絶版文庫書誌集成

中公文庫
【も】


茂出木 心護 (もでぎしんご)
「洋食や」
 (ようしょくや)


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*229頁
*発行 昭和55年
*カバー画・鳥居敬一

*カバー文
日本における洋食やの草分け泰明軒でコック修業ののち、独立して東京・日本橋に“たいめいけん”を持った著者が、失われゆく下町の「洋食の味」を懸命に残そうと努力した、江戸っ子の心意気で綴るエッセイ集。

*解説頁・高田敏子


森 浩一 (もりこういち)
「食の体験文化史」
(しょくのたいけんぶんかし)


*カバー画・『酒飯論』より(国立国会図書館蔵)
 カバーレイアウト・熊谷博人
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*337頁
*発行 1999年

*カバー文
考古学の魅力にとりつかれて50年。大学で考古学を教える著者は、仕事がら全国各地の遺跡を目指し旅行する。旅先では、小さな町や島にも泊り、いろいろな食物に出会うことを無上の喜びとする。食文化に強い関心をもち、丈夫な脳と胃を誇る著者が、歩きまわり、未地の土地や人々との出会いの体験の中から描く“食行動録”。

*目次
1.「わが食物史の記録」ができるまで / 2.サケ・シャケ / 3.サメとフカとワニ / 4.鮎と年魚 / 5.水無月と氷と氷室 / 6.マクワウリとシロウリ / 7.キュウリとニガウリ / 8.アワビ / 9.アジとムロアジ / 10.ハスとレンコン / 11.ブリ / 12.フグ / 13.大根 / 14.コブ・コンブ / 15.イノシシ / 16.カツオ / 17.料理人 / 18.「倭人伝」の生菜 / 19.ウナギ / 20.水 / 21.うどん / 22.うどんと麺類 / 23.石鍋ビビンバ / 24.イワシ / 25.豆腐 / 26.サバ / 27.おスシ / あとがき / 初出一覧 / 文庫版によせて / 索引


森 浩一 (もりこういち)
「続 食の体験文化史 ― 考古学者の食日記」
 (ぞくしょくのたいけんぶんかし)


*カバー・トルファンのバザールにて
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*331頁 / 発行 2000年

*カバー文
人々のいのちと暮しを育んだ、日本の豊かな「食」のあじと、中国・新疆ウイグル自治区の民族のあじとを、食文化に強い関心を持つ考古学者が、歴史とともに噛みしめる。一日三食二十年余の記録から、丈夫な脳と胃を誇る著者が綴る食物史の記録・続篇。

*目次
お漬物 / お弁当 / ソバ / ナス / 十四日間の中国の食卓 ― 野菜篇 / 十四日間の中国の食卓 ― 羊豚篇 / 栗 / ハマグリとアサリ / シジミ / お餅 / 里芋 / フナ / 納豆 / 蛸とタコ焼 / カニ / 牛乳 / 蒲鉾とてんぷら / タマゴ / お茶 / タイ / カキ(蠣) / バイとサザエ / ワカメ / トリ / ウニ・ナマコ・ホヤ / クジラ / ご飯
 あとがき
 初出一覧
 文庫版によせて
 索引


森 銑三 (もりせんぞう)
「偉人暦 続編(上下)」 (いじんれき)


*上カバー・青地亀甲文唐錦(高田装束研究所蔵)
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*上354頁・下355頁 / 発行 1997年

*カバー文

日本史にその名を残す人物の逸話を、それぞれの命日に寄せて達意の筆で綴る歴史随想の続編。谷風梶之助(一月九日)、大久保彦左衛門(二月一日)、上杉鷹山(三月十二日)、杉田玄白(四月十七日)など、上巻では五月二十日分までを収録。
(文庫オリジナル、全二巻)

下巻では、尾形光琳、乾山兄弟(ともに六月二日)、加賀の千代(九月八日)、仙崖禅師(十月七日)など、五月二十一日以降の百六十余名を収録。若き日の碩学が瑞々しい文章で綴る人物随想。


森 銑三著・小出 昌洋編 (もりせんぞう・こいでまさひろ)
「落葉籠 (上)」
(おちばかご)


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*334頁
*発行 2009年
*カバー・芹沢_介「秋庭図二曲屏風」
 カバーデザイン・中央公論新社デザイン室

*カバー文
中世から明治期にいたるまでの膨大な古書から、落葉を集めるかのごとく無造作に書きとめられた逸話、蘊蓄の数々 ―― 碩学・森銑三が昭和三十年から十一年間にわたり雑誌「日本古書通信」で連載した傑作短文集。


森 銑三 (もりせんぞう)
「思い出すことども」 (おもいだすことども)


*カバー・天保十一年渡り阿蘭陀更紗
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*248頁 / 発行 1990年

*カバー文
近世学芸史研究ひとすじに生涯を捧げた著者が、三十歳を越して上京し戦災で全ての資料を焼失するまでの二十年間を思い出すままに綴った四十六篇。ふれ合った有名無名の人びと、発見した珍しい資料、自著のことなど、書物と共に生きた人生を静かにふり返る。

*目次
第一部
 一 資料焼失 / 二 図書館講習所の一年間 / 三 史料編纂所に入る / 四 編纂所の蔵書 / 五 隠者松岡於莵衛翁 / 六 井上通奏先生その他 / 七 図書館巡歴 / 八 放送に出る / 九 大沼枕山の肖像 / 十 因循姑息な空気 / 十一 毎木曜日の展観 / 十二 第二食堂での雑談 / 十三 カード目録の作製 / 十四 新図書館部主任 / 十五 辻所長との関係 / 十六 思い出す資料 / 十七 蓬左文庫に就職 / 十八 簡易生活を続ける / 十九 日比谷図書館 / 二十 佐藤信淵の研究 / 二十一 幾つかの旧刊書 / 二十二 『宮本武蔵』の小著 / 二十三 私の人物研究 / 二十四 『星取棹』助かる / 二十五 『書物』という書物 / 二十六 母を憶う
第二部
 一 写本を漁る / 二 静嘉堂文庫 / 三 無窮会神習文庫その他 / 四 早稲田大学図書館 / 五 随筆書の解題 / 六 書誌学の講義 / 七 明治の雑誌 / 八 雑誌の閑文字 / 九 明治の新聞 / 十 児童読物の幾つか / 十一 よき友宵曲子 / 十二 二三の美術雑誌 / 十三 小さな私刊本 / 十四 『著作集』の完成 / 十五 三古会の現在 / 十六 麻布での古本即売会 / 十七 文章のむつかしさ / 十八 私の趣味生活 / 十九 人々から聴いた話 / 二十 八十歳を迎える /  跋


森 銑三 (もりせんぞう)
「史伝閑歩」 (しでんかんぽ)


*カバー・喜多川歌麿画「水茶屋女風俗」
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*306頁 / 発行 1988年

*カバー文
将軍家斉、熊沢蕃山、鳥居耀蔵、海舟・鉄舟・泥舟、吉右衛門など、江戸明治の諸人物の逸事逸聞を丹念に掘り起こした人物随筆二十四篇、また子規、露伴、緑雨、漱石ら明治文人の随筆の筆法上の特徴を論じた文章十三篇 ―― 。
興趣尽きない随筆の醍醐味を達意の筆で伝える遺文集。

*目次
史伝閑歩
 将軍家斉の人物 / 吉宗将軍と鰹節 / 鍋島閑叟と古賀穀堂 / 熊沢蕃山遺事 / 天保改革余話 / 徳川幕府の機密文書 / 奸物鳥居耀蔵
   *
 愚侯と賢侯と / 海舟・鉄舟・泥舟 / 本草学者直海元周 / 土井?牙逸事 / 菊池三渓の間宮林蔵訪問 / 馬琴とその日記 / 後藤象二郎邸の狸の置物 / 沼波瓊音・岩本素白の面影 / 大類伸博士の思い出
   *
 四十九名家執筆の『古人評論』 / 明治の人物一千人
   *
 土木請負師服部長七 / 料理屋平清の開業 / 俗謡漫談 / 落語「千草ふる」小考 / 名子役中村吉右衛門 / 石井鶴三さんの画稿

随筆というもの
 随筆というもの / 浅野梅堂の『寒檠?綴』 / 香亭雅談 / 中根香亭の『酔迷余録』ほか / 信夫粲の『恕軒漫筆』 / 矢野竜渓の『出鱈目の記』 / 沼波瓊音の『大疑の前』 / 篠原温亭著『その後』 / 正岡子規の随筆 / 斎藤緑雨の随筆 / 幸田露伴の「ひとり言」「人の言」
 漱石の『硝子戸の中』 / 吉村冬彦博士の『柿の種』  ゴシップで綴る人物随筆 向井敏


森 銑三 (もりせんぞう)
「明治人物閑話」 (めいじじんぶつかんわ)


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*336頁 / 発行 1988年
*カバー・「開化古徴」(明治七年刊・長谷川貞信画)口絵より合成

*カバー文
明治の人と時代を堀りおこす碩学の評伝エッセイ集。漱石・鴎外、斎藤緑雨や団十郎、五代目菊五郎、円朝ら、個性輝く明治人の実像と面影を多くの知られざるエピソードをまじえて伝える。

*目次
 1
森鴎外
  鴎外断片 / 森鴎外の「百物語」 / 山県有朋・森鴎外・井上通泰
石光真清と二葉亭四迷
夏目漱石
  夏目漱石と文芸委員会 / 漱石博士号問題のその後
成島柳北
  成島柳北の人物 / 成島柳北と名妓たち
福地桜痴の平家琵琶
饗庭篁村の劇評
斎藤緑雨
  一二三四五六は斎藤緑雨か / 緑雨と鬼的面 / 奇文「くらやみ座敷」
陸羯南遺聞
田岡嶺雲
  田岡嶺雲の本領 / 田岡嶺雲の逸文
渋川玄耳
  渋川玄耳の第六巻 / 渋川玄耳の朝日新聞社退社 / 渋川玄耳の夢想した学校 / 渋川玄耳の計画挫折
結城無二三
  結城無二三の生涯 / 『旧幕新撰組の結城無二三』の著者
石井白露と上司小剣
畸人呉山堂玉成
 2
団十郎と高助・訥升父子
五代目菊五郎と人力車
七世市川団蔵の芸談
名優尾上松助
三遊亭円頭
  内田魯庵の円朝感 / 菊五郎
談洲楼燕技の天才
文筆家悟道軒円玉
二世市川左団次
 あとがき


森 荘巳池 (もりそういち)
「私残記 大村治五平によるエトロフ事件」 (しざんき)


*カバー・蝦夷千島絵図(江戸後期写)部分
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*308頁 / 発行 1977年

*カバー文
文化四年(一八〇七)四月二十九日、二隻のロシア船が千島エトロフ島シャナ沖に出現、武装兵が上陸する。警備の南部藩老砲術師・大村治五平は、負傷し捕えられたことによりとがめを受ける。
本書は治五平が子孫のために私かに残した手記を初めて紹介して、エトロフ島事件の背後には何があったかを明らかにした血涙の書である。

*目次
 再刊『私残記』序
 序
第一篇 私残記現代文訳
 私残記 上巻
 私残記 下巻
第二篇 解説
 一〜二十一
第三篇 私残記原文

 大村治五平の死
 参考文献
 あとがき 木村次信


護 雅夫 (もりまさお)
「李陵」 (りりょう)


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*290頁 / 発行 1992年

*カバー文
北方遊牧民匈奴の大軍との死闘の末、ついに衆寡敵ぜず捕われの身となり、「匈奴の人」たり果てて彼の地で一生を了えた前漢の武将李陵。その生涯を軸に、遊牧騎馬民族国家内部における“帰化人”、すなわち漢人やイラン系ソグド人などの文化民族、農耕・商業民族が果した役割を追い求める。

*目次
プロローグ
李陵出軍す
李陵と司馬遷
李陵をめぐる漢人群像
「李陵の宮殿」 ― 伝承と史実
遊牧騎馬国家内部の漢人たち
エピローグ
文庫版あとがき


森 三樹三郎 (もりみきさぶろう)
「荘子 内篇」 (そうじ ないへん)


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*213頁
*発行 1974年
*カバー画・扇画『胡蝶図』

*カバー文
「内篇」七篇は、荘子その人の思想を確実にあらわしているとされる。その中心となる「万物斉同の説」(絶対無差別論)は、一切の価値を越えて、何ものにもとらわれない自由思想の極限を示している。

*解説頁・森 三樹三郎


森 三千代 (もりみちよ)
「金色の伝説」 (こんじきのでんせつ)


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*250頁 / 発行 1991年

*カバー文
西欧、中国、さらには日本の植民地主義に支配された悲惨な歴史に生きる人々。フランス的な文明都市をよそに数千年もの昔の俤そのまま、悲観も楽観もない安南の人々の生活。その静かな佇まいに生れ息づく安南の伝説16話。歴史をこえて不変的な何かを語りかける。

*目次
 地図・本文地域一覧
檳榔を噛むいわれ
巨人になった赤ん坊
正月の餅
からかさ山の神仙
天上の美
金の亀物語
微姉妹
段尚の話
安南浦島
蒙古来
貞婦ニ・クァン
額になった仙女
ナン・ト母子像
ドーソン悲話
金の小鯊
船唄
 解説 牧羊子
 挿画 金子光晴

*「安南(あんなん、仏: l'Annam、越: An Nam)は、現在のベトナム北部から中部を指す歴史的地域名称で、唐代の安南都護府に由来する。」(ウィッキペディアより)


森繁 久彌 (もりしげひさや)
「アッパさん船長」 (あっぱさんせんちょう)


*カバー・生沢朗
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*237頁 / 発行 1978年

*カバー文
憧れの紺碧の海とヨットへの思いを綴った航海記「メイ・キッス号の船長」、遭難記「“死”の波濤の中で」、忌憚のない文明時評・生活記録「炉辺論議」「スター十戒」を収める心温まる読物集である。

*目次
メイ・キッス号の船長
“死”の波濤の中で ― ヨット遭難記
アッパさんだんぎ
炉辺論談 ― 学生のエネルギーへの期待
スター十戒
 おわりに
 文庫版あとがき


森繁 久彌 (もりしげひさや)
「あの日あの夜 森繁交友録」
(あのひあのよる)


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*226頁
*発行 2005年
*カバー写真提供・産経新聞社 / カバーデザイン・山影麻奈(MOS co.,Ltd)

*カバー文
名優森繁久彌が語るあの日、あの夜 ── ?。 スクリーンを華やかに彩った原節子、かつて同じ舞台で切磋琢磨し技を競い合った伴淳三郎、 三木のり平、山茶花究らとの交友録を中心に、 さまざまななテーマを、痛快無比の森繁節で 綴った珠玉のエッセイ集。 解説・松本幸四郎


森繁 久彌 (もりしげひさや)
「こじき袋」 (こじきぶくろ)


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*224頁
*発行 1980年

*カバー文
”こじき袋”とは、見聞の一切をつめこんでおく役者の頭の中の袋のこと ― 馬の脚からアナウンサーとなって、決意も新たに渡った満州、そして録音機を肩に遠く遥かな旅をつづけた蒙古など、戦前の異郷での日々をはぎれのいい語り口でつぶさに綴る森繁自伝序章。

*序・大宅壮一


森繁 久彌 (もりしげひさや)
「見て来た・こんな・ヨーロッパ」 (みてきたこんなよーろっぱ)


*カバー ドイツ・ローテンブルク
 写真 篠原次郎
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*224頁 / 発行 1992年

*カバー文
大いなる好奇心と憧れと気負いを抱えて羽田を飛び立った、初めてのヨーロッパ一周旅行。言葉の不自由もなんのその、行く先々の街に分け入っては人々と語らい、美しい風景に感動し、時に複雑な国情に胸を痛め、また遥か日本を想う ― 。まだ“外国”が遠かった、昭和三十五年秋の漫遊紀行。

*目次
 序文 尾崎士郎
ヨーロッパへの第一歩
ラインは招く
二つのベルリン
ロンドンの裏と表
海より低いオランダ
美人の国スウェーデン
再建途上のポーランド
芸術都市ウィーン
パリ・ぱり・巴里
賭博の国モナコ
スペインの情熱
繁栄するスイス
陽光かがやくイタリーへ
私の赤ゲット案内 ― 初めて海外旅行をする方々のために
 あとがき


森田 たま (もちたたま)
「もめん随筆」 (もめんずいひつ)


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*304頁 / 発行 2008年
*カバーデザイン・中央公論新社デザイン室

*カバー文
男と女のこと、大好きな着物のこと、家族のこと、そして内田百閧竕F野千代たち交流のあった文士のこと……自由な雰囲気の札幌に育ち、文学を志して上京、結婚して大阪に住まう。女性エッセイストのさきがけともいうべき森田たまが現代的かつ自由な視点で描いた第一エッセイ集。

*解説頁・市川慎子

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