (にほんぺんくらぶ/よしゆきじゅんのすけ)
「純愛小説名作選 日本名作シリーズ」
 (じゅんあいしょうせつめいさくせん)
集英社文庫



*カバー装画・エルンスト「森と太陽」(部分)
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*425頁 / 発行 1979年

*目次〈アンソロジー〉
ロング・ロング・アゴウ … 島尾敏雄
初夜 … 三浦哲郎
夏わかば … 野坂昭如
葛の花 … 山口 瞳
流木 … 庄野潤三
おまんが紅 … 和田芳恵
手品師 … 吉行淳之介
心臓 … 小川国夫
石楠花 … 立原正秋
別れたのは、春 … 長部日出雄
魔子を待つ間 … 藤原審爾
春子 … 三島由紀夫
 対談解説 … 長部日出雄 / 吉行淳之介


ニール・サイモン著 酒井 洋子訳 (Neil Simon・さかいようこ)
「ニール・サイモンU サンシャイン・ボーイズ」
(The Sunshine Boys)
ハヤカワ演劇文庫


*カバーデザイン・工房はやし
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*166頁
*発行 2007年

*カバー文
人気コメディアンだったウィリーも今はわびしい一人暮らし。甥でマネージャーのベンが珍しく仕事をつかんできた。だがそれは、回顧番組で往年の名コンビぶりを見せるもの。あの憎たらしい相方アルとの共演が必須条件。ベンの必死の説得で渋々練習に入るが、目は合わせない、ちょっとした言葉じりをつかまえ対立する、二人の意地の張り合いはエスカレート、遂に決裂し……。人生の黄昏時を迎えた男たちの姿を、最高のユーモアと哀感をこめて描く傑作戯曲。

*解説頁・酒井洋子